初夏から秋が見頃!花のプロがご紹介します

北海道ガーデン街道を2泊3日で巡るモデルコース前編

花毎(はなごと)
2019/06/20 33

十勝から旭川を結ぶ約250kmには「北海道ガーデン街道」と呼ばれる、すばらしい庭が点在しています。見頃は初夏から秋。雄大な景色が堪能できるガーデンを2泊3日で車で巡るモデルルートを、老舗花屋の第一園芸がご紹介します。前編は十勝エリアです。

紫竹ガーデン
【目次】
  1. 六花の森|お菓子屋さんのすてきな庭
  2. 十勝ヒルズ|花と国宝級の食を楽しむ
  3. 真鍋庭園|これが日本?樹木の美しさを知る場所
  4. 紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原
  5. 十勝千年の森|光と風が作る感動の景色

六花の森|お菓子屋さんのすてきな庭

六花の森

ガーデン街道を見て回るには、朝早くから動くことが肝心です。車で巡るモデルルートは、十勝エリアからスタートすることをおすすめします。

午前9時から10時ごろにとかち帯広空港に到着、ここから車で約20分の位置にある「六花の森」に向かいます。こちらは北海道を代表するお菓子メーカーの「六花亭」が運営。

六花亭といえば花柄の可愛らしい包装紙が有名ですが、そこに描かれた花々「十勝六花」が実際に咲くのがこちらのガーデンなのです。

十勝六花とは、十勝を代表する花、ハマナシ(地元ではハナマスではなくハマナシと呼ばれています)。オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、エゾリンドウ、シラネアオイの総称です。

 

実は、もともとこの敷地は川原でした。そのため、森の中心部を囲むように美しいせせらぎが流れています。初夏の川べりにはサクラソウの仲間である「九輪草」が咲いています。 

花の壁紙のある六花亭

森の中にはクロアチアの民家を移築した、素朴な7つの小さな家が点在しています。それぞれが小さな作品館になっていて、その中のひとつである「花柄包装紙館」の中は壁一面が包装紙柄に! 描いた花を切り取ってレイアウトした、制作過程も展示されています。

花柄包装紙館

「六花の森」のもうひとつの楽しみは、できたてのお菓子がいただけること! 実はこの場所は六花亭を代表するお菓子「マルセイバターサンド」の工場が隣接していて、出来たて、クリームを挟んだばかりのマルセイバターサンドがいただけるのです。

静かな森をゆっくり散歩した後は、おいしいお菓子でティータイム……そんな理想の休日を満喫できる、すばらしいガーデンです。

■六花の森
北海道河西郡中札内村常盤西3線 249-6
2019年度の営業期間:~10月20日(日)期間中無休
営業時間:10:00~17:00(6/1~8/31は9:00~、9/24~は16:00まで)
料金:大人800円、小・中学生500円
 

 

十勝ヒルズ|花と国宝級の食を楽しむ

十勝ヒルズ

先ほどご紹介した「六花の森」から車で約30分。十勝平野を見下ろす丘の上に位置するのが「十勝ヒルズ」です。こちらは豆問屋さんが運営している「花・食・農」をコンセプトにした場所。ガーデンはもちろん、美味しいレストランが併設されていますので、ガーデンの散策前にランチをいただくのがおすすめ。

「マンガリッツァ豚」を使った、ハンガリー料理

ハンガリーの名店で働いていたモルトヴァン・ヴィクトルさんがヘッドシェフを務める「ファームレストラン ヴィーズ」。園内で栽培した採れたての野菜や、ハンガリーの国会によって『国宝』として認定された「マンガリッツァ豚」を使った、ハンガリー料理がいただけます。ちなみに、世界中で食べられる国宝は「マンガリッツァ豚」だけです。

おいしそうな香りのするバラを集めたユニークな庭

ランチの後はガーデンへ。ぜひ見ていただきたいのが、ルリイロトンボが生息することから名付けられた「トンボ池」の周辺です。大きな柳と睡蓮が浮かぶ姿はモネが描いた庭のよう。

