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- 元気がもらえる大河小説『らんたん』
今回ご紹介するのは『らんたん』です。作者 柚木麻子さんの母校、恵泉女学園の創立者 河井道が主人公。明治・大正・昭和を生き抜いた女性から、元気をもらえる大河小説です。
著名人が続々登場
道は少女時代、札幌のサラ・クララ・スミス女学校で学び、新渡戸稲造と出会います。その後、新渡戸の紹介で、お札になった津田梅(後に梅子に改名、作品の中では津田梅)を訪ねます。その出会いこそが、留学の決心につながるのです。
その他、有島武郎・大山捨松・広岡浅子・野口英世・徳富蘇峰・平塚雷鳥・山川菊栄・神近市子・村岡花子・吉屋信子・柳原白蓮・石井桃子・犬養道子・太宰治・市川房枝・加藤シズエ・白洲次郎など著名人が続々と登場します。
ボリュームのある本なので、手に取った瞬間ためらいますが、朝ドラの主人公が登場したりするので、楽しく読むことができます。
ランターンの伝統
明治33年に、道はアメリカのプリンマー女子大に入学、そこにはランターンの伝統があり、上級生が下級生に、一つずつランターンという灯篭を継承するのです。
その火が最初に消えた子は、すぐお嫁さんになり、最後まで消えなかった子は、ドクターになれるという言い伝えがあります。絶対、火を消してはならないと、皆思ったそうです。結婚したら、自由がなくなるからでした。
昔も今も、女性にとっての結婚は、自由を失うことだったのですね。
女子英塾(後の津田塾大学)から恵泉
帰国後、津田梅の手助けをしますが、女子教育の場を自身でも作りたいという思いが強くなり、やがて恵泉を創立します。多くの行事を行い、いろいろな知恵を身につける恵泉学園の風景が楽しく、こういう学校に行きたかったと思ってしまいました。
引っ込み思案で、勉強嫌いだった道が、こんな素晴らしい学校を作ったその変貌ぶりにも驚きました。
名門 恵泉女学園大学の学生募集停止が、2024年教育機関に大きな波紋を投げかけました。道がもし健在なら、どんな思いでこの状況を見ているでしょうか。
作者の柚木麻子さん
恵泉女学園中学・高校を卒業、立教大学時代、脚本家を目指しシナリオセンターに通う。
ドラマのプロットライターを務める。
製菓メーカーに就職。
塾講師や契約社員のかたわら小説の賞に応募。
主な作品リスト
2008年 第88回オール讀物新人賞受賞『フォーゲットミー、ノットブルー』
2010年 初の単行本『終点のあの子』刊行
2011年 『あまからカルテット』
2012年 『けむたい後輩』『私にふさわしいホテル』
2013年 『王妃の帰還』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くんA to E』第150回直木賞候補
2014年 『本屋さんのダイアナ』第151回直木賞候補
2015年 『ナイルパーチの女子会』第28回山本周五郎賞受賞
2017年 『BUTTER』第157回直木賞候補
2019年 『マジカルグランマ』第161回直木賞候補
2021年 『らんたん』
2024年 『あいにくあんたのためじゃない』第171回直木賞候補
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