蛭子能収さん・認知症がもたらした生活と夫婦の変化
2024.06.142021年11月27日
なぜ検査結果が出ないのか?その理由がわかりました
認知症は、まだまだわからないことだらけ
認知症の父の通い介護をしています。認知症という病気は、まだわからないことだらけ。雑誌やTVの情報が正しいとは限りません。父の検査結果がなぜ「問題なし」なのか? それは、初期の認知症は検査結果が出にくく、判断が難しい、という理由でした。
どうして「問題なし」なのか?
2016年から認知症の父の介護をしています。
これまで3回、父は認知症検査を受けましたが、どの検査も「問題なし」でした。
この結果は、ずっと母と私の疑問でした。
「認知症でないなら、どうして同じことを何度も聞いてくるのだろう?」
認知症でないなら、なぜ、父は変わってしまったのか?
実は初期の段階では、認知症かどうかの判断は難しいのです。
脳の萎縮は認知症とは関係ない場合も
認知症の初期の段階では、脳は縮んでいません。大きく縮むまでには何年もかかるそう。
かなり認知症が進んだ状態でも、脳に萎縮がない人もいるそうで、逆に萎縮していても認知症でない人もいるそうです。
母も私も、認知症の人は脳が萎縮している、と思い込んでいたので「認知症が進んでいるように思うのに、何で画像診断に出ないのかしら?」と思っていました。
つまり「認知症の人は脳が萎縮している」という情報自体が間違っていたんですね。
父には、長谷川式認知症スケールは簡単だった?
長谷川式認知症スケールは、テストがやさしいので、初期ならばやすやすと合格点が取れてしまうそう。
元銀行員だった父は、計算や暗記が得意です。認知症の人は、症状が進んでも、自分の得意なことは覚えています。
簡単な引き算や、言葉やモノを覚える長谷川式認知症スケールでは、父の得点が高かったのも仕方がないのかもしれません。
家族からの聞き取りが診断の決め手
『認知症を堂々と生きる』(宮本礼子/武田純子 著 中央公論新社)という本には、CT、MRI、脳血流検査、認知症テストを受けるだけでは、認知症の診断はできない、と書いてあります。
認知症の診断で、最も大切なのは「問診」で、家族が感じた変化や違和感が、診察の重要な判断になるそう。
父を受診した先生方は、認知症かどうかの判断は問診ではなく検査結果を重視されました。
「納得がいかないなら、他の病院へ紹介状を書きますよ」と言ってくれた病院もありましたが、嫌がる父を何度も病院に連れていくのは大変です。
早期発見は本当に必要?
認知症は「早期発見が大切」といわれていますが、ここまで書いてきたように、初期の段階では、判断がつかない場合がほとんどです。
父のように、初期の段階で何度も検査をしては結果が出ないと、家族はかえって戸惑ってしまいます。
かといって、かなり認知症が進んでから病院に連れていった方がよかったのか? いまだによくわからないのが本音です。
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