軽度認知障害(MCI)って?50代からの予防習慣

公開日:2023年09月21日

認知機能対策は早めが肝心!脳の健康チェックリストも

軽度認知障害(MCI)って?50代からの予防習慣

軽度認知障害(MCI)って?50代からの予防習慣

今野裕之さん(ブレインケアクリニック名誉院長)
監修者
今野裕之
監修者 今野裕之 ブレインケアクリニック名誉院長

かつては「予防できない病気」とされていた認知症。今は軽度の認知機能低下の段階で対策をすれば、認知症への進行を防げる可能性があるとわかってきています。ブレインケア専門医の今野先生に、50代から始めたい認知機能低下予防について教えてもらいます。

■監修者プロフィール:今野裕之さん
こんの・ひろゆき 医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人ひとりに合わせた診療にあたる。著書に『最新栄養学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春出版社刊)などがある。

認知症の前段階「軽度認知障害(MCI)」とは

内閣府の発表によると、2012年の認知症患者の数は推定で462万人。これは、高齢者の約7人に1人にあたります。しかし、高齢化が進む日本では、認知症の患者数は年々増加するとみられていて、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると考えられています。

以前までは「治らない」「予防できない」病気と考えられていた認知症ですが、今野先生によると、今は軽度認知機能障害(MCI)の段階で早めに対策をすれば、認知機能低下を改善したり、認知症への進行を予防できる可能性があることがわかってきているのだそう。

軽度認知障害(MCI)とは、もの忘れなどの認知機能障害はあるけれど、日常生活への影響はないか、あっても軽度のものである状態。症状が進行し、日常生活に支障が出てくると、認知症と診断される可能性が高くなります。

つまり、認知症になる手前の段階であれば、生活習慣や食生活の改善といった対策によって、脳の健康を取り戻せる可能性があるということ。とはいえ、ちょっとしたもの忘れなどの認知機能低下は誰にでも起こりうることなので、MCIであることに気付いていない人も少なくありません。

まずは、今の脳の健康状態を、次のチェックリストで確認してみましょう。


■脳の健康状態チェック

日常生活を振り返ってみて、当てはまる項目を数えてください。

□人と話す機会が減った
□笑うことが少なくなった
□日常的に運動習慣がない
□寝付きが悪い、ぐっすりと眠れない
□聞こえにくさを感じている
□甘いお菓子やご飯、パンなどをよく食べる
□肉や魚、卵などのタンパク質をあまり取らない
□揚げ物や脂っこい食事を好んで食べる
□1年以上歯医者さんに行っていない

■あなたの脳の健康度は?

・0個……脳は健康です!認知機能低下リスクも低いと言えます。

・1~4個……認知機能低下リスクが高い傾向にあります。早めに生活習慣を見直しましょう。

・5個以上……認知機能低下リスクが非常に高い状態です。すぐに予防習慣を始めましょう!

1つでも当てはまる項目があった人は、早めに対策を始めるのがおすすめです。1つも当てはまらなかった人も、誰しも、加齢や生活習慣の変化によって認知機能が低下する可能性はありますから、脳をますます元気にするために、できそうな対策から取り入れてみてくださいね。

MCIを予防する5つの生活習慣

認知機能対策で大切なのが、生活習慣と食事です。今野先生によると、生活習慣の中でも特に意識したいのが、睡眠の質、歯の健康、耳の健康、運動、コミュニケーションの5つ。どれも簡単に始められることばかりなので、今日から心掛けてみましょう。

■予防習慣1:夜はスマホを控えて
軽度認知障害(MCI)でも、良い睡眠を取っている人は改善に向かう傾向があります。寝つきを良くして、睡眠の質を高めるためには、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を促すことが大切。

スマホや携帯電話の画面から出る光はメラトニンの分泌を邪魔しますから、ぐっすりと眠るために、夜はできるだけスマホや携帯電話の使用は控えましょう。

■予防習慣2:定期的に歯医者さんに行きましょう
歯の本数が減ると、認知症になりやすいことがわかっています。また、虫歯や歯周病で口の中に炎症が起こると、脳の働きにも悪影響を及ぼします。

歯みがきのときは、フロスを使って歯の隙間の汚れまでしっかりと落とし、定期的に歯医者さんに行って、歯のクリーニングや検診を受けるようにしましょう。

■予防習慣3:耳の健康に気をつけて
音が聞こえにくくなると脳を刺激する情報が少なくなってしまうため、認知機能の衰えにつながります。「聞こえが悪くなった」と感じたら、早めに耳鼻科の先生に相談しましょう。

