体力・世代ギャップ・管理職の重圧の中で
「静かな退職」は50代女性にも広がる?自分ファーストな生き方の選択肢
「静かな退職」は50代女性にも広がる?自分ファーストな生き方の選択肢
更新日:2025年11月05日
公開日:2025年10月03日
「静かな退職」という考え方 —— 50代女性にとっての新しい視点
最近よく耳にする働き方の言葉があります。それが『静かな退職』(Quiet Quitting)。
会社を辞めるわけではなく、必要最低限の業務はきちんと果たしながら、それ以上は無理をしない働き方を指します。若い世代のトレンドと思われがちですが、実は50代女性にとっても身近なテーマかもしれません。
全国の会社員2106名を対象にした調査※でも、社員全体の16.3%が「静かな退職」状態にあると推計されています。つまり性別や年代を問わず、誰にでも起こりうる働き方なのです。
※「転職や働くことに関する意識についてアンケート調査」調査期間:2025年5月23日~2025年5月26日/対象:全国の社員100名以上の企業に勤める一般社員・管理職2,106名/調査方法:株式会社スコラ・コンサルトのインターネットアンケートモニターによる回答
「静かな退職」を選ぶのは若者だけじゃない
50代女性の毎日は、家庭の役割、親の介護、夫婦関係の変化など、仕事以外にも大きな責任がのしかかります。加えて、更年期による不調や体力の低下もあり、若い頃のようにエネルギッシュに働き続けるのは難しくなってきます。
それでも「全力投球できなくなった」と自分を責める必要はありません。
調査では「仕事は収入を得る手段」と割り切る人が7割を超えており、世代を問わず「無理をせずバランスを取る」考え方が広がっていることがわかります。
「静かな退職」という考え方は、50代女性にとって馴染みが薄いかもしれませんが、心身や家庭の事情に合わせて“ほどよい働き方”を選ぶ視点として参考になるかもしれません。
やる気低下の背景にあるのは「評価」や「企業風土」
調査によれば、社員のやる気が下がる原因のトップは「評価や報酬が見合わない」(41.1%)。次いで「企業風土への不満」(40.0%)、「昇給・昇進が見込めない」(38.7%)が続きます。
50代女性の場合、役職のあるなしにかかわらず中間管理職的な立場になりやすい世代です。上からの指示と部下からの期待の間で板挟みになり、ストレスは増す一方。さらに、若い世代の「プライベート優先」「仕事は割り切る」という価値観に戸惑うこともあるでしょう。
「自分の時代はがむしゃらに働くのが当たり前だったのに……」と感じる一方で、体力的に昔のようには走れない現実もあります。こうした環境の変化や世代間のギャップが、「静かな退職」という選択肢を後押ししているのです。
転職理由は“ネガティブ”が多数派
同じ調査では、転職理由として「人間関係のストレス」(12.8%)や「ブラックな職場からの逃避」(12.1%)が多く、前向きなキャリアアップ転職は少数派でした。
50代女性にとっても、転職は「出世のため」ではなく「心身に無理のない環境を求めるため」という色合いが強いでしょう。
これまで「一つの会社にとどまるしかない」と感じてきた世代にとっても、今は「環境を選び直す」という選択が現実的になってきています。
「静かな退職」は人生全体を大切にする働き方の一つ
調査を行った専門家は、「静かな退職」を悪いものと捉えるのではなく、ライフバランスを取る工夫として紹介しています。
50代女性にとっても、更年期や体力の変化は避けられない現実です。だからこそ、自分を守るために働き方を調整するのは自然な流れ。
「全力でがんばらなければならない」という思い込みを手放し、仕事も人生の一部として“ほどよく関わる”。 静かな退職は「逃げ」ではなく、「自分らしい働き方を探す」ための選択肢の一つです。
それは後ろ向きではなく、人生100年時代を見据えた新しいキャリアの形とも言えるでしょう。良い悪いを決めつける必要はなく、「そういう働き方もある」と知るだけでも心が軽くなるはずです。
※HALMEK upの人気記事を再編集したものです。




