幸せへの一番の近道は幸せにしてもらうでなく、なる!
2024.05.172024年05月17日
【シリーズ|彼女の生き様】キャシー中島 #4
人生の選択を“正解”にするのは自分の行動と気持ち
こっちの方が人生楽しいじゃない! 「ま、いいか。なんとかなるわよ」って。 実際、なんとかなっちゃうんです
いいことも悪いことも
全部含めて、人生面白かった
“選択”は間違っていなかった――。人生は選択の連続ですが、私は「自分は絶対にいい方を選んできた」と思っているんです。
すごく大変な方を選んだとしても、それは自分が選んだこと。もしそれを選んでなかったら、今の自分はいないかもしれない、もう終わっているかもしれない、そんなふうに思うんです。
例えば結婚も、夫が勝野(俳優の勝野洋さん)でよかったと思っています。もしも財閥と結婚していたら(笑)、今よりずっと裕福かもしれないけど、こんなに自由にはさせてもらえなかったでしょう。
もちろん、突き詰めていけば、「なんであそこでああいうふうにしちゃったんだろう」って思うことはありますよ。16歳の頃は不良だったから、人の心を傷つけたこともあったかもしれない。あの頃はまだ人のことを考えられる年じゃなかった。やっと25歳くらいからかな、相手のことを考えられるようになったのは。
でも、そういったことも全部含めて、人生は面白い。振り返ると、全部面白かったなって今は思えるんです。
今、貯金があることより
幸せな思い出の方が絶対に大事
「あんなこと、よくやったなぁ」って思うことも、いくつもあります。
夫が製薬会社のコマーシャルを10年間やっていたんですが、その契約が終わったときに、なぜかハワイに別荘を買っているんです。契約が終わるとお金は入ってこなくなるから、みんな守りに入るのに私たちは買っちゃった。「ハワイに行こう!」と、子どもたちも学校を休ませて引き連れて。先生には「学校で教わることより大切なことを教えてきます」とか、「人間形成です」くらいのことを言ってね(笑)
あのとき、あんな散財をしなければ、今はすごいお金持ちになっていたかもしれない。でもね、お金より、あのときのハワイの方がずっと面白かったし、あの頃の子どもたちの姿の方が絶対に大事! 何の後悔もありません。
また、こんなこともありました。結婚して静岡県の御殿場に家を建てて、これからローンを返していかないといけないという時期に、夫の仕事が3か月間、ポンとなくなったんです。
俳優の仕事って順調に続いているときはいいけれど、何の保障もないから、その間は無職。それなのに、あのとき何をしていたかというと、二人で庭に木を植えていた! ヒバやハナミズキ、金木犀など50本くらい買って。しかもショップのおじさんに1本500円なのを「300円にまけて」って、値段交渉もしたりして(笑)
おかげで素敵な庭で家族の思い出がたくさんできました。
面白いでしょ。こっちの方が人生楽しいじゃない! お金はないけど、「ま、いいか。なんとかなるわよ」って。実際、なんとかなっちゃうんです。そう、笑顔で気持ちが前向きなら、なんとかなるものなのね。
それでも、今でも消えない
たった一つの後悔
でもね、本当は一つだけ後悔があるんです。
この前、夜に時間があったから、『私の夫と結婚して』という韓国ドラマを見ました。不幸だらけの主人公がなぜか突然、10年前に戻って人生をやり直す……という内容です。自分なら、何年前に生まれ変わりたいだろう? 迷わず「20年くらい前に戻って、もう一度やり直したい」と思いました。
私のたった一つの後悔は、娘の七奈美をがんで亡くしたこと、がんにさせちゃったことです。だから、もし20年前に戻れたら、若い頃から体をしっかりチェックして、がんなんかにかからせない! きっとうまくよけて通る! 絶対に私より先には逝かせない!と。
戻れないことはわかっているけれど、どうしてもそう思ってしまうんです。他のことには後悔をしない私だけれど、このことだけはずっと後悔として残っています。これからもきっと消えることはないでしょう。
取材・文=佐田節子 写真=中西裕人
構成=長倉志乃(ハルメク365編集部)
【シリーズ|彼女の生き様】
キャシー中島《全5回》
キャシー中島
きゃしーなかじま
ハワイ・マウイ島に生まれ、3歳のころから日本で生活。1969年モデルとして芸能界デビューする。その後テレビタレントとして活躍。パッチワークスクールを主宰し、後進の指導に励んでいる。最新刊『Aloha nui loa』(大和書房)ほか多数。2024年3月には東京・三軒茶屋にカフェ「キャシーマム」をオープン。