59歳・人生がキラキラ輝く新しい幸せの見つけ方#2
50代夫婦「ミッドライフクライシス」vs「更年期」で離婚寸前に…
50代夫婦「ミッドライフクライシス」vs「更年期」で離婚寸前に…
更新日:2025年10月14日
公開日:2025年08月30日
著者:Lialico Mama(りありこ・まま)さん

ラスコットエバンス美穂/YouTube「Lia Lico Channel」の動画配信クリエイタ一。1966年広島県生まれ。30歳で英国人と国際結婚。夫の転勤などに伴って、6か国(ベトナム・香港・インドネシア・マルタ共和国・スペイン・イギリス)へ移住しながら、4男2女の6人の子どもを産み育てる。50歳のとき、家族の日常を紹介する動画配信をスタート。登録者数は27.5万人超となる(2025年2月現在)
※本記事は『もういいじゃん、 私が楽しめば。夫は英国人、 6人子持ちアラカン母のエッセイ』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。
前回は、Lialico Mamaさんが更年期症状と「空の巣症候群」による負のループを脱し、新しい一歩を踏み出すまでの体験談 をお届けしました。
今回は、夫の「ミッドライフクライシス」と私の「更年期」により訪れた夫婦関係の危機と、夫婦仲をよみがえらせる“最強の魔法”についてお話ししていきます。
コロナ禍の大げんか、夫が放った一言は……
子どもたちが小さかった頃は、夫婦間の不満やストレスを忙しさで紛らわし、見て見ぬふりをしてきました。でも、子どもたちに手がかからなくなってからは、その課題から逃げることはできなくなりました。
夫と向き合うのか、それとも別々の道を選ぶのか? 二人の関係性について、嫌でも考えなければいけない時期が訪れたのです。
コロナ禍で大げんかをしたある日、ダディが静かに言いました。
「僕たち、趣味も違うし、何も一緒にしない。このままだったら、別れたほうがいいのかも。今ならまだそれぞれ別のパートナーを見つけることもできるのではないか」と。その言葉に息を飲んだ私。新型コロナのパンデミックで世界が揺れる中、私たち夫婦の関係も危機を迎えていました。
仕事人間だったダディの「ミッドライフクライシス」と、私の「更年期」が複雑に絡み合い、些細なことで言い争いが絶えない日々……。お互いにミサイルを発射し続けていたのです。
夫からの提案「夫婦カウンセリング」という改善の道
そんな状況で、ダディが私に何度目かの提案をしました。「カウンセリングに行こう」と。
それ以前は、「どうして私たちの悩みを、何も知らない人に話さなきゃいけないの?」と、反発していた昭和生まれの私。しかし、この時ばかりは「少しだけその価値を信じてみよう」「友人や家族に愚痴をこぼしているより、プロの意見を聞くことは建設的かもしれない」と思ったのです。
私たちがカウンセラーに相談した中で、最も印象的だったのは、「二人でお互いに楽しかった思い出を書き出す」というアドバイスでした。最初は疑心暗鬼でしたが、ダディと過ごした時間を振り返りながらノートに書き出していくと、心の奥深くにしまっていた記憶がよみがえってきたのです。
恋人だった頃の何気ない幸せ。フィレンツェでのロマンチックな結婚式。夕暮れのアルノ川沿いを手をつないで歩いたこと。酔った勢いで買ったアコーディオンを橋のたもとで弾いて、投げ銭をもらって二人で大笑いしたあの日――。
その瞬間、心の中に温かな光が差し込んだことを思い出しました。ダディもノート2ページ分、ぎっしりと思い出を書き綴っていました。「僕たちはまだここにいる」と。その確信が私たちを少しずつ変えていきました。
「私たちはまだやり直せる。ポジティブに、仲良くできる方法を探そう」
二人でそう誓い合い、私たちはパートナーとしての愛情やときめきを、再び育む努力を始めたのです。
ハネムーンの地で、再び夫に恋をして

まず始めたのは、二人だけで朝の散歩をすることでした。散歩の間はスマホも見ず、ただ話をするだけ。その時間が、私たちの心の距離を少しずつ近づけてくれたのです。
その後、私たちは思い切って思い出の地、フィレンツェを再訪することにしました。
初夏の柔らかな陽の光に包まれたフィレンツェ郊外にある、緑に囲まれた丘の上の小さな教会での結婚式。街全体を見渡せる丘の上のホテルでのレセプション。再訪してみると、すべてが懐かしく、温かい思い出に満ちた場所でした。
あの日と同じ、アルノ川沿いに映る、黄色や、オレンジ、茶色のグラデーションのイルミネーション。それらを眺めながら、私たちは手をつないで歩き、人生で一番と思えるほど感動した思い出のレストランで、ビステッカ・アッラフィオレンティーナ(フィレンツェ名物のビーフステーキ)を食べたり、思い出の教会を訪れたりしたのです。
