公開日:2021/07/28
更新日:2022/02/16
尿漏れ・頻尿の原因は、骨盤底筋のゆるみにあります。生活習慣や骨盤底トレーニングによって、尿漏れは自分で治すことができます。立ちながらと座りながら行う骨盤底筋トレーニングに加えて、さらに効果を高める新たな方法「ピフィラティス」をお伝えします。
女性医療クリニックLUNAグループ理事長
関口由紀さん
せきぐち・ゆき 1989年、山形大学医学部卒業。横浜市立大学医学部泌尿器科等を経て、2005年に横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開設。現在、女性医療クリニックLUNAグループ総帥として、横浜に女性医療専門クリニックを展開。女性がいくつになっても元気できれいにあることをサポートするのに尽力。横浜市立大学大学院医学部客員教授。
www.luna-clinic.jp
骨盤底トレーニングとは、肛門と膣を締めたりゆるめたりする動作を繰り返すことで、意識的に骨盤底筋を動かし、ゆるんで弱くなった骨盤底を鍛える方法です。
イラスト右/骨盤底は、骨盤内の重い内臓を支えると同時に、尿道・膣・肛門の出口の開閉をコントロールしています。
イラスト左/骨盤底を下から見る中心に「8」の字のように尿道・膣・肛門を囲む筋肉があります。その周りにも、骨盤底筋などのさまざまな筋肉群が厚く張りめぐらされています。
「骨盤底筋の位置がよくわからない人は、人さし指の第二関節くらいまでを膣に入れ、排尿やおならを我慢するように膣をギュッと締めてみましょう。指が締めつけられる感覚があれば、それが骨盤底筋の働きによるものです」と解説するのは、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長で泌尿器科医の関口由紀(せきぐち・ゆき)さんです。
関口さんのクリニックでも尿漏れや頻尿で悩む患者さんの治療の基本として骨盤底トレーニングを取り入れており、2~3か月続けるうちに約7割の人に改善が見られるといいます。「骨盤底トレーニングは、骨盤底を強くすると同時に血流を増加させるため、膣や外陰の乾燥やムズムズなどGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)の症状も改善されますよ」
1日3~5セットを目安に行いましょう。
立って行うのが難しい人向けです。四つんばいで行ってもよいです。1日3~5セットを目安に行いましょう。
尿漏れや頻尿などを改善するには、上記の骨盤底トレーニングを行って骨盤底筋を鍛えることが重要です。さらに「最近は、骨盤周辺の筋肉も一緒に鍛えると、より効果的とわかってきました」と関口さん。
骨盤周辺の筋肉のうち、お腹の深部にある「腹横筋(ふくおうきん)」、内ももにある「内転筋(ないてんきん)」、お尻にある「臀筋(でんきん)」の3つは、特に骨盤底筋と連動して収縮しています。
そのため骨盤底筋を意識できなくても、これら3つの筋肉を動かすことで、骨盤底筋も一緒に鍛えることができるといいます。
「その有効な方法が、米国の女性泌尿器科医ブルース・クロフォードさんが考案した運動療法『ピフィラティス』。私のクリニックでも取り入れ、患者さんから好評を得ています」と関口さん。ピフィラティスの中でも効果の高いエクササイズを紹介します。
ピフィラティスは、骨盤まわりの筋肉を強くする骨盤まわりに効くエクササイズです。体を上下にリズミカルに動かす“パルス運動”が、骨盤底筋を刺激する効果があるという研究結果が出て、その動きを取り入れています。
反対の足も同様に行い、3~10回繰り返す。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=金子なぎさ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2020年3月号の記事を再編集しています。
■LUNAクリニックの関口由紀医師が監修した「ハルメク 健康サポート・骨盤底筋サポートショーツ」。詳しくは、くしゃみの"ちょいもれ”に「はくだけ骨盤底筋ケア」をご覧ください。
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