落語自由自在(50)

#8・31俺のカジカザワ余一会

公開日:2021.10.06

イイノホールで開催された「俺のカジカザワ」主催の【らくご@座】。8月31日21時に「よ~い、スタート」で、みんなで一斉に観ませんか? 撮影OK、Twitterでつぶやきましょうというもの。21時になるのを、ワクワクしながら待っていました。

#8・31俺のカジカザワ余一会
オンライン配信を見ながら、みんなで#をつけてツイッターでつぶやきます

柳家喬太郎「鰍沢霊」

柳家喬太郎「鰍沢霊」

今回は前座さんが一人ですので、手が足りませんで、ただ今太鼓をたたいたのは、なんと白鳥師匠でした。大きな拍手がわきます。初めて聞いた白鳥師匠の太鼓、うれしくて。Twitterにみなさん、「#8・31俺のカジカザワ余一会」をつけて盛んに発信。撮影した写真も、次々にアップされます。私も、早速参戦しました。

「鰍沢霊(ゼロ)」は、本編に至る前段で、男女のなれ初めを、喬太郎師匠が創作しました。ここまで膨らませて、次につなぐ喬太郎師匠のすごさを感じました。

登場する猫のかわいいこと、若旦那は意地悪だなどと、みなさんつぶやきます。落語の最中に、人と話すなんて考えられませんから、これは配信ならでは、ですね。

入船亭扇辰「鰍沢」

入船亭扇辰「鰍沢」

ただ今は、最初私が太鼓をたたき、途中からは高座を降りた喬太郎師匠が、たたいてくれました。扇辰・喬太郎の見事なリレーです。盛んに拍手が起こります。

舞台は、東京から雪深い甲州へと移ります。研ぎ澄まされたカマの様な尖った月が、中天に青白く、と情景描写が素晴らしいです。寒さが、こちらにまで、じんわりと伝わってきます。

「おーい おーい」と叫ぶお熊の声が、耳に残ります。先月、私は「渋谷らくご」でこれを観ましたが、あの時は持ち時間30分、今回は45分、さらに深みを増していました。これぞ本寸法、扇辰師匠の絶品の高座でした。

三遊亭白鳥「鬼コロ沢」

三遊亭白鳥「鬼コロ沢」

太鼓は喬太郎師匠、やすけ(鉦)は、扇辰師匠がたたいてくれました。またまた、拍手がわきます。

「鬼コロ沢」は「鰍沢」の後日談ではありませんと、まず断りが入ります。私は別の配信で、すでに観ていますので、驚きませんが、そう思っていた方は多いと思います。これは、鰍沢みたいな噺で、鰍沢ワールドを大胆に改作した近未来のお話です。

舞台は新潟県の三国山脈、今活躍している噺家の実名が、次々に飛び出して、笑いながらも、こんな事を言って大丈夫なのかと、心配になりました。最後に、6代目圓生師匠が出囃子にのって降臨してきます。そして落語とは、落語家とはと、芸論を突き詰めていきます。

豪華な二人が前振りとなり、アンカーの白鳥師匠へとつなぎます。それを受けて立つ白鳥師匠に、心を揺さぶられました。これは大河ドラマならぬ大河落語です。

初めての試み、配信購入者たちが「せ~の」で同時再生、落語を通じてゆるやかな時を過ごす集いも、楽しかったです。

三者三様、晩夏に吹雪く鰍沢、堪能しました。

三遊亭白鳥「鬼コロ沢」

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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