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- 70代のおしゃれ上級者に学ぶ!着こなしのコツ
服装に迷ったとき、お手本にしたいのは同世代おしゃれさんの着こなしです。今回は、70代のおしゃれ上級者たちの私服コーディネートを紹介。大人女性の髪型・服装・メイクのコツを同世代スタイリスト・石田純子さんが解説します(※年齢は2020年時点)。
田野倉和子さん(72歳):おしゃれも人生も挑戦を楽しむ
大手百貨店の婦人服売り場で長らく接客業を務め定年退職。これからの人生を考えたときに「まずは還暦記念にホノルルマラソンを走ろう!」と奮起し、初参加にして見事完走したという、田野倉さん。
それを機に水泳など、新しい世界の扉を叩き、ジム通いが習慣になったことで服装にも変化が出たとのこと。
「働いていた頃はスーツにパンプスでしたが、今は着心地がいい服が好き。といっても楽な服をそのまま着るのではなく、街ゆくおしゃれさんを参考に、今っぽいシルエットや全身のバランスを意識するようにしています」(田野倉さん)
髪・メイク:大人世代は軽やかで透明感のあるヘア&メイクを
大人世代こそ、ヘアとメイクが肝心。トップにボリュームをもたせたヘアと明るい色のリップで華やかで若々しい雰囲気に。胸元のブローチは着こなしを華やかに彩るだけでなく、目線を上にする役割も。犬のデザインで遊び心もプラス!
服装のポイント:シルバーの靴でおしゃれ感もぐんとUP
実はシルバーはどんな色とも相性がいい万能カラー。足元に軽快さを出してくれるので、あか抜けて見えます。
着こなしのポイントを石田純子さんが解説!
「シンプルな組み合わせがゆとりのあるニットで今っぽい印象です。ボリュームのあるニットも、田野倉さんのようにスリット入りならすっきり見えますよ。ブローチや柄ソックスなど端々にも気を使っているところも素敵!」(石田さん)
別のコーデもチェック!ジムに行くときもおしゃれに
白いTシャツを投入して顔まわりを明るくクリーンな印象に。「足元からのぞくチェック柄の靴下もポイントですね」と石田さん。
安久井千穂子さん(72歳):服装を考える時間も楽しむ
華やかでボリュームのあるグレイヘアがお似合いの安久井(あくい)千穂子さん。
これまでさまざまな髪型を試し、「やったことがないから」という理由で1年半ほど前にグレイヘアに。髪の色が変わったことで着る洋服の幅が一気に広がりました。
「鮮やかな色や黒といった存在感の強い色を着てもグレイヘアなら喧嘩をしません。グレイヘアにしてから今日着ているグリーンなど色を使ったおしゃれが楽しめるようになったし、また髪色が違うだけで昔買った服も新鮮に映るので、おしゃれが楽しいです」(安久井さん)
髪・メイク:グレイヘアはチャームポイント!今を大切に
「動きのあるグレイヘアが素敵!」と石田さん。メガネで遊んだ分、メイクはツヤを生かした自然な仕上がりなのでバランスが取れています。
着こなしのポイントを石田さんが解説!
「個性的なデザインの眼鏡もトップスと色を揃えればまとまります。濃紺のコートには黒い靴を合わせがちですが、白を選ぶことで、あか抜けますね」(石田さん)
長屋恵美子さん(72歳):個性的な小物使いで遊ぶ
着る人のバランスなどを考慮して既製服を微調整する「モードフィッター」という仕事上、服選びの基準は“動きやすさ”。
「ひざをついたり、いろいろな姿勢で作業をするのでパンツは動きやすいストレッチ入りが定番。ジャケットは袖を折り返して首元にスカーフを差せば、あまり汚れずクリーニングが要らない上に華やかになります。キレイに見えるけれど実用的な服が好き。服選びは着心地の良さも大切にしています」(長屋さん)
かっちりした服は小物でハズすなど、真似したい要素がいっぱいです。
髪・メイク:グレイヘアとピンクのリップで明るい印象に
グレイヘアへ移行したと同時に若い美容師さんにお任せして、新しい髪型にトライ。若々しく見えると周囲から好評だそう。
着こなしのポイントを石田さんが解説!
「自分の体型やバランスを熟知しておしゃれを楽しんでいる姿勢が素敵! 変に隠さず出すところは出す、潔さがカッコよさにつながるお手本です」(石田さん)
本田政子さん(72歳):洋服と接客の仕事が心の支えに
70歳まで百貨店の婦人服売り場などに勤め、今は石田純子さんのお店で週2回働く本田政子さん。手仕事も好きで、黒と白を基本にレースなども取り入れるファッションが好きだそう。
約10年前、長男の準さんがバイク事故に遭い、夫婦でリハビリの生活を支え続けました。その介護の間も「接客と洋服から元気をもらっていたから」と仕事を継続。
2年前、準さんが低酸素脳症で亡くなり、悲しみは消えなくても「お客様がおしゃれをすることで喜ぶ顔を見るのがうれしい」と、温かい笑顔で接客を続けています。
髪・メイク:アシンメトリーな髪型で凛とした印象に
アシンメトリーの髪型にメッシュを入れています。メガネをかけて目元にポイントを。
服装のポイント:再生素材のバッグをポイントにして
プラスチックのパックを利用したリサイクル素材のバッグ。装いのポイントになります。
着こなしのポイントを石田さんが解説!
「冒険心のある本田さん。黒いパンツでも少しデザイン性のあるサルエルタイプなら、地味に見えずおしゃれ。ふわりとした白シャツは、おなかの部分だけインして、両サイドは出すと細く見えます」(石田さん)
森村多美子さん(74歳):60代後半からカジュアルに
今もインテリアの仕事を続ける森村多美子さん。30代後半から服はダナキャラン一筋。黒のかっちりとした服を着ていましたが、60代の頃からさまざまな柄や形にも挑戦するようになったそう。
「4~5年前、突然黒が似合わなくなり、白のブラウスを何着か買って着ていましたが、不思議とまた黒が着られるように。ただの黒と白ではなく、イヤリングなどの小物で一工夫。褒められるとうれしいです」
シンプルな中に自分らしさをのぞかせるおしゃれを楽しんでいます。
髪・メイク:赤い口紅でメリハリを
真っ赤な口紅が黒と白のファッションに映えます。大ぶりのイヤリングでおしゃれ度がアップ。
着こなしのポイントを石田さんが解説!
「一言で黒といっても素材や形で印象が違い、レザーなどを使ったトップスで個性、魅力が増しています。赤いミュールを取り入れてポイントに」(石田さん)
おしゃれは年を重ねるほど自由で楽しいもの!
「みなさん体型も好みも異なりますが、おしゃれによって人生が楽しくなる!と、前向きに考える姿勢は共通しています。大人世代になるとこれまでの経験や、その人の芯の部分が外見にも表れます。内面の魅力がその人にしかない雰囲気を作り、チャームポイントになります。だから大人のおしゃれは楽しいんです。服装に迷ったときは、身近にいる同世代のおしゃれさんを観察して、素敵なポイントを真似することから始めましょう」(石田さん)
監修者プロフィール:石田純子さん(スタイリスト)
いしだ・じゅんこ 女性誌のファッションページや女優のスタイリングなどで活躍。百貨店で行うパーソナルスタイリングアドバイスの他、運営しているセレクトショップ「DUE deux」でのセミナーも大好評。
取材・文=児玉志穂、野田有香(ともに、ハルメク編集部) 撮影=中村彰男 ヘアメイク=小島けさき、木村三喜
※この記事は2020年4月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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