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- お金の知識と節約法がわかる『財布は踊る』
原田ひ香さんの著書を、最初に読んだのは『三千円の使い方』でした。ドラマ化され大人気でしたので、ご存知の方も多いと思いますが、今回ご紹介するのは『財布は踊る』です。
もう少しお金が欲しい人たち登場
短編連作で、それぞれの章で語り手が変わりますが、やがてすべてがつながります。共通するのは、みんなが「もう少しお金が欲しい」と思っていることです。
第1話に登場するのは、夢を叶えるために、節約を重ねる専業主婦。ここでは節約料理なども学べます。
ルイ・ヴィトンの財布が軸
主婦 葉月みずほは、欲しかったヴィトンの財布を、節約の甲斐あってようやく手に入れますが、途端に物語が動き始めます。
せっかく手に入れたのに、どうなってしまうのと、ハラハラしますが、この財布がバトンとなって、次々に困った人が現れ、思わぬ方向に向かっていき、財布は疑う・騙る・盗む・悩む・学ぶ・踊ると展開していきます。
心に響いた言葉
「一説には、年収は財布の二百倍って言いますよね」
持っている財布の値段の、二百倍の年収になれるという意味だそうで、自分の財布の値段×200って、なんだか言い当てられたようで、ドキッとしました。そんなに値の張る財布は、正直買ったことがないので、都市伝説でしょうが、刺さりました。
もう少し高い財布にしなければと、一瞬思ったりもしましたが、どっちみち年金生活なので、変わらないと気付くのに、時間はかかりませんでした。
お金にまつわる6人の話
お金があれば、幸せになれるとは限らないですが、情報社会ですので、つい他人と比べて、自分が不幸だと思いがちです。
そうなると、みずほの夫のように、リボ払いでクレジット・カードを乱用したりしてしまいます。リボ払いはよく耳にしますが、この本で初めてその仕組みを知りました。
第3話は株の取引きをする男の話です。私自身、株を始めるに当たって、学〇院大学で「頭と尻尾は、くれてやれ」と教わりました。欲張り過ぎると、地獄を見るのだそうです。
第5話の奨学金返済に苦しむ二人の女性の話は、特に胸に迫るものがありました。
お金のために人生を狂わす人、がんばって乗り超えた人、それぞれの結末に納得でした。
作者の原田ひ香さん
2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回創作ラジオドラマ脚本最優秀作受賞、プロットライターとして活躍後、2007年『はじまらないティータイム』で、第31回すばる文学賞受賞。
『三千円の使い方』『一橋桐子(76)の犯罪日誌』『古本食堂』『老人ホテル』『図書館のお夜食』『ギリギリ』『東京ロンダリング』『ミチルさん、今日も上機嫌』『口福レシピ』等著書多数。
お金とおいしい食物がテーマの作品が多く、どれもおすすめです。
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