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- 人生後半戦を生きるヒント~村木厚子さんに学ぶ
ハルメクでもコラム連載中の元厚生労働省事務次官の村木厚子さん。十数年前の事件はもちろん、無罪確定後の華々しいご活躍の様子も度々目にしていました。そんな村木さんの講演動画にはたくさんの学びがありました。
印象に残ったフレーズその1
人は誰しも、「支える側」にも「支えられる側」にもなりうる。
長年自分は「支える側」だと思っていた村木さんは2009年、郵便不正事件に巻き込まれて逮捕・勾留され、家族や弁護士、同僚の方々から「支えてもらう側」になりました。
人は支えるか、支えられるかの2択ではなく、どちらの側にもなりうる。いざとなったら人を頼ることの大切さ、支えてもらえることのありがたさを痛感したと語ります。
なるほど、確かに~とは思うものの、ある日突然、想像もしなかった事態に巻き込まれ、あっというまに「犯罪者」のレッテルを貼られて長期間の拘留まで体験した村木さんの恐怖と絶望は、やはり想像すらできません。
そんな稀有な体験をユーモアたっぷりにお話しされる村木さんは常に穏やかな表情と話し方で、思わず引き込まれてしまいました。
印象に残ったフレーズその2
最も大切なのは「好奇心、経験、気分転換、食べて寝ること」の4つ。
突然エリート官僚から地獄の底に突き落とされる不幸な経験をした際も、拘置所内を観察・探求する余力があり、とにかく好きな推理小説を読みふけっていたという村木さんは、気持ちを切り替える力もズバ抜けています。
男女雇用機会均等法施行のだいぶ前、しかも官公庁というさらに厳しい世界で子育てと仕事を両立して来られた中で、
「どうにもできない、考えても仕方がないことは一旦横において、今できることを考える」
習慣が身に着いたとのこと。
そうは言っても、実際には陰で涙したり、絶望の淵に追い込まれたこともあったことでしょう。それらの体験を全て前向きな力に変えて、今を精力的に生きていらっしゃる姿には尊敬しかありません。
特に力を入れてお話しされていたのは、生きづらさを抱えた少女や若い女性の支援活動、若草プロジェクトのことでした。
今の自分ができることを、押しつけがましくなく、謙虚に学びと失敗を繰り返しながら、他者のためにできることをする、私自身にとってもまさに人生後半の課題です。
ご自分の拘留期間164日を、宇宙飛行士・野口聡一さんの宇宙滞在日数を1日上回ったと笑い、拘置所の食事、噂の麦飯もいわゆる「臭い飯」ではなくむしろおいしい、しかも規則正しい生活で健康的に痩せられた、というお話もさすがでした!(笑)。
印象に残ったフレーズその3
後半人生の自分に課すのは「学び続ける」「異なるものとつながる」こと。
リスキリングにもつながる言葉ですが、まさに今、私自身が心がけていること、実感していることで、聞いていてちょっとうれしくなりました。
「もう年だから」とか「今さら」などと言い訳をせず、50代も半ばを過ぎたからこそ、今やらなくてどうする! という気持ちになります。
村木さんはもう一つ、お好きな言葉として「風土は風の人と土の人がつくる」を紹介してくださいました。変化のタネを運んでくる「風」の人と、そのタネを少しずつ時間をかけて醸成させる「土」の人が合わさって「風土」ができる……。
私のルーツである鹿児島の言葉だそうですが、とても腹落ちしました。村木さんのお話には、思わずメモしたくなるパワーワードが満載です。
人生・キャリアのステージは「探索→トライアル→確立→熟達」の繰り返し。このことを理解して新しい人生の波に備え、少しずつ向上していくことが大切。こうした考え方は個人だけでなく、私たち日本人全体にも言えることなのだと力説されていました。
新しいもの、若い人、外国人、自分とは異なるあらゆる人とつながりながら学ぶことで、新しいものが生まれる。若い人=風の人とつながって、自分は土の人ととしていろいろなことを楽しみながら、残りの人生にチャレンジして欲しい! 私もそうしていきます!
との力強い言葉で講座は締めくくられました。
村木さんの行政経験とグローバルな視点から、新たな視界が開けるような熱いエールが胸に響きます。私もこんなふうにしなやかに後半人生を生きていきたい、と思える貴重なひと時でした。
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