教えてくれたのは：工藤孝文（くどう・たかふみ）さん

ダイエット外来医・内科医・糖尿病内科医・漢方医。大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に力を注ぐ。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。

※本記事は『脂肪がスルスル落ちていく　1分水飲みダイエット』（飛鳥新社刊）より一部抜粋して構成しています。

第1回の記事では、「1分水飲みダイエット」で痩せる理由と、「水分不足度」セルフ診断のやり方を紹介。第2回は、工藤先生のアドバイスを元に、1か月で4kg前後痩せた人たちが実践した「1分水飲みダイエット」の具体的な方法を解説しました。

今回は、実際に「1分水飲みダイエット」を試して、ダイエットに成功した人たちの声を紹介していきます。

【体験談1】“つい食べ過ぎ”克服！4.2kg減った40代女性の成功法

ニセの食欲に打ち勝ち、1か月で73.8kg→68.6kg！

朝食や昼食をしっかり摂っても口寂しくなり、「“つい”つまみ食いをしてしまうんですよね」と明るく語るBさん。しかし、この“つい”の積み重ねが太る原因になっていました。

Bさんだけではなく、喉の渇きや口寂しさといった「ニセの食欲」に振り回されて、1日の食事量が増え、オーバーカロリーになっている方は少なくありません。Bさんには、「何か食べたいと思ったら、まず1分かけて水を1杯飲むように」と指導をしました。

加えて、水を飲み終えてから「本当にお腹が空いているか」「今、何か食べたいと感じているか」を自分自身に問うようにとお話ししました。

その結果、“つい”食べ物に手が伸びるちょこちょこ食べの回数が激減し、1か月で4.2kgの減量に成功しました。

【体験談2】    肩こり×過食対策で5.3kg減！40代女性が前向きに

水とストレッチを組み合わせて、1か月で88.2kg→82.9kg

Dさんの仕事はデスクワークで、通勤も含めて移動はほぼ車という生活。おまけに何年も、つらい肩こりに悩んでいました。

長年のひどい肩こりで交感神経が過剰に働き続けると、太る原因につながります。

というのも、交感神経が優位だと、血中にある糖がエネルギーとして使われにくくなるからです。これにより血糖値が高い状態が続くと、太りやすくなる上、糖尿病やその予備軍になる可能性も高まります。

意識的に水を飲む習慣のなかったDさんには、「1日7回タイミングを設けて、水を飲むように」とアドバイス。同時に1分かけて水を飲む間に、一口ごとに肩を回したり、肩甲骨を寄せたりするようなストレッチも実践してもらいました。

その結果、肩周辺の筋肉の緊張がほぐれ、「水を飲んで肩を回すと頭がスッキリして、以前よりも仕事がはかどるようになった」とDさん。「1分水飲みダイエット」とストレッチの相乗効果で食欲もコントロールできるように。

体重が落ちていくことで、さらに気持ちが前向きになるといういい循環も生まれ、順調に体重を落とすことができました。

【体験談3】慢性便秘改善＆3.9kg減達成！40代からの健康的な痩せ方

マグネシウムを含む硬水を飲んで、71.2kg→67.3kg

4、5日出ないのは当たり前という、慢性的な便秘に悩んでいたEさん。代謝の悪さからお腹の辺りに脂肪が溜まり、腹部の不快感からか背中も丸まっていました。

Eさんに「日常的に硬水を飲むように」と指導したところ、便秘が改善。硬水は便秘に悩む方に処方されることの多い、マグネシウムを多く含みます。

便秘による不快感が解消したことから精神的にも前向きになり、腸内環境の改善などによって代謝もアップ。ストレス食いを減らすことにも成功し、1か月で3.9kgも体重を減らすことができました。

【体験談4】更年期太りに悩む50代女性…ストレス軽減で5.5kg減った！  

イライラを手放す“お守り”習慣で、84.6kg→79.1kg

50歳で更年期の折り返し地点にいたFさん。感情のコントロールが難しく、行き場のない気持ちを食べることで解消することが増え、じわじわと体重が増加。それがまたストレスとなりさらに食べてしまう、という悪循環に陥っていました。

更年期特有のイライラや焦燥感を解消するため、食に走る方は少なくありません。しかし、女性はホルモンバランスの影響で、更年期を境に糖尿病のリスクが高まります。

ストレスで交感神経が優位になると、高血糖の状態を作り出してしまうため、できるだけ副交感神経が働くように仕向けていく必要があります。

そこでFさんには、「1分水飲みダイエット」を実践していただくとともに、「イライラしたり、不安感が強くなったりしたら、一口ずつ確かめるようにコップ1杯の水を飲むように」とアドバイスしました。水を飲むと気持ちが落ち着くからです。

