落語自由自在23

落語体験記~よって たかって 新春らくご20~

公開日:2020.03.06

更新日:2020.03.05

落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は、「よって たかって 新春らくご’20」のレポートです。古典落語、新作落語ともに長けた噺家・柳家喬太郎さんが登場します。

柳家喬太郎さんが登場です!

「21世紀スペシャル寄席ONEDAYよってたかって新春らくご’20」に行ってきました。

まずは、噺家さんのご紹介からです。

「私の寄席情報の集め方~志の輔らくご 歓喜の歌~感想」でご紹介した志の輔さん、「春風亭小朝・林家たい平二人会」でご紹介した小朝さんに続いて、本日は柳家喬太郎さんです。

柳家喬太郎さんは、東京都出身で、平成元年に柳家さん喬に入門、平成5年二ツ目に昇進、平成12年(2000年)3月に真打昇進。高田文夫杯優勝・NHK新人演芸大賞落語部門大賞・国立演芸場花形演芸大賞受賞・芸術選奨文部科学大臣新人賞など数々の賞に輝き、2014年より落語協会理事を務めています。古典落語と新作落語の両方に長けていて、マクラの面白さでも定評があります。

また俳優としてもテレビドラマ「ちゅらさん」「昭和元禄落語心中」「なつぞら」他多数に出演しています。本日「よってたかって新春らくご20」では主任を務めます。

「初天神」三遊亭ぐんま

「初天神」三遊亭ぐんま

前座がマクラを長々とふったら叱られるよ! とご本人に忠告したいくらいでしたが、三遊亭ぐんまさんは白鳥師匠のお弟子さんと知り、納得。群馬県出身と盛んにアピールしてから、群馬名物を織り込む自由な発想の「初天神」。この後どうするのか、と心配し始めた頃に、ほどよい所で切りました。面白い「初天神」でした。

「時そば」三遊亭萬橘

愛知県豊川市出身です。群馬に続いて興味のない地名ですみません。で、まずは大きな笑いをとってから、北関東のとある街に行ったときの話になります。

「駅前にスローガンが書かれていて『犯罪のない街を目指そう』。いいことですね。その次に『自分の身は自分で守ろう』とあります。これって犯罪があること前提ですね。冬は寒いので、そばが食べたくなります」

と、いきなり不自然な運びで「時そば」に入ります。お蕎麦を食べるシーンが丁寧に演じられます。いつまで食べているのかな? と思った瞬間でした。「俺らの前でよく「時そば」なんか演るよなって、厳しい目で見ないでください」と、満席の観客に向かって突っ込みます。喬太郎師匠の得意ネタなんかやりやがってって、思っているんでしょう? 客席のリアクションに、さらに突っ込みを入れるやり取りに、みんなお腹を抱えて笑っています。そして斬新なサゲに唖然!?

「意地くらべ」春風亭一之輔

「最高の『時そば』でしたね。『今何時?』『4つ』『ギャー』これで降りちゃう。一切無駄なことは言わない。いいですね。いつ、むー、なな……無駄ですね。目から鱗です」と一之輔師匠が称賛すると、舞台袖から萬橘師匠登場。「いや、褒めているんだから」としきりに一之輔師匠は弁解、爆笑を呼びます。

「あのね、私に東出(昌大)情報は聞かないように。連絡先は知っていますよ。Eテレの番組『落語ディーパー』で一緒ですから。でも、今何か聞いたら、ネタにするなって思われるだけですから、とても聞けません」

おもむろに「意地くらべ」に入ります。この話は明治の終わり頃に作られた噺で、戦前まではよく聞かれたそうですが、今は演る方は少ないようです。善人しか登場しませんが、それでも話がこじれて意地の張り合いになります。今時、そんな人はいないなと思ったりして、途中でちょっと退屈してしまいました(笑)。
 

清水次郎長伝「お民の度胸」玉川奈々福  

「よってたかってシリーズに出演できる方は、羨ましいなって思っていました。今回呼んでいただいて、とてもうれしいです。私は、浪曲ですが、ついこの間までジャニーズのABCZの戸塚さんと一緒に『阿呆浪士』というお芝居をやっておりました。演出はラサール石井さん、私は狂言回しでした。12月の初めからお稽古に入り、ずっとそれにかかりっきりでしたので、今日は久々の浪曲です」

と、客席を見渡してから、子どもの頃よく耳にした「旅行けば~ 」のお馴染の節が始まります。廣澤虎造さんの次郎長伝、幼い頃ラジオからよく流れていました。懐かしくて、思わず聞き入ってしまいました。

「任侠流山動物園」柳家喬太郎

よってたかって新春落語

さて、本日のお目当ての柳家喬太郎さんの登場です。

「新春て言うけど、もうとっくに正月気分ではないですよね。寄席の世界では20日までは、お正月と言っていますが、それもとっくに過ぎているしね。地方に行くと2月半ばに、初笑いなんて言うのもあります。心配になりますよね。1月半も笑っていないなんて、どんな辛い思いをしていたのかと……」

演目は古典をじっくりかと思っていましたが、「任侠流山動物園」でした。動物を擬人化して、入園者の少ない動物園を自分たちで何とかしようとする噺です。清水次郎長伝をベースに作られた新作落語でもありますので、奈々福さんの後に相応しい演目でした。最後に浪曲を唸ります。

「トラが大きな口をあけ~……ちょうど時間となりました~。三遊亭白鳥作『任侠流山動物園』お粗末」笑いました。場内から「ありがとう」の声が掛かりました。楽しい高座をありがとうと、私も心の中で叫んでしまいました。

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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