■予防習慣4:週2~3回、1日20分以上の有酸素運動を

運動は脳の血流を改善し、脳に酸素や栄養を届けやすくする働きがあります。認知機能低下の予防には、週2~3回、1日20分以上の有酸素運動を心掛けて。ウォーキングや水泳など、取り入れやすい運動を見つけましょう。

■予防習慣5:人との交流を楽しんで

家族や友人・知人と頻繁にコミュニケーションを取る人は、そうでない人に比べて認知機能が低下しにくいことが明らかになっています。家族団らんの時間を作ったり、趣味の集まりやボランティアに参加するなど、人と楽しくお話をする機会を作ってみましょう。

また、笑う機会が多いほど認知機能が低下しにくいというデータもあります。落語やお笑いを見てたくさん笑うことも、ストレスを軽減させ、脳の健康に役立ちます。

脳を元気にする食事とは?

次に、脳の健康につながる食事についてです。今野先生に、食事で意識したいことや、積極的に取りたい栄養素について教えてもらいました。

■食事は腹八分目
ごはんを満腹になるまで食べると、カロリーや塩分、糖分の取り過ぎにつながり、肥満、高血圧、糖尿病など、将来の認知症リスクとなる生活習慣病を招きやすくなります。

食事は腹八分目で抑えるのがポイント。よく噛んでゆっくり食べれば、たくさん食べなくても満腹感が得られます。

■タンパク質は毎食取る

タンパク質は、細胞やホルモンの材料になるだけではなく、神経の働きに必要な神経伝達物質の材料にもなるなど、健康に不可欠な栄養素です。魚や肉、卵、大豆製品など、タンパク質を含む食品を毎食必ず食べるようにしましょう。

■油の種類に注意
口にする油の種類に気を付けましょう。積極的に取りたいのは、青魚やアマニ油、えごま油などに含まれる「オメガ3脂肪酸」です。老化の原因の一つである体内の炎症を抑え、認知機能の低下予防に役立ちます。

一方で取り過ぎに注意したいのが、焼き菓子や揚げ物に含まれていることが多い「トランス脂肪酸」です。血管の病気につながるリスクがあるので、あまり取り過ぎないように意識してください。

■発酵食品と食物繊維を毎日食べる

「第二の脳」と呼ばれる腸の環境を整えるために、食物繊維と発酵食品を毎日食べるようにしましょう。腸内環境を良くするポイントは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やすこと。善玉菌をたくさん含んでいる発酵食品と、善玉菌のエサになる食物繊維を一緒に食べるようにすれば、相乗効果が期待できます。

発酵食品は納豆やぬか漬け、キムチ、ザワークラウトなどがおすすめ。ヨーグルトは牛乳よりも豆乳やアーモンドミルクを使用したものの方がお腹に優しいです。食物繊維は野菜、海藻、きのこなどから取ることができます。

■スパイスを取り入れて
「カレーをよく食べる人は認知症になりにくい」というデータがあります。これは、カレーに使われるスパイス類に、認知症予防に役立つ成分がたくさん含まれているから。

代表的なのは、ウコンに含まれるクルクミンです。クルクミンには、認知機能低下につながる脳内のゴミが溜まるのを防ぐ働きがあります。とろみの少ないタイカレーやスープカレーでスパイス類を取り入れれば、糖質量も抑えられますよ。

脳の健康にはプロポリスもおすすめ

脳の元気につながる食べ物では、ミツバチ産品のプロポリスもおすすめです。プロポリスはミツバチが巣を守るために作るもので、優れた抗菌作用があることで知られています。

今野先生によると、プロポリスは抗炎症作用、抗酸化作用、インスリン抵抗性改善作用、血圧改善作用、血栓予防作用などが報告されていて、もの忘れや認知機能の低下につながるさまざまなリスク要因を改善するのに役立つのだとか。

実際に物忘れを自覚する高齢者を対象とした試験では、プロポリスの飲用を続けることで認知機能(言語記憶力)が改善されたという報告もあります。

人や物の名前がすぐに出てこなくなるなど、軽度のもの忘れは誰にでも起こることです。そして、そんな軽度の認知機能低下であれば、早めの対策によって脳の元気を取り戻すことも可能。今回ご紹介した予防習慣は、すぐに始められる簡単な方法ばかりです。いつまでも元気な脳であるために、できそうな対策から始めてみませんか?

取材協力:山田養蜂場健康科学研究所

 

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