59歳・人生がキラキラ輝く新しい幸せの見つけ方#1

55歳・6人の子持ち更年期ママが「空の巣症候群」から抜け出せた訳

55歳・6人の子持ち更年期ママが「空の巣症候群」から抜け出せた訳

更新日:2025年10月03日

公開日:2025年08月30日

55歳・6人の子持ち更年期ママが「空の巣症候群」から抜け出せた訳

更年期ど真ん中の55歳に「空の巣症候群」になったLia Lico Mamaさん。著書『もういいじゃん、 私が楽しめば。夫は英国人、 6人子持ちアラカン母のエッセイ』より一部引用し、自分の人生を歩き出すきっかけとなった出来事を語ります。

著者:Lialico Mama(りありこ・まま)さん

著者:Lialico Mama(りありこ・まま)さん

ラスコットエバンス美穂/YouTube「Lia Lico Channel」の動画配信クリエイタ一。1966年広島県生まれ。30歳で英国人と国際結婚。夫の転勤などに伴って、6か国(ベトナム・香港・インドネシア・マルタ共和国・スペイン・イギリス)へ移住しながら、4男2女の6人の子どもを産み育てる。50歳のとき、家族の日常を紹介する動画配信をスタート。登録者数は27.5万人超となる(2025年2月現在)

※本記事は『もういいじゃん、 私が楽しめば。夫は英国人、 6人子持ちアラカン母のエッセイ』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。

子育て一段落後に私を襲った「空の巣症候群」

子育て一段落後に私を襲った「空の巣症候群」
左からダディ、私、ともや26歳、じゅん24歳、かい20歳、かづ18歳、りあ12歳、りこ12歳(バルセロナ/2024年)

人生というのは思った以上に複雑です。特に子育てとなると、その時々で精一杯やっているつもりでも、時が経ち振り返ると、後悔や反省ばかりが浮かんでくるものです。

私の場合は、子どもが6人。加えてダディ(夫のこと)の転勤に伴って、国をまたいだ引っ越しが6回。最後に双子の“りあ”と“りこ”が生まれてからは、ダディが単身赴任だったため、6人をワンオペで育ててきました。

家は常にドタバタの大騒ぎ。でも、それが私の日常であり、今思えばとても幸せな時間でした。

子育て一段落後に私を襲った「空の巣症候群」

朝6時に起きて、朝ごはんとお弁当を6人分作り、小さい子どもたちの身支度をさせて学校へ連れて行き、学校から帰ってくれば、また食事の準備や宿題の手伝いなど。毎日のルーティンをこなすだけで一日があっという間に過ぎていく日々……。

それでも小さい子どもたちは「ママ、ママ」といつも私を必要として追いかけてきてくれる。そんな母としての幸せと、大変さが詰まった日々でした。

しかし、確実に時は流れ、子どもたちはそれぞれに成長。私が50代の半ばを過ぎた頃には、20年余りの子育てマラソンもゴールにさしかかっていたのです。

待っていたのは、静かすぎる家と、ぽっかり空いた心の隙間でした。私はまさに、「空の巣症候群(Emptynestsyndrome)」といわれる、子育てを終えた親が経験する、軽度の鬱(うつ)状態に陥っていました。

子育てを振り返り、押し寄せる後悔に涙…

子育てを振り返り、押し寄せる後悔に涙…

2017年は長男のともやが19歳で、その2年後には次男のじゅんも20歳で独立。2人はYouTuberの道を目指し、アンドラ公国に移住しました。三男のかい、四男のかづは、2021年にバルセロナのイギリス系インターナショナルスクールから、イギリスの私立高校へ編入し、寮生活に。

2022年に10歳になった一番下の双子、りあとりこは「一人にしてほしい」と自室にこもるように。かつて私を玄関まで追いかけて「ママと一緒に行く!」と駄々をこねていた愛らしい姿はどこへ行ってしまったのか...…。

静まり返った家に一人。かつてのドタバタ劇を懐かしく思い出しては、涙する日もありました。

そのたびに、「長男の話をもっと聞いてあげればよかった、もっと一緒に何かすればよかった」「次男には小さい頃から手をかけてあげられなかった。きっと寂しかったのではないか」などの、後悔や悲しみが脳内を支配するのです。

子育てを振り返り、押し寄せる後悔に涙…

後悔は、まだ家を出たわけではない双子の娘に対しても押し寄せてきました。「彼女たちが一番遊んでほしかった幼少期に、私は上の子どもたちの学校や受験のことで手いっぱいで十分に向き合ってあげられなかった」と……。

「もっとああすればよかった」という思いばかりが募り、忙しかったあの頃が無性に恋しくなることの繰り返し.....。まさに負のループでした。

それでも人生は続きます。これからどうやって自分の人生を輝かしいものにするのかと、自問自答する日々。「新しい日常をどう彩るか、それは自分自身の手にかかっている」ということはわかっていました。