他にもガーデン内には食にこだわる十勝ヒルズらしい、フルーツの香りや、紅茶の香りなど食べ物にまつわるおいしそうな香りのするバラを集めたユニークな庭があります。

ただ、今年は雪が少なかったことや、5月に十勝地方に猛暑日があった影響でバラの花が芳しくなく、ガーデナーさんがとても心配されていましたが、私が訪ねた6月には新芽が芽吹き始めていました。見事な花も魅力的ですが、過酷な環境にもめげず、新たな花を咲かせようとする姿を見つけるのも、ガーデンが楽しくなる理由のひとつではないでしょうか。

■北のオアシス 旬・花・祝・豆 十勝ヒルズ
北海道中川郡幕別町字日新13番地5
2019年度の営業期間: ~10月31日 期間中無休
営業時間: 9:00 ~ 18:00
ファームレストラン ヴィーズ(レストランは通年営業)
営業期間:月曜日定休 (年末年始休業)
営業時間:ランチ  11:00~15:00(L.O. 14:30)ディナー  18:00~20:00(L.O. 20:00)
 

 

真鍋庭園|これが日本?樹木の美しさを知る場所

真鍋庭園|これが日本?樹木の美しさを知る場所

1日目の最終目的地は帯広の中心部近くに位置する「真鍋庭園」へ。

こちらのガーデンの見どころは何といっても二千数百種近くの多種多様な樹木。もともとは造園のプロに樹木の使い方を見せるために作られた見本園がその成り立ちなので、日本庭園・西洋風庭園・風景式庭園といったスタイルの異なるガーデンが見られるユニークな場所です。

さらに魅力的なのが、芝生の園路! こちらでは芝が立ち入り禁止の場所ではなく、なんと通路に。ふかふかの芝の感触を楽しんでほしいということから、このスタイルになったとか。

写真のピンクの植物は花ではなく「メギ」の木の一種。まるで色鉛筆のようにさまざまな色の葉を持つ木が園内をカラフルに染め上げています。

驚くような色合いを持つ木々を愛でながら、ふかふかとした芝生の園路を歩く、至福のひとときです。

 

写真提供:真鍋庭園

園内の中心部にある芝生広場には巨大な「西洋シロヤナギ」が。モネの作品にたびたび登場するのがこの品種です。

写真の西洋シロヤナギを見ると、のれんのようにスパッと枝が刈り込まれているのが気になりませんか? ヨーロッパではこの木が放牧地帯によく植えてあり、家畜が垂れ下がる葉先を好んで食べてしまい、前髪を切り添えたような姿になってしまうのだそう。家畜のいない真鍋庭園ではわざわざ刈り込んで、現地の姿に合わせています。

 

真鍋庭園

園内の奥にはまるで鏡のように景色が写り込む、美しい池があります。ここはニジマスが泳ぎ、野生のカモが到来する、木々に囲まれたとても静かな場所。

1日目の終わりは、夕日に水面が輝く時間にこの池の周辺を散歩してみてはいかがでしょう。

■真鍋庭園
北海道帯広市稲田町東2-6
ガーデン営業期間 :~12月1日(日)期間中無休
営業時間  8:00 ~ 日没 ※季節により時間変更の場合あり
入園料  大人(高校生以上)800円、小・中学生200円、幼児無料
 

 

紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原

紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原

2日目は帯広市内から車で約30分の「紫竹ガーデン」へ。

この日は紫竹ガーデンでお花畑を眺めながらの朝食を予約してみてはいかがでしょう。

こちらでは十勝の旬の食材をたっぷり使った料理をはじめ、サンドウィッチやハッシュドポテト、チキンなどの盛りだくさんのメニューが、ビュッフェスタイルでいただけます。

朝食の後は、「ガーデン街道」一の有名人、紫竹昭葉さんが作った、花いっぱいのガーデンを散策。

代表である紫竹おばあちゃんこと、紫竹昭葉(しちく・あきは)さんが60代で残りの人生をかけて一念発起。一から庭づくりを始めて、2019年で30周年を迎える、昭葉さんの夢が詰まったガーデンです。

