50代・60代女性に!おすすめ本90冊を一気に紹介
2023.04.29
公開日:2025年01月08日
ようこそ読書の森へ(14)
江戸人情小説日本橋牡丹堂菓子ばなし『いつかの花』
中島久枝さんの、切なくて、心温まる江戸人情小説。日本橋牡丹堂菓子ばなし『いつかの花』をご紹介致します。
小萩16歳
江戸のお菓子の美しさや、おいしさに魅せられた小萩は、嘉永2年(1849)江戸日本橋、二十一屋(にじゅういちや)で働き始めます。
くゎしや(かしや)だから九、四、八、足して二十一という洒落です。のれんには、牡丹の花が描かれていて、牡丹堂と呼ぶ人も多いそうです。
小萩16歳、ひたむきに生きる少女の1年が描かれています。
遠戚牡丹堂
牡丹堂は母の遠い親戚で、小さな見世ですが、菓子の味は折り紙付きで、日本橋界隈でもちょっとは知られた見世です。そこに1年の約束で、不器用な小萩が、一生懸命菓子づくりに励み、仕事にそして恋に生きる姿が描かれています。
『いつかの花』はシリーズ第1弾ですが、この記事を書いている現在で、第12弾まで出ています。
菓子職人をめざす物語ですので、当然おいしそうなお菓子がこれでもかと登場します。
桜餅・水羊羹・月見菓子・白吹雪饅頭・豆大福・揚げ饅頭・卵菓子・鹿の子等、思い描いただけでも食べたくなります。
日本人の健康を害するといわれている4毒(小麦・植物性の油・乳製品・甘いもの)の中に、甘いものも入っていますが、こんな昔から日本人が食べていた和菓子は、闘病中でなければ少しは食べても良いと言う事ですので、安心して読みました。
日本橋菓子ばなし牡丹堂を読む順番
『いつかの花』
『なごりの月』
『ふたたびの虹』

『ひかる風』
『それぞれの陽だまり』

『はじまりの空』
『かなたの星』

『あしたの星』
『あたらしい朝』

『菊花ひらく』
『ふるさとの海』
『ひとひらの夢』

シリーズはまだまだ続くそうですが、テンポが良くとても読みやすいので、楽しく読了できました。疲れたら、和菓子と煎茶で一休み(笑)。
この後、シリーズの(13)『にぎやかな星空』が、2024年11月12日に出たそうです。早速、本屋さんに走ります。
作者の中島久枝さん
大学卒業後、絵本の出版社、編集プロダクション等を経て、1995年に独立。食と料理をテーマに、雑誌や単行本の企画、構成、編集などを行っています。
2013年 時代小説『日乃出が走る浜風屋菓子話』第3回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞
2014年 同作がポプラ文庫より刊行され、小説家デビュー
2019年『日本橋牡丹堂菓子ばなし』シリーズと、『一膳めし屋丸九』で、日本歴史時代作家協会賞文庫書下ろしシリーズ賞を受賞
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