59歳・人生がキラキラ輝く新しい幸せの見つけ方#3

何歳からでも「情熱」は追える!スペイン人に学ぶ“好き”を楽しむ生き方

何歳からでも「情熱」は追える!スペイン人に学ぶ“好き”を楽しむ生き方

更新日:2025年10月14日

公開日:2025年08月30日

何歳からでも「情熱」は追える!スペイン人に学ぶ“好き”を楽しむ生き方

古い価値観にとらわれて苦しくなっていませんか?本記事はLia Lico Mamaさんの著書『もういいじゃん、 私が楽しめば。夫は英国人、 6人子持ちアラカン母のエッセイ』より一部引用し、毎日が輝きだす「幸せに生きるヒント」をお届けします。

著者:Lialico Mama(りありこ・まま)さん

著者:Lialico Mama(りありこ・まま)さん

ラスコットエバンス美穂/YouTube「Lia Lico Channel」の動画配信クリエイタ一。1966年広島県生まれ。30歳で英国人と国際結婚。夫の転勤などに伴って、6か国(ベトナム・香港・インドネシア・マルタ共和国・スペイン・イギリス)へ移住しながら、4男2女の6人の子どもを産み育てる。50歳のとき、家族の日常を紹介する動画配信をスタート。登録者数は27.5万人超となる(2025年2月現在)

※本記事は『もういいじゃん、 私が楽しめば。夫は英国人、 6人子持ちアラカン母のエッセイ』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。

第1 回は、Lialico Mamaさんが更年期症状と「空の巣症候群」による負のループを脱し、新しい一歩を踏み出すまでの体験談 を。第2回は、夫の「ミッドライフクライシス」と私の「更年期」により訪れた夫婦関係の危機と、夫婦仲をよみがえらせる“最強の魔法” についてお伝えしてきました。

第3回は、スペイン人の生き方や哲学に見る、私たちが忘れがちな「本当の幸せ」のヒントを紐解いていきます。

人生にとって大切なのは、お金よりも「情熱」 

人生にとって大切なのは、お金よりも「情熱」 
mits / PIXTA

Lo esencial es hacer lo que a uno le apetece hacer.

「大切なことは、自分がしたいと思うことをすることだ」(出典/パブロ・ピカソの言葉:『La Tete dóbsidienne』Malraux A著)。

ピカソが残したこの言葉は、スペイン人の生き方そのものを見事に表しています。自分のやりたいことに情熱を注ぎ、それを追いかけることを人生の目的とし、実際にそれをやり遂げる勇気があるのです。そして、それこそが人生の幸せだと。

かつて私たちが住んでいた香港では、「良い学校に入り、良い会社に就職すれば、成功者」という考え方が主流でした。しかし、スペインでは、「良い学校や良い会社がすべてではない」という人に出会う機会が多くあります。

例えば、フラメンコを踊る友人は、プロを目指してタブラオ(フラメンコショー)が行われるバルやレストランで踊り続けていますが、それだけでは生活できないため、ハム専門のバルでアルバイトをしています。

また、ギタリストの友人は、「タブラオの演奏はあまりお金にならず、道で演奏して観光客から投げ銭もらうほうがいいくらいなんだ。でもこうやってギターを弾いていることが生きがいだから」と胸を張ります。

キラキラと目を輝かせながら、好きなことをしている人たちのそばにいると、不思議とこちらまで幸せとやる気を分けてもらえる気がします。

スペイン人にとって、人生は「他人の評価ではなく、自分の情熱を追いかける旅」。たとえお金がなくても、家が小さくても、彼らは心の中にある「情熱」という火を絶やさない。それが、彼らを幸せにし、周囲にも幸せを広げる秘訣、と感じます。

「自分がしたいことを大切にする」。そんなピカソの言葉を体現しているスペイン人の生き方には、私たちが忘れがちな「本当の幸せ」のヒントが詰まっています。

スペインでは「年相応」という概念がない

スペインでは「年相応」という概念がない
Ushico / PIXTA

日本以外の国では、「年齢を聞かれること」はめったにありません。海外で年齢を聞かれた経験は、たぶん産婦人科でだけです。「年相応」という言葉も日本以外で聞きません。それは日本ほど年を気にしないからです。

私が以前、フラメンコを始めたとき、生徒にスペイン人が4人、日本人が5〜6人いました。そこでもやっぱり年齢を聞くのは日本人だけ。私たち日本人が40歳を超えているというと、スペイン人の先生も驚いていました。言わなければ20代と思われていたようなので、そのまま言わなければよかったと、ちょっと残念でしたが。

年相応という概念がないので、スペインの人々はいくつになっても自分の好きなスタイルを楽しみます。

70歳を過ぎていそうなセニョーラ(スペインでは年配の女性を敬称でこう呼びます。ちなみに若い方はセニョリータと呼ばれます)が、シワのある日焼けした肌にミニの白いワンピースとゴールドのアクセサリーで颯爽と歩いている姿を見ると、かっこいいなと思います。ビーチにはビキニやトップレスのセニョーラもたくさんいます。

