健康診断の数値がよい人の食生活
健康診断で身長が縮んだ人は要注意!死の危険がある病気のサインかも
健康診断で身長が縮んだ人は要注意!死の危険がある病気のサインかも
更新日:2025年09月09日
公開日:2025年08月02日
教えてくれたのは、森 由香子(もり・ゆかこ)さん
管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士。管理栄養士として医療機関をはじめ幅広い分野で活動中。食事からのアンチエイジングを提唱し、クリニックで栄養指導、三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験を持つ。最新著に『健康診断の数値がよい人は何を食べているのか』(廣済堂出版刊)
健康診断で身長が縮んでいませんか?病気のサインかも!
毎年、健康診断で身長を計測するたびに、少しずつ数値が低下していると嘆いている方が少なくありません。40歳以降、平均1cm以上縮むという報告もあります。
身長が縮む原因には、以下の3つが考えられています。
(1)加齢による水分低下により、背骨の椎間板の水分が減り厚みがなくなるため
(2)猫背やO脚変形、あるいは腹筋や背筋の衰えからくる不良姿勢
(3)骨粗鬆症による背骨の変形や椎間板変性症、圧迫骨折
さらに、近年、日本人(60~89歳)2435 人を対象とした研究では、男女ともに身長低下と「アテローム性動脈硬化症」に相関が見られたことが明らかになりました。
アテローム性動脈硬化症とは、血管に余分なコレステロールがたまり、血管が狭くなったり詰まったりするもので、進行すると心筋梗塞や脳梗塞を起こします。
身長が縮んだ人はコレ食べて!老化を防ぐ栄養素
また、骨粗鬆症による椎間板変性症は、アテローム性動脈硬化症と関連しており、さらに、酸化ストレスは椎間板変性症を活性化することを指摘しています。
酸化ストレスは、病気の原因を作る活性酸素を除去する能力が追いつかない状況を言い、体内にさまざまな悪影響を及ぼします。酸化ストレスがたまらないようにするには、日頃から食事で抗酸化物質を摂り、酸化ストレスに負けない体を作る必要があります。
抗酸化物質には、β−カロテン、ビタミンC、ビタミンEがあり、体内で働く場所が異なります。いずれもが豊富に含まれている食品に、緑黄色野菜があります。緑黄色野菜は、カットしたときに断面に色がついているものといえばわかるでしょうか。
例えば、カボチャ、ホウレンソウ、小松菜、菜の花、ニンジン、オクラ、ニラ、赤・緑ピーマン、トマト、ブロッコリーなどがあります。ちなみに、黄ピーマン(パプリカ、キングベル)は緑黄色野菜ではなく淡色野菜(野菜を切った断面の色が薄いもの)ですので気を付けましょう。
野菜の理想的な摂取量は、一日350g以上。一食あたり120g以上です。さらに淡色野菜と緑黄色野菜の比率は2:1が望ましいとされています。
中高年は「カルシウム」だけ摂ってもダメ?本当にすべき対策3つ
「骨卒中(こつそっちゅう)」をご存じでしょうか。
骨卒中とは、高齢者が骨粗鬆症によって骨折することで活動量が著しく減り、それが原因となって寝たきりや命を落とすなど、骨折後の健康寿命や寿命が極端に短くなることを言います。
ですので、私たちは骨折しないよう食事に配慮する必要があるわけなのですが、中高年のみなさんには、ちょっと残念なお知らせがあります。
実は、中高年になってから慌ててカルシウム摂取量を増やしても、骨折予防の効果が期待できないことが近年の研究でわかってきたのです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に「十分なカルシウム摂取量は骨量の維持に必要であり、カルシウム摂取量が少ないことは低骨量のリスク因子になるといえるが、中高年においてカルシウム摂取量を増やしても、骨密度の低下や骨折を予防する効果は小さいと考えられる」と記載されています。
では、中高年の方は、どう対策を講じたらよいのでしょうか。
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)」によりますと、中高年における骨粗鬆症の予防として「中高年者への介入は、適正体重の維持と痩せの防止が重要である。(中略)喫煙と過度の飲酒はともに骨粗鬆症性骨折リスクを高める」と記載されています。
中高年は、特に体重管理、禁煙、節酒に努める必要性があるのです。
だからといって、カルシウムの積極的な摂取をやめてはいけません。中高年の方は、カルシウムを過不足なく摂り、骨量減少や骨密度低下の最小化を目指すことです。
カルシウムを多く含む食品は、牛乳、ヨーグルト、チーズ、干しエビ、ワカサギ、シシャモ、イワシ(缶詰)、シラス干し、生揚げ、小松菜、大根(葉)などがあります。
背が縮みやすくなる…!閉経後に避けるべきNG食材4つ
骨粗鬆症は、骨密度の低下により骨の内部がスカスカになり、ちょっとした転倒などで骨折したり、圧迫骨折をおこしたりする疾患です。特に女性は、閉経後に骨密度を維持する女性ホルモンが減少するため、骨粗鬆症になりやすいとされています。
前述のように、骨の栄養素と言えばカルシウムを思い浮かべる方は多いのですが骨の土台となっているコラーゲンの存在を忘れている方が少なくありません。コラーゲンの合成には、たんぱく質やビタミンC、鉄などが必要です。
逆に、摂り過ぎるといけない栄養素や食品もあります。それは、リン、食塩、食物繊維、過度のアルコール、多量のコーヒーです。
リンは、骨の原料でもありますが、摂り過ぎるとカルシウムの吸収を阻害します。加工食品やインスタント食品、清涼飲料水などに食品添加物(リン酸塩)として含まれていますので、頻繁に利用する方は少し減らした方がよいかもしれません。
食塩は、骨からのカルシウム流出を増加させると考えられています。料理は、薄味を心がけるようにしていきましょう。
食物繊維は、食品ではなく、サプリメントによる摂り過ぎが問題です。摂り過ぎると食物繊維がカルシウムを吸着して、体内への吸収を阻害してしまうからです。
アルコールは、ビタミンDの働きを弱め、カルシウムの吸収を低下させます。コーヒーに含まれるカフェインには、利尿作用があるため、飲み過ぎると尿と一緒にカルシウムが排出してしまいます。
日頃から、骨密度を保つ食事や運動を心がけましょう。
次回の記事では、「LDLコレステロール高めの人!数値が悪化する“あるある勘違い”」を紹介していきます。
※本記事は、書籍『健康診断の数値がよい人は何を食べているのか』より一部抜粋して構成しています。
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