 

紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原


昭葉さんは63歳の時、「子どもの頃に遊んだ、野の花が咲く野原のような風景をつくりたい」という思いから、十勝平野の真っただ中にある、1万5000坪の土地を入手。当時は数本の木と小さな家が建っているだけのガランとした場所だったといいます。

そこに木々や花を植え、家族や大勢の人の手を借りて、今では一年を通して2500種以上の花が咲くガーデンへと育て上げました。

 

紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原

入り組んだ作りの広いガーデンは迷ってしまうほど。どこに迷い込んでも、豊かな植物に囲まれた、驚きに満ちた場所が広がっています。

紫竹ガーデン|60代から作り始めた夢の野原

花モチーフの付いた帽子とお召し物がトレードマークの紫竹昭葉さん。「おばあちゃん」とお呼びするのが失礼なほど、若々しく、ユニークでチャーミングなお人柄です。

庭仕事をしていると足も腰も痛くないと、今でも植物と過ごしていらっしゃいます。
ガーデンや植物への思いをメッセージにしてくださいとお願いしたところ、愛用の筆ペンでサラサラと。

「只管遊華(しかんゆうげ) 花は友達 そして貴女と私も花友達ネ」

人生と花の大先輩からいただいた、すっと心に届く、軽やかで、温かい言葉です。

■紫竹ガーデン
北海道帯広市美栄町西4線107番地
2019年度の営業期間:~10月20日(日)期間中無休
営業時間  8:00 ~ 18:00
入園料  大人(高校生以上)800円、小・中学生200円
 

 

十勝千年の森|光と風が作る感動の景色

紫竹ガーデンから車で約40分。十勝エリアで最後に訪ねるのは日高山脈を借景に、400ヘクタール(東京ドーム約85個分!)の敷地を誇る、ダイナミックなガーデン「十勝千年の森」です。

一面の芝が美しい「アースガーデン」は日高山脈の稜線とガーデンがつながっているように見えますが、これはもともと平らな敷地だった場所を、土を盛り、切ってつくり上げたもの。丘全体を包む芝も、光りの角度や風の具合で景色が変化するように、細かく調整されています。

 

もう一つの見どころはガーデンデザインの国際的な賞を受賞した「メドウガーデン」。メドウとは草原という意味で、特にイギリスで好まれている、草原の景色をイメージしたガーデンスタイルです。

一見すると、自然をそのままにしているような雰囲気ですが、実は十勝の自生種、原種、園芸品種の組み合わせを数値化し、植栽パターンを作った上で忠実に植え込み、つくり上げた庭なのです。

フォレストガーデン


「フォレストガーデン」はもともとこの地の植生を活かしてつくった、森の庭です。こちらには十勝で自生する野の花を見ることができます。 

カフェ ラウラウ

この日のランチは、ガーデンカフェで。人気のパン屋さんが作るパンと、十勝の放牧豚を使った手作りソーセージで作った、十勝ならではの素材にこだわったホットドッグが人気です。

■十勝千年の森
北海道清水町羽帯南10線
2019年度の営業期間:~10月20日(日)期間中無休
営業時間: 9:30~17:00(4~6月)、9:00~17:00(7~8月)、9:30~16:00(9~10月)
入園料:大人1,000円、小・中学生500円、幼児無料

 


次回は、北海道ガーデン街道後編。一路、富良野へ向かいます。

 

撮影・文=石川恵子(花毎)

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花毎(はなごと)

花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。人気連載から生まれた、知られざる花の名所を訪ねるツアーや異業種コラボ「お花見タクシー」など実際に参加できるイベントも続々紹介しています

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