人からどう思われるかではなく、若い頃から自信を持っておしゃれをしてきたから自分に似合うもの、自分が好きなものをいくつになっても自信を持って着こなしています。

60代でミニスカート・ポニーテールでもいい

一緒にフラメンコをしているマリさんは、70歳近くになりますが、ミニスカートやポニーテールが似合ってキレイです。もちろん、若い頃と比べたら二の腕だってゆるんだりしているかもしれません。でも、誰もそれを気にしないし、指摘する人もいません。

彼女いわく、今の自分には20代の頃より経験と知恵がある。だから、今を一番楽しめているのだそう。

数年前に一度、彼女の家のワードローブを見せてもらったことがあります。フラメンコのドレスやベリーダンスの衣装から普段着まで、素敵なものばかり。うっとりしていたら、「着てみる?」と言われ、みんなでファッションショーをしました。

ずんどうの私には全く似合いませんでしたが、60代でもメリハリのある体と自分に似合うものをいつまでも着こなすマリさんに、みな脱帽でした。

恋は年齢無制限。愛するために生きる

恋は年齢無制限。愛するために生きる
praewpailyn / PIXTA

「恋するなんて、忘れかけた遠い昔の感覚」「そんな記憶なんて、どこか遠い昔に置き忘れてしまった」と思っていませんか?

スペイン人は違います。初恋のドキドキを一生大切にする文化が根付いているのです。夫婦であっても、恋人のようなロマンチックな関係を忘れず、むしろそれが彼らの「人生のエネルギー源」。これ、ちょっと真似してみたいと思いませんか?

最近、私の周りの同年代の友人や知人も、みんな恋人を探していました。

熟年離婚をした友人。シングルマザーで子どもが小さい頃は恋愛どころではなかったけど、子どもも成長して余裕ができたので恋愛模索中の友人。仕事が楽しすぎて結婚するタイミングを逃してしまったけど、老後一緒に過ごすパートナーを探している友人……。

みんながデートアプリ(バンブルやヒンジなど)やバーで出会いを見つけ、デートを重ねてキレイになっていく姿を見ると、「恋ってもしかしてどんな高価な美容セラムより効くんじゃないか」と思うのです。しかもお金もかからない!恋は「最高のアンチエイジング」だと気付かせてくれます。

生活と仕事に忙しすぎて結婚の時期を逃してしまった、フラメンコを一緒にしていた60代の友人が、1年前に少し年上で、すでに定年退職した男性と恋に落ちました。以前よりずいぶんキレイになり、「パートナーの男性が甲斐甲斐しく、上げ膳据え膳してくれている」と、大きな笑顔で幸せオーラを放ちながら語ってくれました。

スペインでは、こうした「年齢を問わない恋愛」が珍しくありません。むしろ、恋をしている人たちを見ると、「恋愛は生きる活力そのもの」というスペイン人の哲学がよくわかります。

「結婚したら恋愛は終わり」ではない

「結婚したら恋愛は終わり」ではない

ただ、アモール(愛)やロマンスを追求するがゆえに、恋する気持ちがなくなっても夫婦を続けることは難しく、離婚率が高いのも現実です。

でも今は、結婚するにしても恋愛をするにしても、いろんな形があります。例えば愛し合っていても、それぞれ前のパートナーとの子どもがいたり、別々に住んだり、結婚という形をとらなかったり。「結婚や恋愛はこうあるべき」という概念は、なくなってきていると感じます。

スペインを含む海外では、日本人はすごく若く見えるので、若くて素敵な人との大恋愛も大いにあると思います。ただし、女性は不埒な男性に引っかからないよう、しっかり見極める目を持つことが重要です。情熱的なアモールには、時に冷静さも必要ですからね。

そして、結婚しているからといって恋愛は終わりではありません。スペインでは、夫婦になっても再び恋人同士のような関係を楽しむため、小さなサプライズや気遣いを欠かさない人が多くいます。

恋愛は人生を豊かにするスパイス。生まれたからには人を愛したい。いくつになっても恋していたい――。

スペイン流アモールの哲学、素敵だと思いませんか? 取り入れてみると、日常が少しずつキラキラ輝き始めるかもしれませんよ。


もっと詳しく知りたい人はLialico Mamaさんの著書をチェック!

英国人と結婚、6か国へ移住しながら、6人を産み育てて25年。忙しかった子育てが終わった私の心には、ぽっかりと穴が……。夫婦の亀裂、更年期の心身の不調……、一気に襲ってきたピンチにもがきながらも、子どもや、夫との向き合い方を見つめ直し、自分自身の新しい幸せを見つけるまでの体験を綴った一冊。

HALMEK up編集部
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