落語自由自在24

落語体験記~第2回acacia落語会~

公開日:2020.04.03

落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は、柳家あお馬さんの「acacia落語会」のレポートです。

紹介するのは2回目の「acacia落語会」

新型コロナウイルスの影響で、さまざまな催し物の延期や中止が相次ぐ中、柳家あお馬さんの「第2回 acacia落語会」が開催されました。以前、「落語自由自在18~第一回acacia落語会~」でご紹介した音楽喫茶acacia(アカシア)は、おいしいコーヒーをいただきながら落語を楽しめる喫茶店です。

今回、あお馬さんからは、「春を感じさせる落語を申し上げます」と告知がありましたので、「演目は何かしら?」と道々考えを巡らせました。まず思い浮かんだのは「長屋の花見」です。 それとも「愛宕山」「百年目」「あたま山」かしらと想像しつつ、恐らく「長屋の花見」だろうと見当をつけました。

開催を決めたものの、やはり心配だったのでしょう。

会の前日、あお馬さんから丁寧なメールが届きました。私は私で「今日お客様は来るのかしら?」と、一抹の不安を感じておりました。木戸銭をお支払いし、店内を見ると、すでに座っている方が3人いらっしゃいました。私は夫と妹と3人での参加ですので、これで6名、お店の方が2名いますので、8人ならまずまずです。そう言っている間に、またお一人いらっしゃいました。

柳家あお馬さんは 2014年に5代目柳家小せん師匠に入門。2015年5月に前座となり、「あお馬」と名乗るようになりました。2019年2月二つ目に昇進。

「やかん」「祇園会」など古典落語が中心ですが、近頃は「古関裕而物語」などの新作も手掛けています。

あお馬さん登場

あお馬さん登場

あお馬さんは、菜の花色の着物に黒の羽織姿で、ゆっくりと高座に上がりました。盛大な拍手が湧き起こりました。

「大規模イベントは中止ですが、ここは小規模ですので、開催に踏み切りました。本日は12名のお客様にお越しいただきました」と、あお馬さん。場内から拍手が起きました。演ずる方も、聞く方もやはり心配だったのですね。ただ自粛された方もいらしたようで、第1回目のときよりは観客は少なかったです。

「本日は上野鈴本に出番がありましたので、それを務めてからこちらに参りました」

今や噺家の人数が多いので、自分の師匠が主任を務めるとき以外は、二つ目が寄席の出番をもらえることはないというご時世に、あお馬さんは他所の師匠に呼ばれるのですから、いかに期待されているかがわかります。ちなみに本日の鈴本の主任は、柳家はん治師匠でした。

「来週日曜日、初めて大阪の舞台に上がらせていただきます」と、うれしそうに話されていました。大阪では「あお馬が翔ける!」と題して、期待の二つ目あお馬さん大阪進出、すっごく素敵ですよ! ぜひ見に来てください!と盛んに宣伝しています。「大阪で一番江戸落語が聞ける寄席」をプロデュースする所では、あお馬さんが前座の頃から注目されていたそうです。

「強情灸」

「前座は修行ですから、1日も休みはありませんが、二つ目になると急に休みになります。自分で仕事を探さないと、誰も呼んではくれません」と言って会場を沸かせた後、噺に入ります。

場の空気が一変、古典落語の世界となります。この噺、江戸っ子は強情だというのがテーマで、お灸が熱いのに熱くないと言ってどんどんエスカレートします。熱さを我慢している場面では、本当に顔が赤くなります。すごい演技力です。そしてついに我慢できずに、もぐさを払い落し「さぞ石川五右衛門は熱かっただろう 」でサゲます。 

「1席目から熱演してしまいました」とあお馬さん。 ご本人もやはり飛ばし過ぎたと思われたようです。

「長屋の花見」

春を感じる落語は、やはり予想通り「長屋の花見」でした。まずは私は予想が当たったことに気をよくしました。

貧乏長屋のお花見ですから、お酒はお茶を薄めて一升瓶に、蒲鉾は大根、玉子焼きはたくあんですので、盛り上がりません。

そのうちの、お酒とご馳走で楽しんでいる人達を見て、一計を案じました。まんまと酒樽をせしめた長屋の連中が宴会をしていると、酒樽を盗まれた人が苦情を言いにきます。ところが、酔って威勢がよくなった連中にやり込められ、苦し紛れに「お酒のお代わり持ってきました」と、お馴染のサゲで終わります。

お仲入り(休憩)で、おいしいコーヒーがでました。これもこの会の楽しみの一つです。

acacia落語会

「転失気」

白黒の縞の着物に着替えての登場です。小さい会でも手を抜かないところがいいですね。

「昨日は柳家わさび師匠の真打披露公演で、岐阜に行って来ました。口上でなんと司会を仰せつかったのです。そこに憧れの柳家喬太郎師匠がいらしたんですよ。喬太郎師匠と並んでの司会は荷が重かった」とあお馬さんは謙遜していました。2つ目になってようやく1年ですから、案外本心かもと思いつつ、それでも立派にやり遂げたのですからすごいです。 

3席目は「転失気」でした。お寺の和尚さんは立場上知らないと言えなくて、その場を取り繕い、小僧の珍念にそれとなく尋ねさせることから起こる騒動です。何度も聞いた噺ですが、笑い転げて閉会となりました。

終演後、あお馬さんから「さいとうさん、いつもありがとうございます」。と声を掛けていただき、「私がさいとうってどうしてわかったのかしら?」と戸惑いつつも、ちょっと嬉しかったです。

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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