これがお守りのような役割を果たしました。リラックスして過ごす時間が増えるとともに、体重の増加もストップ。太る前の体重に近づくことができました。

トイレ回数増加は健康サイン？『1分水飲み』Q&A

最後に「1分水飲みダイエット」を実践する上で、気になる疑問にQ&A形式でお答えします。

Q.「1分水飲みダイエット」を始めたらトイレが頻繁になって心配です

A.トイレに行く回数が増えるのは健康の証です！
以前より水を飲む量が増え、その分、トイレに行く回数が増えたのであれば、体内で水の入れ替えが順調に進んでいる証。なので心配することはないでしょう。

逆に心配なのは、水の摂取量が増えているのにトイレに行く回数が変わらないとき。このような場合は、腎臓などの臓器の働きが低下している可能性もあります。もし、尿量が増えず、体にむくみなどが現れるときは、医療機関を受診しましょう。

Q.水を飲み過ぎているかどうか、自分で判断できますか？

A.舌の状態で判断できます！
中医学では舌診といって、舌の状態を見て体内の水分バランスを判断します。

鏡で見たときに、舌の縁に歯形がついてギザギザしているようでしたら、水分代謝がうまく行われていない可能性があります。水を飲むときに第2回で紹介したストレッチを行い、排出力を高めるようにするとよいでしょう。

また、食事の際に、利尿作用を高めるきゅうりなどの食材を摂るのもおすすめです。

利尿作用のある食材
きのこ、ひじき、のり、きなこ、納豆

利尿作用のある野菜
ほうれん草、長芋、きゅうり、じゃがいも、白菜、しそ

利尿作用のある果物
バナナ、メロン、プルーン、干しぶどう、干し柿、なし、スイカ

Q.飲みにくいけど効果がありそうな「硬水」を飲んだ方がいい？

A.目先の効果にとらわれず、自分が一番飲みやすいものにしましょう
ダイエットはストレスを溜めないことと、続けやすいことが絶対条件です。「1分水飲みダイエット」を長期的な習慣にするためにも、硬水にこだわる必要はありません。まずは、自分の口に合う水を飲むことから始めてみましょう。

もし、気持ちに余裕があるなら、いろいろな種類の水を飲み比べてみるのもいいかもしれません。その中で気に入った水を飲むようにすれば、前向きな気持ちで「1分水飲みダイエット」に取り組めるのではないでしょうか。

Q.水分代謝がうまくいくようになる薬はありますか？

A.ご自身の体質や悩みに合う「漢方薬」を探してみてください
漢方薬は心身を整え、自然に治す力（自己回復力）を高めることで症状を改善していきます。さまざまな症状に対応しているので、ご自身の体調や状態に合わせて選ぶことができるのもポイントです。

例えば、

• むくみがちな方……「五苓散（ごれいさん）」
• むくみ、肩こり、冷えが気になる方……「当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）」
• むくみがちでぽっちゃり、汗っかきの方……「防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）」

をお試しいただくのがよいかと思います。

漢方は病院で処方してもらったり、薬局で購入したりすることができます。何が自分に合うかわからない方は一度医療機関に相談してみましょう。

Q.「1分水飲みダイエット」をしてはいけない人はいる？

A.基本的には誰でもOKです
水は人体にとって必要不可欠なものですし、体に害になるような成分は含まれていませんので、基本的にはどなたにでも取り組んでいただけます。

ただし、医師から水分摂取を控えるようにいわれている方は、医師の指示に従ってください。また、病院で薬などを処方されている方は、必ず担当医に相談をしてから取り組むようにしましょう。

健康な方でも適量を超えた水の飲み過ぎは、体にとって害になることもあります。ご自身の体調、活動量、気温などの環境要因と相談しながら実践してください。

※効果には個人差があります。試してみて合わない場合はおやめください。

もっと詳しく知りたい人は工藤先生の書籍をチェック！

日本人の9割が知らないといわれる「痩せる水の飲み方」をまとめた一冊。初期費用も、特別に準備するものも、筋トレも食事制限も必要なし！　ダイエットが成功しない方や、リバウンドをくり返す方だけでなく、むくみや疲れやすさといった、体の不調を抱える方も必見です。