少部数・低価格の冊子印刷にチャレンジ!

初めてのリアル本制作体験記(1)

公開日:2024.12.14

来年8月に迎える還暦記念のため、「手触りのあるリアルな本を作ってみたい」そう思い立ち、少部数・低価格での冊子印刷にチャレンジしてみました。SNSとは違い、自分の手と頭を総動員しなくてはならず、私にとっては高レベルの脳トレとなりました。

初めてのリアル本制作体験記(1)
初めて制作したリアルな本『flow Essence』

本作りのきっかけ

本作りのきっかけ

20年以上前から、私はブログやインスタグラムなどのSNSに投稿しています。

50代に入ってからはライターの仕事に就き、いくつかのweb記事を書いてきたのですが、そのどちらも自分の声が誰かに届いている、という実感が希薄なままでした。

また、仕事でのweb記事はほとんどが「紹介記事」で、他の人のことや他の場所のことばかりを書いているのです。

そんな物足りない気持ちから、

「還暦を機に自分事のリアルな本を作って、身近な人たちに手渡してみようかな」

そう思うようになりました。

どんな体裁の本にする?

どんな体裁の本にする?

最初に考えたのは「読み手の負担にならないページ数にしたい」ということでした。

ちょっとした隙間時間に開けるような、20ページ前後のA5サイズに。

写真とエッセイの本にすることは決めていたので、一編はコーヒーを飲みながら読み終えるくらいの、800字程度がいいかも。

まずはこんなふうに、ざっくり形から決めていきました。

自分らしさがわからない

自分らしさがわからない

ところがいざパソコンの前に座ると、肝心のエッセイがなかなか決まらないのです。

日常での気付きやカフェでのくつろいだ時間のことなど、表現したい「自分事」は浮かんでくるのですが、

「これを私が書くことに意味があるのかな」

そう思い始めると、手が止まってしまいます。

「私らしい思い、私らしい視点……それって、どんなだったっけ」

以前書いたブログを読み返したり、ノートに書き散らした言葉のメモをまとめたり、本に収録するエッセイを決めるまでにかなりの時間を費やしてしまいました。

日常に紛れて「自分」という個性が見えなくなっている、そのことに改めて気付いた時間でもありました。

結局、中心となるフォトエッセイを2つ、軽い読み物を1つ、短歌の連作を8首選ぶことができたのは、約2か月後のことでした。

印刷会社の選定あれこれ

印刷会社の選定あれこれ

あたりまえのことなのですが、リアルな本を作るには印刷しなくてはならず、料金も発生します。

そのことについてはまるで知識がなく、「20ページのA5サイズの本を30部印刷する」と設定して、ネットでいろいろ検索をしてみました。

すると、版下を作製しない「オンデマンド印刷」なら、ある程度お安く少部数の冊子印刷ができることがわかったのです。

しかも業界最安値のP社なら、30部で6000円を下回る価格。

「ありがたいな。ここでお願いしてみよう!」

そう考えて、P社のサイトで原稿作りの方法を調べてみました。

Wordでの原稿作り

Wordでの原稿作り
字体を試し打ちしたり、ページの割り振りを考えたり、地道な作業が多かったです!

価格がお安いだけあって、P社では「完全原稿」を求められます。

サイズ違い等、印刷過程での明らかな不具合は指摘していただけますが、それ以外は送った原稿がそのまま印刷されて本になる……つまり途中で何のチェックも入らないのです。

原稿の作り方はいくつかの方法があり、私は1ページずつWordで作製し、それをPDFに変換することを選びました。

フォントはどれにするか、文字の大きさはどれくらいにするか、ページの見開きや写真の配置、表紙デザインまで、決めるのは何もかも自分自身。

断ち切りを考えて3mm以上塗り足しをしておく、印刷の色はRBGデータより暗めに出る……等々、なじみのない注意点もあり、私にとっては連日脳トレをしている気分でした。

すべてを終えたなら、ページ順に並べたPDF原稿をフォルダに収め、そのデータを圧縮。メールに添付してP社に送り、完了です。

ここまでの作業のあまりの煩雑さに、

「ああ、やっと終わった~!」

と、この時は解放感に満ちて、バンザイをしたい気分でした。

そう、この時はまだ、何も知らずに……。


(次回に続きます)

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美年~mitoshi~

自然豊かな和歌山県在住のフリーライター。高野山や丹生都比売神社、和歌浦三社が暮らしの中にある日々を送っています。神仏や野の花と向き合えば心の風通しが良くなり、視界がすっと澄むような。(社)和漢薬膳食医学会認定 和漢薬膳師。(社)自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー。

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