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音楽ミステリー『さよならドビュッシー』

公開日:2024.12.06

華麗なる調べと、ミステリーが同時に楽しめる中山七里(なかやましちり)さんの『さよならドビュッシー』をご紹介します。

音楽ミステリー『さよならドビュッシー』
『さよならドビュッシー』中山七里 宝島社 自作のレースドールと

ドラマを先に観てしまいました

この作品は映画化もされましたが、テレビドラマ(金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画)の方を、観てしまいました。

タイトルが落語の下げのようになっていて、思わず納得、このセリフが聞きたくて長いドラマを観ていたのだと思いました。驚きのラストにも、心が震えました。

数年後に原作と出会う

ドラマの内容を鮮明に覚えていて、驚愕の結末も知っているので、果たして今さら楽しめるのかとも思いましたが、ページをめくるごとに、ぐいぐい引っ張られていきました。

ドラマの舞台は鎌倉でしたが、原作は名古屋。私は中学生の頃、名古屋で過ごしましたので、懐かしくて余計にのめり込んでしまったのです。

ピアノ演奏シーン

ピアニストを目指す少女が主人公ですので、ピアノを弾く場面が頻繁に登場します。

映像なら説明は要りませんが、活字の世界ではどうするのかと思いました。そこは中山七里さん、実に鮮やかに表現しています。5歳から45年間ピアノの世界にいた私も、その的確な表現に舌を巻きました。

行間からメロディーがあふれ出て来て、すっかりピアノの音に包まれながらの、心地よい読書となりました。

ただ、曲を知らない方には伝わるのかと思いましたが、今はYouTubeがあるので、検索して曲を流しながら読まれた方もいらっしゃるとか。すごい時代になったとつくづく思いました。

作者の中山七里(なかやましちり)さん

岐阜県出身の男性作家で、2009年48歳の時『さよならドビュッシー』でデビューし、今やどんでん返しの帝王と呼ばれるベストセラー作家です。

ペンネームは、ご本人の故郷に程近い岐阜県下呂市にある渓谷、中山七里(飛騨木曽川国定公園)にちなんでつけられたそうです。

音楽ミステリーを読む順番は?

この音楽ミステリーは、天才ピアニスト岬洋介が活躍しますので『岬洋介シリーズ』と言われています。次のような順に読むのがお勧めです。

  1. 『さよならドビュッシー』                                                      
  2. 『おやすみラフマニノフ』    
  3. 『さよならドビュッシー前奏曲』        
  4. 『いつまでもショパン』
  5. 『どこかでベートーヴェン』
  6. 『もういちどベートーヴェン』
  7. 『合唱 岬洋介の帰還』
  8. 『おわかれはモーツァルト』
  9. 『いまこそガーシュウィン』

『さよならドビュッシー』で、第8回このミステリーはすごい!大賞を受賞。『おやすみラフマニノフ』は本屋大賞にノミネートされています。

音楽とミステリーが同時に楽しめる岬洋介シリーズの10作目は、チャイコフスキーになると『いまこそガーシュウィン』で予告がありましたが、まだ刊行されていないようです。待ち遠しいです。

音楽ミステリーを読む順番は?
『おやすみラフマニノフ』宝島社 『いつまでもショパン』宝島社 
音楽ミステリーを読む順番は?
『さよならドビュッシー前奏曲』宝島社
音楽ミステリーを読む順番は?
『どこかでベートーヴェン』宝島社 『もういちどベートーヴェン』宝島社
音楽ミステリーを読む順番は?
『合唱』宝島社 『おわかれはモーツァルト』宝島社
音楽ミステリーを読む順番は?
『いまこそガーシュウィン』宝島社

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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