映画レビュー|「52ヘルツのクジラたち」
2024.02.282022年10月23日
50代でも日々是挑戦♪(41)
我が心の名画座が…
最近、身近で最も残念に思った出来事。それは、私の暮らす街で長年愛されてきた映画館(名画座)「飯田橋ギンレイホール」が、まもなく閉館するというニュースでした。
都心のニューシネマパラダイス
私が住む街、東京・神楽坂で親しまれてきた名画座、その名はギンレイホール。
1974年の開館で、48年の歴史があります。引っ越してきた当初、真っ先に会員となってから約10年。年間20数本の映画に、ここで出逢いました。
たいして映画に詳しくない私には、アカデミー受賞の大作から欧米やアジアの隠れた名作、自分では絶対に探せないレアでツウな作品まで、ランダムに遭遇できることが楽しみでした。時に、凡人の私には最後まで理解できなかったフランス映画などもありましたが(笑)。
このカオス(と言ったら失礼ですが)なセレクトもさることながら、大きすぎないスクリーンに年季の入った202席の赤いシート、本編が始まるとはけていくカーテンの音、コロナ以前は席での飲食も持ち込みも自由という大らかさも、すべてがツボです。
最新のテクノロジーとは無縁の、ほっこりとした劇場の雰囲気と、確固たる信念に基づく上映作品のラインナップ。大好きなイタリア映画のタイトルと同じ、和製ニューシネマパラダイス的な存在でした。
サブスク制度の先駆け!?
ギンレイホールには「ギンレイ・シネマクラブ」という年間パスポートシステムがあります。
シングル、ペア、法人の3種類のカードがあり、入会すると1年間好きなだけ映画が観られます。この仕組み、映画館としては日本初とのことで、今でいうサブスク制度の先駆けですね。
2週間で2本のペース、年間50本以上が上映されるわけですが、名画座と言っても昔の映画ばかりではありません。ロードショーが終わった作品から選別され、比較的早いタイミングで話題作もめぐってきます。
さすがに超大作の場合は毎回満席、配布された座布団を片手に、階段状の通路に座って鑑賞したのも懐かしい想い出です。コロナ禍の今では、あり得ない光景ですよね。
次のステージでの再開と再会を願って
私はNetflix(ネットフリックス)などのVOD(ビデオ・オン・デマンド)を利用していません。
イマドキ? と友人に驚かれますが、ただでさえ夜更かしがちな私にとって、巷で噂のドラマや映画を自由に観られるって、もはや危険な誘惑でしかないからです(笑)。
その点、近所の「マイ・シアター」なら、ちょっと時間ができた時にサクッと楽しめて、エンドレスの心配もありません。我ながらアナログですが、これがいいんです!
コロナ禍で営業危機に陥り、クラウドファンディングを募った際には、たくさんのファンが協力してくれたそうです。微力でしたが私もその一人。
今後は少しずつ状況も改善、と思われた矢先に11月27日閉館のニュース。理由は入居するビルの老朽化に伴う建替工事のため、ということでした。移転先と営業再開の時期については未定です。
今は、遠くない場所での再開のニュースを心待ちに、あと数回、愛着ある劇場をしっかり目に焼き付けておきたいと思います。
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