それは、ダディに「また恋に落ちそうだよ」と、まるでロマンチックなイタリア人が乗り移ったような言葉をささやかせた魔法の小旅行でした。そして私も、イタリア人が乗り移ったダディに再び恋をしたのです。
夫婦関係を変えるのはポジティブな言葉や行動の積み重ね
「I love you(愛している)」
「I appreciate you(すべてのことに感謝している)」
一日の終わりに、この2つを必ずダディに言ってもらうというルールも作りました。私も、「I love you,I appreciate you,too(私も愛しているし、感謝している)」と、ダディに返事することにしたのです。
最初は半ば無理矢理で、口先だけで言っていたダディも、言っているうちにそう感じるようになってきたそうです。私も、言葉にすることで心に刻み込まれるものがありました。
そしてけんかをしても「エマージェンシー・ハグ(緊急時のハグ)」を欠かさないようにすることで、イライラを静めてから眠りにつくようにしました。
また、それぞれ相手の趣味に興味を持つ努力も始めました。ダディは私が好きなアートや料理、私はダディの好きなサッカーやF1。相手の世界を知り、楽しさを共有することで、お互いに新しい発見がありました。
相手に期待するのをやめたら言えた「ありがとう」
最近気が付いたのですが、いら立ってしまう理由は、相手に「期待」しているからなんですよね。例えば自分が家事や育児で、動き回っているときに「少しぐらい手伝ってくれてもいいのに」と思ってしまう。その期待を裏切られると、いら立ちに変わるのではないかと思うのです。
そこで私は、思い切って相手に期待しないことにしました。隣でのんびりされても、それはダディのスタイルだと思うことにして、たまには私もその隣でのんびりすることにしました。家の中やキッチンが汚かったとしても、後回しです。
すると、ある日不思議なことが起きました。私がのんびりしていたら、ダディがキッチンを片付け始めたのです。今思うと、私がワンオペでなんでもササッとやり過ぎていたのかもしれません。
ダディが片付けをしてくれたことはうれしい驚きとなり、私も思わず「ありがとう」と笑顔になりました。
おしゃれは、夫婦仲をよみがえらせる最強の魔法
夫婦仲良くいるための最大の魔法ってなんだと思いますか? それは「キレイでいること」です。
私の弟が、昔よく言っていたことがあります。
「美しくて仕事もがんばっている妻がいたら、僕はさっさと仕事を切り上げて、買い物し
てごはんを作って待つよ。かわいい顔でありがとうと言ってくれたら、家事ができなくてもオッケー」と。
半分冗談、半分本気。彼なりの哲学だったのでしょう。就職活動のときも、「商社や銀行の面接で一番緊張するのは、受付のキレイなお姉さんと最初に目が合う瞬間だ」と言っていました。
男という生き物は、悲しいかな。本能的に「美しいもの」に弱い生き物なのです。
「ねえ美穂、そろそろ結婚するかしないかの答えをくれないかい?」
なんて、昼間っから、ダディのプロポーズ大作戦が復活したのは、私が「自分をキレイにする時間」を取り戻してからのこと。
子育てワンオペ時代は、そんな余裕なんてなかったけれど、ジムに通い、ネイルをし、ヘアケアをして、少しおしゃれを意識するようになったら――。
あれ? ダディの目つきがやけにロマンチックになっている?
「美しい妻を今日デートに誘いたいんだけど」
なんて、まるで恋人時代に戻ったかのような甘い言葉も飛び出すように。
これは「夫のためにキレイにしましょう」という話ではありません。伝えたいのは、「自分のために、自分を大切にする」ということです。
何でもない日でも、ちょっとヘアメイクをして、いつもと違うスカートをはき、お気に入りのイヤリングをつける。それだけで気分が上がるし、自信を持って過ごせますよね。
その結果、夫婦の関係がより良いものになっていって、新たなロマンスを生むのだと思います。もしかしたら、またプロポーズされるかもしれませんよ。
次回は、スペイン人の生き方や哲学に見る、私たちが忘れがちな「本当の幸せ」のヒント を紐解いていきます。
もっと詳しく知りたい人はLialico Mamaさんの著書をチェック!
英国人と結婚、6か国へ移住しながら、6人を産み育てて25年。忙しかった子育てが終わった私の心には、ぽっかりと穴が……。夫婦の亀裂、更年期の心身の不調……、一気に襲ってきたピンチにもがきながらも、子どもや、夫との向き合い方を見つめ直し、自分自身の新しい幸せを見つけるまでの体験を綴った一冊。




