落語自由自在29

10日連続オンライン「文蔵組落語会」を楽しみました

公開日:2020.06.19

落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。新型コロナウイルスの影響で、寄席が有料オンライン配信されています。今回は、10日間にも渡る「文蔵組落語会」をレポートします。

オンラインで文蔵落語会を満喫しました

5月11日から20日までは、本来でしたら3代目橘家文蔵師生が主任(トリ)で池袋演芸場に出演されるはずでしたが、コロナの影響で中止になり、10 日間連続有料オンライン生配信が開催されることになりました。

1回の視聴料は2000円ですが、私は兼好師匠がゲストだった第一回目を見たすぐ後に、文蔵組の組員になりましたので、10日間3000円で視聴することができました。

お得なので組員になった人が多く、現在は450名を超えたと聞いています。当初100名集まればと目論んでいたそうですので、これは文蔵組にとってうれしい誤算でした。組員は、首都圏の方が7割で、残りは地方在住の方ですが、遠方で行けないと諦めていた方々が喜んで参加されたようです。

また、子どもがいる方や、病気療養中の方も家で演芸が楽しめるという新たな発見をしたと、女流落語家柳亭こみち師匠もTwitterで呟いていました。こみちさんご自身も幼い2人のお子さんがいますので、そういうお客さんの気持ちが痛いほどわかったそうです。

中には春風亭百栄師匠のように、2000円払って視聴したという噺家さんもいます。1回2000円はオンラインにしてはお高めですが、それでも単発で視聴される方もかなりいて、毎回数百名は画面の向こうにいるとのことです。画質も音質もクオリティーが高く、めくり(演者名を書く札)もあり、お囃子や太鼓も生で演奏されます。つまり演芸場がそのままスタジオに再現されているのです。今回は、紙切り・漫才・太神楽・マジック・三味線漫談なども登場、豪華なラインナップに、毎日がお祭りのような素敵な10日間でした。

いよいよ楽日、10日間があっと言う間に過ぎ、ふと寂しさを覚える千穐楽(せんしゅうらく)です。本日のゲストは林家たい平師匠、色物はたい平師匠のお弟子さんで、三味線漫談の林家あずみさんです。

 

千秋楽に感じる落語の新しい未来

千秋楽に感じる落語の新しい未来

毎回繰り広げられる文蔵組長とゲストとのトークは、盛り上がります。たい平さんと文蔵師匠は、前座時代、文蔵さんが少し先輩で、よく働くたい平さんを便利に使っていたと言っていました。あの頃は前座が少なくて、一人で3人分くらい働かなければならなかったそうです。

ある日「牛ほめ」を習いに行くから一緒に行かない? と兄さんが誘ってくれて、帰りにラーメン屋で食事して楽しかったなあ……と、たい平師匠が思い出に浸ります。

最近は、庭に実ったジュンべリーを採ってはジャムを作って、瓶に詰めてラベルも貼っているそう。。そこに(ちりとてちん)と書くの? と文蔵師匠がチャチャを入れたりして、和気あいあいとしたトークに仲間っていいなあと思いました。

「磯の鮑」文吾
開口一番は、文蔵師生のお弟子さんの文吾さんです。2月の「横濱小せん会」に登場しましたが、にぎわい座では真ん中あたりの席でしたので、細かい表情は見ることができませんでした。今回はパソコンの画面ですから、よく見えますし、おまけにスクリーンショットもOKです。今まで噺家さんの撮影が許されるなんて、考えてもいませんでした。これも新しい生活なのだとしみじみ喜びを感じました。

「試し酒」文蔵

「試し酒」文蔵

近江屋の下男の久造は、大店の主人に五升飲んだら小遣いをあげると言われ、おあし欲しさにチャレンジします。お酒を飲む場面が何度もあり、それが見せ場でもあります。文蔵師匠の飲みっぷりは、ついこちらが見入ってしまうほど見事です。千穐楽にふさわしいすごい高座を見せていただきました。

三味線漫談 あずみ

三味線漫談 あずみ

数年前に練馬文化センターで見たのが最初で、その後何度か高座を見ています。暮らしに役立つ話は一切しませんと言ってから、関西には魔法の言葉があります。いろいろ話した後で「知らんけど」と言うと、責任を取らないでいいのです。

そういえば以前、虫コナーズのCMで長澤まさみさんも使っていました。あれは責任取らないという意味だったのですね。勉強になりました。

「井戸の茶碗」 たい平

「井戸の茶碗」 たい平

中野サンプラザで6~7年前に聞きました。正直者の屑屋(くずや)の清兵衛さんが、行ったり来たり翻弄させられますが、最後はハッピーエンドになる噺です。途中、屑屋さんが小遊三に似ていると褒められたと言ったり、高木様は昇太と言ってなかったかと、チョイチョイ小ネタをはさみ、6~7年前とはまた一味違った「井戸の茶碗」でした。

オンラインでもきちんとお金が回ることを証明した文蔵組は、緊急事態宣言が解除になった今後も、配信とリアルな会の両輪で行きたいそうです。

小朝師匠もブログで、チケットが完売した6月と7月の公演は中止になったと発表されました。理由はお客様同士が離れて座れないからだそうです。しばらくは、チケットをたくさん売ってはいけないことになっており、そうなると配信をしないと成り立ちません。いよいよ落語の新しい時代の幕開けです。

次回も引き続き、文蔵組落語会 をレポートします。
 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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