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- 落語体験記~第2回acacia落語会~
落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は、柳家あお馬さんの「acacia落語会」のレポートです。
紹介するのは2回目の「acacia落語会」
新型コロナウイルスの影響で、さまざまな催し物の延期や中止が相次ぐ中、柳家あお馬さんの「第2回 acacia落語会」が開催されました。以前、「落語自由自在18~第一回acacia落語会~」でご紹介した音楽喫茶acacia(アカシア)は、おいしいコーヒーをいただきながら落語を楽しめる喫茶店です。
今回、あお馬さんからは、「春を感じさせる落語を申し上げます」と告知がありましたので、「演目は何かしら?」と道々考えを巡らせました。まず思い浮かんだのは「長屋の花見」です。 それとも「愛宕山」「百年目」「あたま山」かしらと想像しつつ、恐らく「長屋の花見」だろうと見当をつけました。
開催を決めたものの、やはり心配だったのでしょう。
会の前日、あお馬さんから丁寧なメールが届きました。私は私で「今日お客様は来るのかしら?」と、一抹の不安を感じておりました。木戸銭をお支払いし、店内を見ると、すでに座っている方が3人いらっしゃいました。私は夫と妹と3人での参加ですので、これで6名、お店の方が2名いますので、8人ならまずまずです。そう言っている間に、またお一人いらっしゃいました。
柳家あお馬さんは 2014年に5代目柳家小せん師匠に入門。2015年5月に前座となり、「あお馬」と名乗るようになりました。2019年2月二つ目に昇進。
「やかん」「祇園会」など古典落語が中心ですが、近頃は「古関裕而物語」などの新作も手掛けています。
あお馬さん登場
あお馬さんは、菜の花色の着物に黒の羽織姿で、ゆっくりと高座に上がりました。盛大な拍手が湧き起こりました。
「大規模イベントは中止ですが、ここは小規模ですので、開催に踏み切りました。本日は12名のお客様にお越しいただきました」と、あお馬さん。場内から拍手が起きました。演ずる方も、聞く方もやはり心配だったのですね。ただ自粛された方もいらしたようで、第1回目のときよりは観客は少なかったです。
「本日は上野鈴本に出番がありましたので、それを務めてからこちらに参りました」
今や噺家の人数が多いので、自分の師匠が主任を務めるとき以外は、二つ目が寄席の出番をもらえることはないというご時世に、あお馬さんは他所の師匠に呼ばれるのですから、いかに期待されているかがわかります。ちなみに本日の鈴本の主任は、柳家はん治師匠でした。
「来週日曜日、初めて大阪の舞台に上がらせていただきます」と、うれしそうに話されていました。大阪では「あお馬が翔ける!」と題して、期待の二つ目あお馬さん大阪進出、すっごく素敵ですよ! ぜひ見に来てください!と盛んに宣伝しています。「大阪で一番江戸落語が聞ける寄席」をプロデュースする所では、あお馬さんが前座の頃から注目されていたそうです。
「強情灸」
「前座は修行ですから、1日も休みはありませんが、二つ目になると急に休みになります。自分で仕事を探さないと、誰も呼んではくれません」と言って会場を沸かせた後、噺に入ります。
場の空気が一変、古典落語の世界となります。この噺、江戸っ子は強情だというのがテーマで、お灸が熱いのに熱くないと言ってどんどんエスカレートします。熱さを我慢している場面では、本当に顔が赤くなります。すごい演技力です。そしてついに我慢できずに、もぐさを払い落し「さぞ石川五右衛門は熱かっただろう 」でサゲます。
「1席目から熱演してしまいました」とあお馬さん。 ご本人もやはり飛ばし過ぎたと思われたようです。
「長屋の花見」
春を感じる落語は、やはり予想通り「長屋の花見」でした。まずは私は予想が当たったことに気をよくしました。
貧乏長屋のお花見ですから、お酒はお茶を薄めて一升瓶に、蒲鉾は大根、玉子焼きはたくあんですので、盛り上がりません。
そのうちの、お酒とご馳走で楽しんでいる人達を見て、一計を案じました。まんまと酒樽をせしめた長屋の連中が宴会をしていると、酒樽を盗まれた人が苦情を言いにきます。ところが、酔って威勢がよくなった連中にやり込められ、苦し紛れに「お酒のお代わり持ってきました」と、お馴染のサゲで終わります。
お仲入り(休憩)で、おいしいコーヒーがでました。これもこの会の楽しみの一つです。
「転失気」
白黒の縞の着物に着替えての登場です。小さい会でも手を抜かないところがいいですね。
「昨日は柳家わさび師匠の真打披露公演で、岐阜に行って来ました。口上でなんと司会を仰せつかったのです。そこに憧れの柳家喬太郎師匠がいらしたんですよ。喬太郎師匠と並んでの司会は荷が重かった」とあお馬さんは謙遜していました。2つ目になってようやく1年ですから、案外本心かもと思いつつ、それでも立派にやり遂げたのですからすごいです。
3席目は「転失気」でした。お寺の和尚さんは立場上知らないと言えなくて、その場を取り繕い、小僧の珍念にそれとなく尋ねさせることから起こる騒動です。何度も聞いた噺ですが、笑い転げて閉会となりました。
終演後、あお馬さんから「さいとうさん、いつもありがとうございます」。と声を掛けていただき、「私がさいとうってどうしてわかったのかしら?」と戸惑いつつも、ちょっと嬉しかったです。
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