落語会体験記

落語自由自在~桂文枝・新春特撰落語会~

公開日:2019.03.23

古き良き日本文化である落語を聴いて楽しく笑うことで、身も心も元気になることができます。今回はテレビでもお馴染み、桂文枝師匠の落語会の様子をお届けします。

桂文枝・新春特撰落語会

年の初めはいつも文枝師匠の新作落語で初笑いと決めておりますので、2019年も「桂文枝・新春特撰落語会」へ行きました。場所は有楽町朝日ホール、3日間昼夜6回公演です。今回私が行くのは初日の昼の部ですので、言わば肩慣らしかと思いつつも、全力投球を期待して指定席につきます。

まずはオープニングですてきな音楽が流れ始めます。オープニングがオーケストラというのはこの会特有で、優雅なメロディーに乗せて、出演者と演目が紹介されるのも他にはありません。国立演芸場などのネタ出しの会は別ですが、ほとんどの会では演目は噺家が話し出すまで分からないものなのです。

続いて東京なら「前座あがり」というお馴染の三味線太鼓が響くところです。

これは見習いを終え、漸く講座に上がれるようになった新人が登場するときに演奏される曲なのですが、上方には前座・二つ目・真打という階級制度がないので、ここでは聞けません。

「四人癖」 三語(さんご)

三語さんは文枝師匠の17番目の弟子です。

「四人癖」はそれぞれ違った癖を持つ四人が、癖を直すために「癖をやったら罰金」と決めて奮闘するたわいもない噺です。苦戦する四人を演じましたが、思ったほど笑いは呼びませんで、残念でした。
 

「千手観音」 三金(さんきん)

三金さんは文枝師匠の9番目の弟子で、NHK新人演芸大賞優秀新人賞をはじめ数々の賞を受賞しているので期待が高まりました。

「千手観音」は、奮闘したわりには笑いは取れませんでした。三金さんが趣味を取り入れた創作落語「ゴスペル落語」とか「ダンス落語」を聞いてみたかったです。

「優しい言葉」 文枝(ぶんし)

※イメージ

 

「文枝になって7年目ですので、もう定着したかと思っておりましたが、そうでもありません」と文枝師匠がいきなりボヤキます。「『サインして下さい』と言われて文枝と書いたら、横に三枝も書いて下さいと言われた」には大笑い、「ついでに『いらっしゃい』も書いて!」には参りました。で、またまた大爆笑!

テレビ番組「新婚さんいらっしゃい」はもう45年になるのだそうで、こちらはすっかり定着しています。

夫婦円満のコツを伝授する落語「優しい言葉」は途中、リストの「愛の夢第3番」が流れます。上方落語には、三味線・太鼓・笛等の鳴り物が入りますが、ピアノ曲が入るのは斬新でした。この演目はやるたびに違って進化しますと師匠はおっしゃっていますが、自在に緩急をつけ、笑いもいっぱいで、安心して聞けました。大拍手!

「目には蚊を」 文枝

上方落語には見台と小拍子が付き物ですが、なぜか2席目はそれがありません。普段使っている物がないと調子が出ないのでは、という心配をよそに「『新婚さんいらっしゃい』でコケルのはもう止めるようにと言われますが、あれは何ともありません。むしろ起き上がるのが大変なのです」とマクラ(落語の導入部分)から爆笑を取ります。

「目には蚊を」とは飛蚊症の噺で、笑いながらも共感し、考えさせられるテーマでした。

幕が下りてすぐに文枝師匠が出ていらして、年々高齢化していく客席を心配されてでしょうか。「来年も元気で、また会いましょう」と、手を振ってくれました。客席からも手を振り返し、皆でそれに応えます。本当に元気で、またここでお会いしたいと思いつつ、帰路につきました。
 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

注目企画