腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の違いとは?

尿漏れ・頻尿の原因とは?対策を医師が解説

公開日:2020/01/27

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出産後や年を重ねた女性に起こりやすい、尿漏れや頻尿などの尿トラブル。尿トラブルは、大きく2つのタイプに分けられ、それぞれ治療方法が異なります。また、脳梗塞との関係も指摘されています。軽く考えないで、尿漏れと頻尿の対策を始めましょう。

尿漏れ・頻尿、尿トラブルの原因となる病気と治療法

尿漏れ・頻尿、タイプ別セルフチェックと治療法

くしゃみをすると尿がもれる、急激な尿意を感じトイレに走るけれど間に合わずもらしてしまう……。日常生活で、こうした尿トラブルを抱えていると、遠出や熟睡ができないなど生活上の制約も増えてしまいます。

「尿トラブルが自然に治ることはありません。でも原因を知って対策を始めれば、徐々に症状は治まります」と話すのは、女性医療クリニックLUNAグループ 理事長で、泌尿器科医の関口由紀(せきぐち・ゆき)さんです。

関口さんによると、尿トラブルのタイプは、大きく分けて2つあります。タイプによって治療法が異なるため、まずは、自身のタイプを確認しておきましょう。


タイプ1 腹圧性尿失禁
おなかに圧力がかかると尿がもれるのが、腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁

症状

  • せき、くしゃみ
  • 重いものを持ち上げる
  • 笑う
  • スポーツ  

…… などで尿がもれる

治療法
日常に、骨盤底筋トレーニングを取り入れます。悩みが深刻なら、手術という選択肢も。
 

タイプ2 過活動膀胱
我慢できない尿意に突然おそわれるのが、過活動膀胱です。過活動膀胱による失禁は、切迫性尿失禁といいます。

切迫性尿失禁

症状

  • トイレに行く途中でもれる
  • 昼間、8回以上トイレに行く
  • 夜間に1回以上、トイレに起きる
  • 冷たい水を触ると、尿意を感じる

治療法
日常生活で、水分やカフェインのとり過ぎに注意します。日常的に骨盤底筋トレーニングをしながら、尿意を我慢する練習(膀胱訓練)をします。それでよくならなければ、抗コリン薬、β3刺激薬などの薬を処方してもらいます。

腹圧性尿失禁タイプと切迫性尿失禁の違い

腹圧性尿失禁タイプと切迫性尿失禁の違い

「50歳以上の女性に目立つのは、腹圧がかかったときに尿がもれる『腹圧性尿失禁』タイプ。出産や加齢で、尿道が緩み、閉まらない水道の蛇口のようになっていることが原因です」(関口さん)

もう一つは、急に尿意をもよおし、尿をもらしてしまう過活動膀胱による「切迫性尿失禁」タイプ。関口さんは「100~200mlほど大量の尿が出てしまうのも、このタイプの特徴です」と話します。強い尿意を感じ生活の質が落ちてしまう病態です。脳や脊椎に原因のある「神経因性過活動膀胱」と、神経に障害のない「非神経因性過活動膀胱」があります。

関口さんは「加齢による尿漏れや頻尿だと思っていたのに、実は脳梗塞や脳卒中という怖い病気の予兆だったというケースもあります。尿漏れを軽く考えてはいけません」と指摘します。

関口さんによると、脳~脊髄の血管が硬くなっただけでも、排尿中枢をコントロールする力が弱くなり、尿意や排尿などの調整機能が乱れることがあるそうです。「まずは泌尿器科や婦人科で検査し、異常がない場合は、脳ドックなどを受けた方がよいでしょう」と関口さん。

尿漏れ・頻尿の大きな原因は、骨盤底筋のゆるみ

骨盤底の仕組み

 

さまざまな原因が考えられる尿トラブルですが、最も多い原因は、骨盤内の臓器を支える骨盤底筋(正しくは、骨盤底)が加齢などによって緩むことです。

骨盤底筋は、骨盤内にある膀胱、子宮、直腸などの臓器を支えている大切なプレートで、筋肉、靭帯、筋膜、皮下組織でできています。女性の骨盤底筋には、尿道、膣、肛門の3つの開口部が1か所に集まっており、排尿や排便をコントロールし、出産時には産道を伸び縮みさせています。そのため、骨盤底筋が緩むと、尿漏れなどの問題を抱えやすいのです。

また、閉経で女性ホルモンの分泌が少なくなると、皮下組織内のコラーゲンが減少し骨盤底筋は緩んで弱ります。また肥満で内臓が重い人や、最近では介護で重い要介護者を持ち上げることによって骨盤底筋が緩むケースも報告されています。

「けれど毎日、骨盤底筋を鍛える体操を実践することで、再び若い頃のような締まりを取り戻すことができます」と関口さんは言います。

骨盤底筋のゆるみが進行すると、骨盤臓器脱になることも

骨盤底筋の緩みが進行すると、膀胱や子宮、直腸などの臓器が支えきれなくなり、膣から臓器がはみ出る「骨盤臓器脱」を招きます。

膣のあたりに違和感がある、膣からピンポン玉のようなものが出てきた、下着に何かが触れて出血するなどの場合は、骨盤臓器脱が疑われます。放置すると、下がった臓器によって尿が出にくいなどの尿トラブルを引き起こすことも。

軽度の骨盤臓器脱なら、リングという装具を自身で着脱し骨盤底筋トレーニングをしっかり行えば、症状は改善します。しかし重症なら手術が必要です。

関口由紀(せきぐち・ゆき)さんのプロフィール

関口由紀(せきぐち・ゆき)さん

女性医療クリニックLUNAグループ 理事長
関口由紀さん
せきぐち・ゆき 女性泌尿器科医。横浜市立大学大学院医学部泌尿器科学修了。横浜・大阪で、婦人科・女性内科・女性泌尿器科・乳腺科・皮膚科等を総合的にみる「女性医療クリニック・LUNAグループ」を展開。医学博士、横浜市立大学客員教授。

まずは、電話などで相談してみましょう。女性医療クリニックLUNA 初診コールセンター。関口さんが経営するLUNAグループの専門員が、尿漏れや骨盤底筋の一般相談にのってくれます。

☎ 045-662-0618
月~土(祝日を除く) 

次回は、骨盤底筋を鍛える運動をお伝えします。

取材・文=清水麻子 ※この記事は、雑誌「ハルメク」の記事を再編集しています。



■LUNAクリニックの関口由紀医師が監修した「ハルメク 健康サポート・骨盤底筋サポートショーツ」。骨盤底筋の緩みに着目。2つのサポートで骨盤底筋を支えるショーツをハルメクで販売しています。詳しくは、「泌尿器科医推奨のショーツで「尿もれ」を改善!」をご覧ください。

 

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