公開日:2021/03/19
更新日:2022/05/11
年齢とともに痩せていても太っていても、お腹がぽっこり出てきます。仕方がないと放っておくと、脳卒中やがんなどの病につながることも。医師・満尾正(みつお・ただし)さんに、なぜ年齢とともにお腹が出てくるのかの原因と、その対策を伺いました。
加齢とともに気になるぽっこりお腹。その原因として、満尾さんは、「内臓脂肪」「便秘」「骨盤のゆがみ」を挙げます。この3つの原因の大本にあるのは、若い頃と比べ年を重ねて大きく変化した体内機能の状態。
「人間の体は年齢とともに基礎代謝や筋肉が落ちていきます。さらに閉経後の女性では、女性ホルモンと男性ホルモンの両方が枯渇する、“ホルモン総枯れ状態”が生まれます。女性ホルモンの低下は、脂肪を内臓脂肪として蓄える現象につながります。男性ホルモンの低下は、筋肉量と基礎代謝量が低下する原因となります。その結果、内臓脂肪が蓄えられやすく、運動しても筋肉がつきにくく、ぽっこりお腹になりやすいのです」
また、「年齢とともに大腸壁の筋肉が衰えると、大腸のぜん動運動が低下して便秘になりやすくなりますし、骨盤を支える筋肉が衰えれば、骨盤がゆがんで姿勢が悪くなり、お腹が突き出て見えるようになってしまいます」。
年齢とともに骨盤を支える筋肉が衰え、骨盤が後ろに傾くなどゆがんでしまうと、ぽっこりお腹が目立ってしまいます。「背骨コンディショニング」「骨盤ふりふり体操」で、骨盤のゆがみ、姿勢の改善を。
閉経後、女性ホルモンと男性ホルモンが減少した状態で運動をしても効果が得にくく、食べ過ぎればお腹に内臓脂肪として蓄積していきます。「ドローイング」やぽっこりお腹解消に効果的な素材の長芋を活用したレシピを習慣に。
加齢による筋力、特に大腸壁の筋肉の働きの低下や、食事や睡眠など生活習慣の乱れ、降圧剤など薬剤の副作用などが便秘の原因に。
こうして徐々にぽっこりお腹になっても、「仕方がない」と放置しがち。でも、内臓脂肪型の肥満になると、血管系の病気を引き起こしやすく、脳卒中や脳血管性認知症の発症リスクが高まります。内臓脂肪が生み出す「ファットカイン」という物質は、体内の炎症を誘発し、発がんや動脈硬化のリスクも。便秘を放置すれば、悪玉菌と粘膜の接触時間が長くなり大腸がんなどの腸疾患のリスクが増えます。
放っておくと健康が遠のいてしまうぽっこりお腹。でも、諦める必要はありません。
「きちんと意識して対策をとれば、鮭が川を上るように、年齢に負けず体内の状態を改善し、お腹を凹ませることが可能です。きくち体操の菊池和子さんは、80代でお腹はすっきり、非常に美しい姿勢を保っています。あの姿を目指しましょう」
満尾さんのおすすめは、つらい食事制限や運動ではなく、“正しく食べて、正しく体を動かすこと”。
「例えば、DHEAというホルモンは、女性ホルモンや男性ホルモンの原料になる若返りホルモンとして今注目されています。これを多く含む長芋類を食べたり、便秘にならないように食物繊維を適切な量で摂取したり。やみくもに体を動かすより、内臓脂肪や骨盤に焦点を当てた動きを取り入れるのも効果的です」
普段の暮らしを大きく変えずにできる簡単な体の動かし方「ドローイン」や、食べ方などをご紹介します。
みつお・ただし 満尾クリニック院長。1957(昭和32)年、横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、杏林大学救急医学教室講師、ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員を経て、アンチエイジング専門病院「満尾クリニック」開設。著書に『ハーバードが教える世界最高の食事術「食べる投資」』(アチーブメント出版)、免疫力を強くするための『最強の食事術』(小学館刊)、ビタミンDの働きに注目した『最高の栄養』(KADOKAWA刊)など。
取材・文=三橋桃子、野田有香(ともに編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2018年9月号を再編集しています。
■もっと知りたい■
◆雑誌「ハルメク」6月号の特集は『内臓脂肪をスッキリさせて、ぽっこりお腹を解消!』
代謝を上げる食べ方の新常識や1回10分のゆる筋トレなど、情報満載でお届けします♪
↓↓立ち読み・お申込みはこちらから
>>雑誌「ハルメク」のサイト
※この記事は雑誌「ハルメク」の記事を再編集しています。雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください
雑誌「ハルメク」
創刊22年目、女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
この記事をマイページに保存