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大人の会話を格上げ!哲学用語の正しい使い方は?アンチテーゼって何?
大人の会話を格上げ!哲学用語の正しい使い方は?アンチテーゼって何?
更新日:2025年12月06日
公開日:2022年05月16日
会話がグッと深まる哲学用語1【カタルシス】

哲学の分野でよく使われる「カタルシス」は、もともとギリシア語が語源で、「浄化」「浄化作用」という意味があります。特に、心の中にたまっていた感情が解放されて、すっきりした状態になることを指します。
無意識に抑え込んでいたネガティブな思いが、涙や言葉となって外に出ていくことで、心が軽くなるイメージです。映画や音楽、読書などで胸が揺さぶられ、「思い切り泣いたら、気持ちが晴れた」と感じるときにも使える、便利な言葉です。
- 使い方例
「私は映画を観てたくさん泣いたときに、カタルシスを感じる」
会話がグッと深まる哲学用語2【コペルニクス的転回】
「コペルニクス的転回」は、物事の見方や考え方が、180度ガラリと変わってしまうような出来事や発想のことを表す言葉です。
もとになっているのは、天文学者コペルニクスの考え方。当時は、地球が宇宙の中心だとする「天動説」が常識でしたが、コペルニクスは、太陽を中心に地球が回っている「地動説」を唱えました。この、常識を覆す大きな発想の転換を指して、ドイツの哲学者カントが「コペルニクス的転回」という表現を使ったのが始まりです。
日常会話では、「それまでの価値観をひっくり返すような大きな変化」や「考え方の革命」を表すときに、比喩的に使われます。
- 使い方例
「納豆にこんな食べ方があったなんて!私の食生活にコペルニクス的転回をもたらしたわ」
会話がグッと深まる哲学用語3【パラドックス】

「パラドックス」は、日本語では「逆説」と訳されることが多い言葉です。一見すると間違っているように見えて、よく考えると正しいこと。または、その逆で、正しいように見えて実はおかしいことを指します。
単なる「矛盾」と違うのは、「矛盾している二つのことが、同時に成り立ってしまう」ような状態も含むところ。ぱっと聞いた印象と、じっくり考えたときの印象が食い違うような表現が、パラドックスです。
代表的な例としてよく挙げられるのが、「急がば回れ」「負けるが勝ち」など。最初はおかしな言葉に感じても、意味を知ると深みが感じられる、味わいのある表現です。
- 使い方例
「いまのコメンテーターの意見は、よく考えてみるとパラドックスだった気がする」
会話がグッと深まる哲学用語4【アンチテーゼ】
「テーゼ」は「命題・定立」、つまりある立場や主張のこと。「アンチ」は「反対の」という意味です。ふたつを合わせた「アンチテーゼ」は、「反対命題」「対立する考え方」といった意味になります。
ポイントは、単なる「反対意見」ではないこと。いったん、相手の主張(テーゼ)に一定の理解を示したうえで、「別の立場から見れば、こういう考え方もある」と、新しい反対意見を提示するニュアンスが含まれています。
社会の流れやブームを語るときにもよく使われ、ある価値観が強くなりすぎたときに、それへの反動として起こる動き全体を「アンチテーゼ」と呼ぶこともあります。
- 使い方例
「最近、ミニマムな暮らし方が注目されているのは、かつての大量消費時代へのアンチテーゼなのかもしれない」
会話がグッと深まる哲学用語5【モラルハザード】

「モラル」は「倫理・道徳」、「ハザード」は「危険」という意味の言葉です。この二つを合わせた「モラルハザード」は、「倫理観がゆるみ、道徳が守られなくなることで起きる危険な状態」を指します。
もともとは保険業界で使われていた用語で、保険に入っている安心感から気がゆるみ、かえって事故やトラブルを招きやすくなる現象のことを表します。「守られている」という安心感が油断につながり、リスクの高い行動をとってしまう危うさを指摘するときに使われます。
- 使い方例
「保険に入っていれば安心だけど、そのせいで気がゆるんで事故にあったら本末転倒。まさにモラルハザードですね」
なんとなく耳にしたことはあっても、「はっきり説明できるか」というと自信がない言葉も多いもの。意味と使い方をきちんと押さえておくと、雑談の中でさりげなく使えて、会話が一段と知的に聞こえます。
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