子どもたちと共に走り続けてきた20年という時間が、あまりに濃密で愛おしかったからこそ、私は次の一歩をどう踏み出せばよいのか途方に暮れてしまったのです。

「更年期なんて無縁」そう思っていたのに… 

「更年期なんて無縁」そう思っていたのに… 
jessie / PIXTA

イギリスにいた当時、私は55歳で、更年期(Menopause)の真っただ中でした。私の日本の親族は、「更年期?わたしゃ、全くなかったわ」というような超人が多く、てっきり「私も永遠に老いることはない、更年期なんて無縁」と、思い込んでいました。

しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。ある日突然、集中力が崩壊し、突然耳の後ろがキーンと痛くなるような謎の症状や、眠れない夜。そして体が熱くほてったようになるホットフラッシュなどに見舞われたのです。同じような症状の人が周囲にいなかったこともあり落ち込みました。

気が付けば、同じ曲を聴きながら、コンピューターの画面を眺めて、ぼーっとしてしまう。やらなければいけないことは山のようにあるのに、やる気が全く起きない。料理をしていても手際が悪く時間がかかる。部屋も散らかり放題で集中力が散漫に……。

ついに私も自分が老いたことを認め、更年期専門の産婦人科医を3か月待って受診しました(イギリスでは医師の診療を予約して受けるまで時間がかかるのです)

断固として拒否していた「老い」を認めたら…

ここでHRT(ホルモン補充療法)をすすめられ、私はホルモンを補足するジェルを処方してもらいました。これが効果てきめん。不快な症状がずいぶんと和らぎ、心身ともに楽になりました。

しかし、問題はホルモンだけではありませんでした。薄暗いレストランでメニューが読めないのに、老眼鏡を使うのを拒否したりして、「老い」を断固として認めたくない自分がいたのです。

でも、ふと気付いたのです、更年期も悪くないのではないかと。

「ぼーっとして同じ曲をずっと聴いていられるなんて、まるで中学生で初めて恋をしたときみたい。この年でそれをまた経験できるなんて素敵じゃない?」

そうポジティブに思えるようになったのは、3年後、おばさんもおばあちゃんもみんな元気に恋やおしゃれを楽しんでいるスペインに戻ってからのことでした。

ミッドライフクライシスからの「私らしい新たな一歩」

ミッドライフクライシスからの「私らしい新たな一歩」
8x10 / PIXTA

55歳からの3年間は試行錯誤しながら、新しい幸せを模索するようになりました。何を優先するのか、どこに力を注ぐか、それらを考え始めることが私の次の挑戦でした。

自分のための時間や経済力も、年齢を重ねたことの贈り物。やっと子どもの手が離れて自分の時間が持てるようになったのです。ただ、私の場合は更年期の不調に襲われ、貴重な一人時間が不安と向き合うものとなっていました。

それでもようやく1年ほど前に、私の中で眠っていた「寅さん」が目を覚ましてくれたのです。以降は、週末に一人で旅に出たり、家族旅行の最後の1日をあえて一人で過ごしてみたりするようになりました。

その結果、この孤独な時間こそが、誰かと一緒にいることのストレスや依存から解放され、精神的にリフレッシュできる大切な時間であることを実感したのです。

大切なのは、一人の時間と情熱を注げるもの

一人だから楽しめること、好きなことにも情熱を注ぐようになりました。

本を読んだり、好きな映画に没頭したり、毎日日記をつけたり……。新しいアイデアやクリエイティブな発想は、いつも一人のときに生まれてくるものです。

私の母は教師を退職してから、好きだった万葉集の研究を始めました。祖父はやはり退職後、夢であったシダ植物の研究を本にまとめています。いくつになっても情熱があればなんでも一人で始めることができるのだと思います。

私が情熱を注げるものの一つに、フラメンコがあります。フラメンコはインドから移住してきた家を持たない人々の悲しみや怒り、哀愁や希望を踊りで表現したものだといいます。その力強い歌、哀愁のギターと踊りを見ていると、強くなれる気がするのです。

「え?60歳から始めるのなんて無理」って? とんでもない! 今日の自分が人生で一番若いのだから! あなたも一緒に始めてみませんか?

次回は、夫の「ミッドライフクライシス」と私の「更年期」により訪れた夫婦関係の危機と、夫婦仲をよみがえらせる“最強の魔法” について詳しくお伝えしていきます。


もっと詳しく知りたい人はLialico Mamaさんの著書をチェック!

英国人と結婚、6か国へ移住しながら、6人を産み育てて25年。忙しかった子育てが終わった私の心には、ぽっかりと穴が……。夫婦の亀裂、更年期の心身の不調……、一気に襲ってきたピンチにもがきながらも、子どもや、夫との向き合い方を見つめ直し、自分自身の新しい幸せを見つけるまでの体験を綴った一冊。

HALMEK up編集部
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