醤油の製法を学び、テイスティング体験!

醤油の正体って?発祥の地・和歌山県湯浅町で学ぶ

公開日:2023.07.16

和歌山県湯浅町は、醤油発祥の地として知られています。2023年5月、今も伝統的な製法を守っている「湯浅醤油(有)」へ、醤油蔵見学に行ってきました。

醤油って一体、何?

日々の生活に根付いている調味料、醤油。

身近なだけに、どんなきっかけで生まれたのか、何からどんな作り方をしているのか、改めて知る機会は少ないのではないでしょうか。

「湯浅醤油(有)」では、実際に醤油仕込み中の杉樽を並べた「九曜蔵」を見学し、醤油の歴史や製法を学ぶことができました。

醤油って一体、何?

説明してくださったのは「丸新発酵蔵部」という醤油や味噌作りの体験教室も運営している宮本結実さん。宮本さんの案内で、まずは醤油の歴史をたどりました。

醤油って一体、何?
宮本さんの背丈よりもはるかに大きな杉樽。この中に醤油が仕込まれています

醤油のはじまり

時は鎌倉時代、中国の金山寺で学んだ僧侶・覚心が持ち帰ったのが金山寺味噌(きんざんじみそ)の製法。

刻んだ茄子や瓜などの夏野菜を仕込んだ「おかず味噌」で、樽で熟成させている最中、「たまり」という水分が上がってきます。

この「たまり」が醤油の起源となり、以来、よりおいしいものをと約200年に渡り改良を重ねられたものが現在の醤油となったということです。

醤油のはじまり
醤油の歴史について語る、宮本さん

伝統的な醤油の製法

では、醤油の伝統的な製法とはどんなものなのでしょうか?「湯浅醤油(有)」ではこのような方法で醤油が作られています。

  1. 茹でた後、蒸した大豆に、炒って砕いた小麦と麹菌を混ぜ、室で3日間保温する。
  2. 大豆の茹で汁に塩を混ぜ、1と合わせて杉樽に仕込む。これを「もろみ」と呼ぶ。
  3. 「もろみ」を適宜混ぜ(櫂入れ)、1年半~2年間発酵熟成。
  4. 熟成した「もろみ」8リットルを木枠に張った布に流し入れた後、ヘラでのばし、それを80段重ねる。そのまま、醤油が自然としみ出してくるのを待ち、その後、鉄板を乗せて圧をかける(「生揚げ(きあげ)醤油」)。
  5. 「生揚げ醤油」を樽に入れ、約2週間、澱(不純物等)が沈殿するのを待つ。
  6. 澄んだ部分だけを取り出し、火入れをして濾過。瓶詰めをして出来上がり。
伝統的な醤油の製法
ガラス越しに杉樽を上から見たところ。船の櫂のようなものを使って、中のもろみをかき混ぜます
伝統的な醤油の製法
この木枠にもろみを入れて重ねてゆきます
その後、上に鉄板を乗せ、もろみの7割くらいが醤油となるように、搾り切らないくらいの圧をかけます
伝統的な醤油の製法
奥の杉樽に「生揚げ醤油」を入れ、澱が沈殿するのを待ちます

気温や湿度により変化する「もろみ」の状態を吟味しながら、濾過まではすべて人の手による作業となるそうです。

醤油テイスティング

見学の後、小さなスプーンに醤油を1滴落としてもらい、さまざまな種類のテイスティングを体験。

いかにも醤油らしい深い味のものもあれば、甘みと複雑な風味を含んだもの、燻製にしたスモーク風味の醤油……。醤油そのものをしっかり味わったのは初めてで、貴重な経験でした。

醤油テイスティング
テイスティングをして選んだ醤油「九曜むらさき」(左上)甘味を含む複雑な味わいが冷奴にぴったり
煮浸し用に「白搾り」、やさしい甘みの「金山寺味噌」、おやつ用に「くるみ醤油餅」も購入

「湯浅醤油(有)」には、自宅でMy醤油が作れるキットも販売されています。自分だけの味わい深い醤油ができれば、日々の食生活がより楽しいものになりそうですね。

「手作り醤油キット」
「湯浅醤油(有)」公式サイト

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美年~mitoshi~

自然豊かな和歌山県在住のフリーライター。高野山や丹生都比売神社、和歌浦三社が暮らしの中にある日々を送っています。神仏や野の花と向き合えば心の風通しが良くなり、視界がすっと澄むような。(社)和漢薬膳食医学会認定 和漢薬膳師。(社)自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー。

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