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- 落語体験記~横濱小せん会~
落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は、7月に見に行った以来の「横濱小せん会」へ! 柳家小せん師匠の寄席をレポートします。
「横濱小せん会」に行ってきました
柳家小せん師匠は、横浜市出身で1997年に鈴々舎馬桜門下に入門、鈴々舎わか馬となり噺家としてのスタートを切りました。2000年に二ツ目に昇進し、02年に第13回北とぴあ若手落語家競演会で大賞を受賞、06年に鈴々舎馬風門下に移籍しました。2009年 江戸一番勝負!若手落語家競演会グランプリ優勝、10年には、第一回落語協会大喜利王選手権で優勝し、第一回大喜利王に輝きました。同年9月に真打に昇進し、5代目柳家小せんを襲名しました。
一番弟子は、ただいまその人気と実力で各方面から注目されている柳家あお馬さんです。
「道灌」柳家ひろ馬
開口一番は、小せん師匠の二番弟子ひろ馬さんでした。初めて見る噺家さんでしたので、急いでスマホで検索をして調べましたが、ウィキペディアにも載っていませんでした。前座見習いでまだ楽屋入りもしていないようです。それでも、初お目見えですから、期待が高まります。
兄弟子のあお馬さんは、初高座から場内を唸らせるほど上手で、あのときはすごい噺家が現れたと居合わせたみんなで感動したものでした。比べてはいけませんが、どんな落語を聞かせてくれるかと、ワクワクしてしまいます。
ひろ馬さん登場。う~ん、面差しはジャニーズ系で合格!(何が合格なのでしょうか笑)。ひろ馬さんがゆっくりと頭を下げます。
「小せん門下の二番弟子、ひろ馬です」
かたい、かたい。緊張が客席まで伝わってきます。 楽にね、力を抜いてと、つい心の中で呟いてしまいました。
演目はあお馬さんと同じ「道灌」。おや、ご隠居さんが若過ぎる。何とも余裕のない語り口で、ちょいちょい言い直しをしているのが気になります。「角が暗いから提灯借りにきた」のおなじみのサゲで高座を降ります。初めてですから、普通はこれでも合格なのでしょうが、 小せん門下は兄弟子がすご過ぎるので、つい採点基準が高くなってしまいました。これからに期待して、ひろ馬さんに盛大なる拍手を送りました。
「締め込み」橘家文吾
「かな文」と名乗っていた前座時代に、一度聞いたことがあります。3代目橘家文蔵門下の一番弟子です。
「小せん師匠と うちの師匠と 入船亭扇辰師匠で 三K辰文舎(さんけいしんぶんしゃ)というバンドをやっていますので 入門したときから小せん師匠は知っていまして 右も左もわからない頃からいろいろとと優しく教えていただきました うちの師匠は怖いので……」
ここで笑いが起こります。文蔵師匠はテレビの若手大喜利で「楽屋の模範囚」と言うキャッチフレーズで活躍していただけに、強面なのです。泥棒と夫婦の奇妙なやり取りに観客は爆笑。師匠に負けず劣らずのど迫力で、聞かせました。特におかみさんを演ずるのが上手で、客席から盛んに笑いを取っていました。
「金明竹」柳家小せん
この演目は何度も聞いていますが、小せん師匠の「金明竹」は、流れるように噺が運ばれ、特に関西弁でまくし立てる口上が聞かせどころです。師匠は1週間前まで、仕事で漫才師のおぼんこぼんさんや水前寺清子さんと一緒に東南アジアを巡るクルーズ船に乗っていましたので(ダイアモンド・プリンセスではありませんよ)心配しておりましたが、口上も鮮やかで安心して聞けました。
先頃は「名古屋弁金明竹」や「秋田弁金明竹」も演じられているようですが、私はこの正統派関西弁の「金明竹」が好きです。「いいえ 買わず」と言ってサゲてから、場内を見渡す師匠の表情が実にうれしそうで、見ているこちらもこの場にいられる幸せを感じました。
「味噌蔵」小せん
この「味噌蔵」は、冬の噺の代表的なものの一つです。味噌問屋のケチな主人の留守に、帳簿をドガチャカして(誤魔化して)、お酒に刺身、天麩羅に寿司、鰻に煮物や田楽を注文し、大騒ぎの大宴会が始まります。
やがて酔った番頭が歌い出すところが聞かせどころです。歌といえば小せん師匠ですから、みんなこのシーンで聞きほれてしまいます。
そして、奉公人の日頃の不満が爆発。そこへ帰るはずのない主人が帰宅して、という噺です。慌ててごちそうを隠そうとするあたりは、同じ冬の噺で「禁酒番屋」を思い出しました。怒った主人が奉公人を寝かせた後に、豆腐屋から「焼けました」と田楽が届きます。「焼けた」と聞いて、火事だと主人は思い込みます。この時代は火事が多く、人々は火に対してかなり恐怖を抱いていたことは「鼠穴」と言う噺などにも出てきます。戸を開けた途端、田楽の味噌の香りに主人は勘違いし、「味噌蔵に火が入った」で幕が下りました。
あっという間の3時間でした。今夜の夕食は、刺身に天麩羅、寿司に鰻なんて、頭の中で楽しく思い描きながらながら帰路につきました。
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