- ハルメク365トップ
- 美と健康
- 健康
- 尿漏れは何歳から?50代女性の尿失禁の原因は?
「尿漏れは何歳から起こる?」高齢になってからの悩みというイメージのある尿漏れ(尿失禁)。しかし実は20〜30代で経験している人も多く、男女・年齢問わずどんな人にも起こることです。尿漏れについての調査結果や改善対策を詳しく解説します。
尿漏れが起こるのはいつから?何歳からが多い?
年を重ねるほど多く見られるというイメージがあるかもしれませんが、尿漏れは年齢に関係なく起こる症状です。妊娠や出産をきっかけに、20〜30代で起こることもあります。
尿漏れの悩みは、家族や友人など親しい人にもなかなか話すことが難しい話題。「もしかして自分だけ……?」と思っている人もいるかもしれませんが、実際には悩んでいる人は多いようです。
尿漏れは生活の質(QOL)に関わる問題であるため、気になったときから対策を考えましょう。
多くの人が30〜40代で初めて尿漏れに気付く
ユニ・チャームが行った尿漏れについてのアンケートの「はじめて尿もれに気づいたのは何歳のときですか?」という質問では、以下のような結果が出ています。
- 29歳以下……10.6%
- 30〜34歳……13.6%
- 35〜39歳……18.4%
- 40〜44歳……18.3%
- 45〜49歳……16.1%
- 50〜54歳……10.6%
- 55〜59歳……4.5%
- 60〜64歳……3.9%
- 65歳以上……4.0%
アンケートからは、60%以上の人が「30〜40代で初めて尿漏れに気づいた」と回答していることがわかりました。
初めて尿漏れに気づいた年齢で割合が高いのは、35〜39歳で18.4%。次いで40〜44歳の18.3%となっているため、35〜44歳頃に尿漏れを自覚する人が最も多いと考えられます。
尿漏れは年齢に関係なく起こる症状
初発の尿漏れには年齢が関係ないことは、P&Gジャパン株式会社が行った20〜60代の日本女性4万人を対象とした調査からもわかります。
調査では、20代女性の57.1%が尿漏れを経験しているという結果が出ました。
また、順天堂大学女性スポーツ研究センターが約400名の女性アスリート(平均年齢23.08歳)を対象に行った調査でも、「スポーツをしているときに尿漏れの経験がある」が全体平均24.8%という結果に。
特に、力を入れたときやジャンプ時や着地時に尿漏れを経験した人が多いといいます。
尿漏れパッドや専用ケア用品を使うのは何歳から?
尿漏れは年齢に関係なく起こりうるため、尿漏れパッドや吸水ライナー、吸水ナプキンなどは何歳から使い始めるといいといった基準はありません。
花王フェムケアラボが行った調査では、おりものシートや生理用ナプキンを使って尿漏れ対策をしている人が多いものの、50代以降は尿漏れ専用のケア用品を使う割合が増えるという結果が出ています。漏れの量や頻度が増えているということかもしれません。
なお、尿漏れ専用ケア用品を使っているのは女性だけではありません。若い男性も使用しています。
ユニ・チャームが尿漏れパッドを使用する20~79歳の男性4万8,408人を対象に行ったアンケートでは、尿漏れパッドを使用していると答えた男性のうち、6割以上を40歳代以上が占めたが、20~30歳代が実は3割半もいたという結果に。
男女における尿漏れの原因は同じではありませんが、尿漏れはどんな世代の人にも、女性にとっても男性にとっても切実な悩みであることがわかります。
尿漏れに悩む8割の女性が「相談経験なし」
花王フェムケアラボの調査では、尿漏れを経験した女性の8割が、「尿漏れについて誰かに相談したことがない」という結果が出ています。
悩みはあるものの、なかなか相談できないという人がほとんどのようです。
若い人の場合は漏れの頻度が少なく、一時的であったり、恥ずかしいと思い、相談しにくい。
4、50歳以降の場合は何らかの機会に多数の人が尿漏れを経験しており、生理用品を買いに行けばパッドも売っており、対症療法的に使いだして「これだけ製品が置いてあるということは私だけではないのだわ」と思って相談しない……このような傾向があるようです。
将来的な尿漏れに不安を感じる大人女性は多い
