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冬の庭の女王「クリスマスローズ」飾り方5選!切り花でも長く楽しめる
冬の庭の女王「クリスマスローズ」飾り方5選!切り花でも長く楽しめる
更新日:2025年12月18日
公開日:2023年12月26日
冬の庭の女王「クリスマスローズ」

クリスマスの頃に、バラに似た花を咲かせることから「クリスマスローズ」と呼ばれるようになりました。本来は「ヘレボルス・ニゲル」という品種を指しますが、日本の園芸市場では花色が豊富で、早春から春に咲く「レンテンローズ」(学名:ヘレボルス・オリエンタリス)も含めて、総称としてクリスマスローズと呼ばれています。
日本には明治期に渡来し、和名の「寒芍薬(かんしゃくやく)」として、茶室に飾る花として趣味人に好まれていたそうです。
クリスマスローズは、花のつくりもとても個性的。花びらに見える部分は実は「ガク」で、めしべの周りにある「蜜腺」と呼ばれる部分が、本来の花びらが退化したものという不思議な花です。
庭やベランダで育てている方も多い人気の草花ですが、冬になると切り花として花屋に並ぶこともあります。
庭では寒さに耐えて長く咲く一方、切り花になるとぐっとデリケートに。水が下がりやすいので、女王さまに接するように丁寧に扱ってあげてくださいね。
クリスマスローズの飾り方1:ざっくりと生けて楽しむ

クリスマスローズは、花・茎・葉のバランスが絶妙。花瓶に投げ入れるだけでも、自然に素敵にまとまります。
ただし、花の周りを囲むように葉が付いているため、花が葉に埋もれてしまうことも。そんなときは、花の表情がきれいに見えるように葉をよけてあげましょう。少し離れた位置から全体のバランスを確認し、最後に「葉が多い」と感じたら適量を取り除いて整えれば完成です。
写真のように高さの違う花瓶をいくつか並べて飾ると、庭に咲く景色をそのまま切り取ったような雰囲気に。
もちろん、どれか一つだけでも楚々として美しい花あしらいになりますよ。
クリスマスローズの飾り方2: 一輪の美しさを楽しむ

今度は本数を減らし、すっきりと生けてみましょう。
シンプルな花あしらいだからこそ、白いガラスと透明なガラスの花瓶を組み合わせ、器にも変化をつけました。花の本数が少ないときは、写真のように口が細めの花瓶だと生けやすくなります。
なお、クリスマスローズはうつむきながら咲く姿が魅力ですが、下を向きすぎると花の顔が見えにくくなります。そんなときは花瓶のヘリを上手に使い、花を支えて向きを調整してあげましょう。口が細い花瓶は、こうした場面でも使い勝手のよい器です。
クリスマスローズの飾り方3: 季節の植物をプラス

シンプルに楽しんだ後は、枝ものや実ものをプラスして、冬ならではの花あしらいを楽しみましょう。
最初に加えたのは、香りのよい「コニファー」と、茶色の小さな松ぼっくりのような実が愛らしい「ヤシャブシ」です。
針葉樹や実の付いた枝は、冬の空気感を演出するのにぴったり。ほんの少し加えるだけで、季節を感じる花あしらいへと変わります。

小さく可憐なクリスマスローズは「小さな花瓶にしか生けられない」と思われがちですが、実は大きめの花瓶にも素敵に生けられます。
大きな花瓶にたっぷりと水を入れ、短いクリスマスローズを生けてみましょう。
まず、クリスマスローズが沈まないように、器のヘリに花をひっかけるようにして生けます。コニファーはクリスマスローズの後ろに。さらにヤシャブシを加えてバランスを取り、最後に水色の「忘れな草」を添えてアクセントにします。
背の高い花瓶に生けると、うつむいて咲くクリスマスローズの顔が美しく見えるのもうれしいポイント。花は器ひとつで印象ががらりと変わります。ぜひ、お手持ちの花瓶で試してみてくださいね。
クリスマスローズの飾り方4:お正月の雰囲気にアレンジ

意外に思われるかもしれませんが、クリスマスローズはお正月の花飾りにもよく合います。
こちらの写真は「ヤシャブシ」を取り除き、金銀の水引飾りを添えました。このくらいのボリュームなら、飾りを固定しなくても枝の間に差し込むだけで留まります。ひと枝足す感覚で、気軽に試してみてくださいね。

小さな花あしらいも、水引飾りや赤い実ものを少し添えてトレイに載せるだけで、お正月らしい雰囲気に。お正月だからと構えすぎず、ご自宅にあるものを使って、オリジナルの迎春花あしらいを楽しみましょう。水引飾りは100円ショップなどでも見つけられますよ。
クリスマスローズの飾り方5: 最後の一輪まで大切に飾る

クリスマスローズは繊細な花のため、水が下がって花がうなだれてしまうことがあります。そんなときは、思い切って短くカットし、花首を水に浮かべるようにして飾ってみましょう。
水のきらめきと、透明感のあるクリスマスローズの繊細な美しさ。そのハーモニーをぜひ楽しんでくださいね。

「クリスマスローズ」の基本情報
●出回り時期:12~2月
●香り:なし
●学名:Helleborus niger
●分類:キンポウゲ科クリスマスローズ属(ヘレボルス属)
●和名:雪起こし、寒芍薬(カンシャクヤク)
●英名:Christmas rose
●原産地:イタリア、スロベニア、クロアチア、ドイツ、スイス、オーストリアなど
●花言葉:追憶、私を忘れないで、私の不安をとりのぞいてください、など
※ヨーロッパでクリスマスローズと呼ばれている「ヘレボルス・ニゲル」の情報です
構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)
花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)
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※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。




