落語自由自在(52)

鈴本30日会・金翁ロードショー

公開日:2021.12.08

東京・上野鈴本演芸場からの生配信「鈴本30日会・芸歴80周年 記念の会・金翁ロードショー」を観ました。三遊亭金翁師匠、現役最古参92才です。

鈴本30日会・金翁ロードショー
芸歴80周年は前人未踏です

金翁師匠は小金馬さんです!

金翁と言っても、なじみがないと思います。昨年(2020年9月)に金馬を、ご子息に譲り、二代目金翁を襲名したからです。金馬の前は、小金馬でした。

小金馬さんと言えば、国民的コメディー番組、NHKの「お笑い三人組」で、一斉を風靡しました。この番組は1955年(昭和30年)11月から60年3月までラジオで放送され、1956年11月から、66年3月までテレビで公開生放送されました。

つまりは、ラジオとテレビで同時に、放送されていた時期があったのです。その当時は、ラジオが主流で、テレビのある家は少なかったためです。

ちなみに、お笑い三人組とは、落語家の三遊亭小金馬、ものまね芸人の江戸家猫八、講談の一龍齋貞鳳の三人です。

NHKホールの思い出

NHKホールの思い出

ある日、番組を観に行きたくて、妹と一緒にNKHに勤めていた母に頼み、連れて行ってもらいました。

まず驚いたのは、舞台下に管弦楽団が控えていたことです。指揮者がタクトを振り、演奏が始まると、おなじみの出演者が次々登場し「三遊亭小金馬です」などと、自己紹介をします。

舞台装置がゆっくり廻ると、それに合わせて音楽が演奏され、場面が変わるのを、ワクワクしながら見つめていたのを、今でも鮮明に覚えています。子供心にも、贅沢をさせてもらったと、その時思いました。

鈴本演芸場のくいつきは80年の歩み

鈴本の開口一番は、人気女性噺家柳亭こみち(敬称略)続いて一之輔、五代目金馬、橘之助、扇遊という豪華メンバーで繰り広げられ、お仲入りとなりました。

お仲入り(休憩)後の幕開けを、くいつきと言いますが、何とくいつきは、舞台中央のスクリーンに、金翁師匠の昔の写真が映し出されました。それを見ながら、五代目金馬と、柳家喬太郎が質問し、80年を振り返ります。

12才で昭和の名人・三代目金馬に入門。1945年に小金馬となり、深い場所(お客がたくさん入っている所)に出たくて、腹話術にチャレンジするなど、苦労を重ねたそうです。「お笑い三人組」の写真も映し出されました。懐かしいお顔が並んでいますが、残念ながら、今ご健在なのは小金馬さんお一人です。

鈴本演芸場のくいつきは80年の歩み

渾身の一席「影清」

ホンキートンクの漫才の後、この状況で、喬太郎が「午後の保健室」をぶち込みます。続いては紙切りの正楽、そしてトリは本日の主役金翁でした。マクラで場内を沸かせ「影清」というおめでたい一席を30分間熱演、おひらきとなりました。

あの日、NHKホールに連れて行ってくれた母は、9年前に亡くなりましたが、金翁師匠が今もお元気でうれしいです。芸歴80周年は、前人未到ですが、目指すは100周年だそうです。益々のご活躍を、お祈りしております。

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

注目企画