現在は悪くないものの、今後心配な症状として尿漏れを上げている女性も多いです。
ハルメク生きかた上手研究所が50~79歳の女性476名を対象に行ったアンケートでは、今後悪くなりそうで不安を感じている体の症状について、尿漏れは24.8%と、骨粗鬆症33.0%の次に多い結果になりました。
これらの症状は実は無関係ではなく、女性ホルモンの低下に伴う更年期障害が50歳前後で生じることと関係している場合が多いです。
女性は尿漏れ・尿失禁が起こりやすい
年齢に関係なく、尿漏れを経験する女性は多いです。これには、以下のような理由が考えられます。
- 女性の尿道は直線で短い
- 出産によって骨盤底筋がダメージを受けるため
- 男性に比べて骨盤底筋群が弱い
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
理由1:女性の尿道は直線で短い
男性の場合、尿道が長く約20cmもあり、S字にカーブしています。一方、女性の尿道はまっすぐに伸びており、長さも約3〜4cmほどしかありません。
女性は尿道が短いため、少しお腹に力を入れたときなど、ふとしたはずみで尿漏れが起きる「腹圧性尿失禁」になりやすいのです。
このように、体の構造が異なることから尿トラブルは男女で特徴の違いがあります。
女性の尿トラブルには「尿漏れ」が多くみられます。
一方、男性の場合は前立腺の病気が多く、「出にくい(排尿障害)」や「尿が近い(頻尿)・尿漏れ(尿失禁)(二つをあわせて蓄尿障害といいます)」、これらに加え、「排尿後尿滴下」という尿トラブルも見られることがあります。
理由2:出産によって骨盤底筋がダメージを受けるため
出産を経験すると、尿漏れしやすくなるといわれています。
出産時には骨盤が開き、さらに腹圧をかけ、いきみますが、このとき、骨盤底筋群(膀胱・子宮・腸などを支える筋肉の総称)が伸びてダメージを受けます。
骨盤底筋は排尿・排便のコントロールも担っており、骨盤底筋の働きが衰えると、尿道を締める力が弱くなり、また膀胱尿道を支える力が落ちて、尿漏れしやすくなります。
理由3:男性に比べて骨盤底筋群が弱い
女性は男性に比べて、骨盤底筋群が弱いといわれています。さらに、閉経に向けて女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減少すると、骨盤底筋が緩むことに。
加齢でも骨盤底筋は衰えるため、尿漏れにつながります。
尿漏れが起こる原因
ここでは、尿漏れが起こる主な原因を解説します。
骨盤底筋へのダメージ・衰え
出産や肥満、生活習慣などによって排泄をコントロールしている骨盤底筋にダメージが加わったり、加齢で衰えたりすると、尿漏れにつながります。
ただし、出産経験がない人でも尿漏れは起こります。
P&Gジャパン株式会社が行った20〜60代の日本女性4万人を対象とした調査では、20代の尿漏れ経験者のうち、63.4%の人は出産経験がない人でした。
更年期に伴う女性ホルモンバランスの変化
女性の体は、更年期を迎えると女性ホルモンバランスに大きな変化が起こります。
更年期になると、女性ホルモンの分泌量が減り、その影響で尿道や周辺組織の弾力が失われ、臓器の厚みも減少します。すると、頻尿、膀胱の違和感、尿漏れといった症状につながることも。
更年期は体だけでなく心も不安定になる人が多く、尿漏れに大きなショックを受けてしまうケースも少なくありません。
しかし、尿漏れは年齢関係なくほとんどの人が経験する悩み。専用ケア商品の活用や、専門医への相談によって対処しましょう。
さまざまな病気の影響
骨盤臓器脱や膀胱炎、過活動膀胱、膀胱結石、膀胱がんといった病気が原因となって尿漏れにつながることもあります。
【尿失禁(尿漏れ)の分類】
- 腹圧性尿失禁:くしゃみや咳、重いものを持ったときなどに尿漏れする
- 切迫性尿失禁:膀胱が不安定となり、急に強い尿意が生じ、尿意切迫感を伴い、トイレまでに尿が漏れるものをいいます。原因は脳血管障害などでコントロールがうまくできないなどはっきりと原因が明らかなこともありますが、多くの場合は特に原因がないのに、膀胱が勝手に収縮して尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたします。
