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本が大好なので、私は月に5~6冊は読みます。読書で、さまざまな世界や時代に旅をするのが、至福のひと時なのです。
藤岡陽子さんの『晴れたらいいね』をご紹介します
あらすじ
総合病院の看護師高橋紗穂は、3年以上も意識のない患者雪野サエの病室をのぞきました。その時突然、激しい地震が起こり、紗穂は気絶をしてしまいます。
気が付くと、そこは戦時下のマニラで、1944年にタイムスリップしていました。しかも「雪野サエ」と呼ばれ、日赤救護班の従軍看護婦になっていたのです。
やがて、赤十字の病院船までもが、爆撃されるようになり、たくさんの負傷兵が運ばれてきます。その看護をする看護婦たちも、兵士同様赤紙1枚で招集されてきたのです。
悲惨な日々ですが、従軍看護婦たちの逞しさ、優しさ、そして強さが救いです。果たしてみんな日本に帰れるのかが気になり、一気読みしてしまいました。
亡き父のこと
フィリピンは、私の父が戦争で行った場所です。100名程の部隊で、無事帰還できたのはわずか2名、1人は脚を失い、無傷だったのは父だけでした。もちろん、私が生まれる前のことです。
ジャングルの中を仲間と逃げまどい、泥水を飲んで生き延びたそうで、8月15日の終戦は知らなかったと言っていました。その後、捕虜となった父は、通訳になり破格の待遇を受け、たくさんの食料を班に持ち帰り分けあったそうです。
それでも激しい労働に耐えきれず、病死した兵士が続出しました。父は英語が話せたため、労働をせずにすみましたが、亡くなっていく仲間を見るにつけ、心に深い傷を負います。今の人なら自分だけラッキーと思うかもしれませんが、父は戦争が終わったのだから、みんなで一緒に日本に帰りたいと思っていたのです。
心に響いた言葉
私は、自決なんて絶対にしません。命が尽きる最期まで、自分の命を守りますよ。敵が目前に迫っているなら降伏します。捕虜になってでも生き延びて、日本に帰るんです。
~中略~
誰が始めたかわからない、誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないのです。
これは、平成に生きる紗穂だけが言えることで、大正生まれの看護婦たちには、理解できなかったのですが、次第にみんな紗穂に付いて行こうと思うようになります。
親世代の体験
ラストは涙しますので、ハンカチをご用意ください。悲惨な戦争を描いているのに、不思議と爽やかな感動に包れます。
これは私たちの親世代が体験した、決して忘れてはならない出来事です。親たちの苦しみ悲しみがあっての、今なのです。
作者の藤岡陽子さんは、大学卒業後、報知新聞の記者になり、その後留学、結婚を機に看護学校に通い、子育てと看護師をしながら、小説を書きました。
人を見る目が優しくて、他の作品も読みたいと思い、デビュー作『いつまでも白い羽根』を購入しました。
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