- 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁:尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつあふれて出てしまう(直腸がんや子宮がんの術後など)
- 機能性尿失禁:足が悪くなり、歩行障害でトイレに間に合わずもれる。認知症のためにトイレで排尿できないなど。
年齢別の尿漏れの原因
尿漏れが起こる原因は上記のようにさまざまですが、年齢で分けて見ると、以下のような原因が多く見られるといいます。
【低年齢で尿漏れが起こる原因】
- 骨盤底筋へのダメージ(出産)
- ストレスや生活習慣
【40・50代以上で尿漏れが起こる原因】
- 骨盤底筋の衰え
- 更年期による女性ホルモンバランスの乱れ
40・50代を過ぎると、加齢に伴って骨盤底筋の筋力が低下していくため、腹圧性尿失禁による尿漏れをしやすくなる傾向にあります。
尿漏れを引き起こす病気
尿漏れの症状が起こることのある病気としては、以下のようなものがあります。
骨盤臓器脱は40〜50代の尿漏れの主な原因の一つで、骨盤底筋の衰えが悪化したことで臓器(膀胱・子宮・直腸)が下に落ち、腟から外に出てくる病気のことです。
膀胱や尿道が安定しなくなり、尿漏れや頻尿、尿や便が出にくいといった症状が起こります。
尿漏れをひきおこす病気には上記に加え、さまざまな病気の影響や骨盤内の癌の術後や、認知症、神経疾患など原因となる病気が隠れている場合もありますので、診察を受けるようにしましょう。
尿漏れの改善方法・予防対策
気になる尿漏れの症状がある場合、自分でも改善に向けてトレーニングなどを取り入れることができます。また、今は尿漏れの症状がない場合も、これからのために予防対策をするといいでしょう。
尿漏れの対策としては、以下のような方法があります。
- 骨盤底筋体操
- 骨盤底筋トレーニング
- 尿漏れ専用ケア商品の活用
- 香辛料・酸味の強いもの・炭酸飲料の取り過ぎに注意する
- 病院で治療を受ける
骨盤底筋が衰えると尿漏れを引き起こしやすくなるため、骨盤底筋体操や骨盤底筋トレーニングで骨盤底筋を鍛えましょう。
合わせて、尿漏れをサポートするショーツや尿漏れパッドなどのケア用品を活用するのもおすすめです。
香辛料や酸味の強いもの、炭酸飲料は膀胱を刺激しやすいといわれているため、取り過ぎには注意しましょう。
尿漏れは、自力での改善が難しいケースもあります。原因となる病気が隠れている場合もあります。症状によっても必要な治療法や対策は異なるため、病院を受診して医師の診察を受け、症状に合った治療を受けることが大切です。
尿漏れに年齢関係ナシ!気になったそのときからケアを
尿漏れというと、これまでは高齢者が経験するものというイメージがあったかもしれません。しかし、実際には尿漏れに年齢は関係なく、20〜30代など若い年代でも尿漏れを経験しています。
デリケートな問題であることから「恥ずかしい」「誰に相談すればいいかわからない」と一人で悩みを抱えてしまっている人も少なくありませんが、尿漏れは生活の質(QOL)に大きく関わる問題です。
また、病気が原因となり尿漏れが起こっているケースもあります。
現代では、インターネットやSNSの普及による情報交換の活発化、働く女性が増え始めたことなどにより、尿漏れに関する外来数は大きく増えているといいます。
気になる尿漏れの症状がある場合は、一人で悩まず病院を受診してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール:大嶺 卓司さん
腎・泌尿器科おおねクリニック 院長。“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、”守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)”、”地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。
■もっと知りたい■
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?