定年女子はどこへ行く?
定年女子を悩ませる職場のモヤモヤ…ジェネレーションギャップの正体は?
定年女子を悩ませる職場のモヤモヤ…ジェネレーションギャップの正体は?
更新日:2025年07月31日
公開日:2025年07月30日
それなりの世代になって、若い世代に感じる気持ち
昔々、私たちも年長のおじさんたちに「今の若い者はまったく……」なんて言われていたものです。当時は、何?だって世代が違うじゃん!と思っていました(苦笑)
だけどそれなりのお年頃になった今、立場が逆転。若い世代と接する中で、それってどうなの?とか、えらいね~とか、想定外でありえない!とか思ったりすることは珍しくありません。
これをジェネレーションギャップって言うのかしら。
モヤモヤの原因は「時代が違う」…ということ?
2015年に制定された女性活躍推進法は、ジェンダー平等の精神に則り、女性が働きやすい環境を整備しようというもの。
ワーク・ライフ・バランスという言葉が日本で言われ始めたのは1990年代以降でしょうか。内閣府が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」「仕事と生活の調和推進のための行動指針」 を策定したのは2007年でした。
記録によれば、1989年にセクシャル・ハラスメント(セクハラ)が新語・流行語大賞で金賞を受賞。10年後の男女雇用機会均等法の改正の中に、初めてセクハラ対策が盛り込まれ、その後強化されています。
パワーハラスメントとは、2001年にコンサルティング会社社長が提唱した造語だそうですが、パワハラ防止法が施行されたのは2020年。ワーク・ライフ・バランスも、セクハラも、パワハラも、私たちが社会に出た頃にはまだそういう概念自体がなかった時代でもありました。
ようやくここまで来たかと喜ばしいのは確かなんだけど、当時から考えると、今の若者とは働く環境が全然違うわけなので、意識のギャップが生じるのは当然のこと。モヤモヤすることがあっても仕方がないのかもしれません。
30代女性とのジェネレーションギャップに悩む定年女子Jさん
私たち定年女子トークの中でも、定年まで働き続けるかどうかを考えるときに、このジェネレーションギャップのせいで定年までなんて無理!と言う声を聞いたことがあります。
定年女子Jさんは50代の会社員。ある後輩との関係に、悩んでいました。
その後輩は30代前半の女性。入社時は地方から上京し、「東京で働きたくて」と希望に満ちた様子に見えたそうです。ところが、入社してまもなく「1年くらいは残業できません」「朝が早いのは苦手で……」「私、ゆとり世代ですから」と、言い出したのだとか。
それでもJさんは、「最近の若い人はそういうものかもしれない」と思い、丁寧に教えようと努力しました。けれど、仕事を教えるたびにため息をつかれたり、注意をしても返事がなかったり。
そこで直接「私、何か気に障ることを言ったかしら?」と尋ねると、「別に。私、朝は機嫌が悪いんで…」と返されてしまう。機嫌が悪いから何も言うなということなのか、気にするなということなのか。
コミュニケーションが全くかみ合わず、次第にJさんの方が参ってしまったと言います。今の若い人ってこうなんでしょうか?と。
モヤモヤの理由は世代の差?それとも個人の問題?
Jさんの話は定年女子カフェの中でのひとこまでした。
定年女子カフェのおしゃべり会では、毎回テーマを決めていろんなおしゃべりをするのですが、その日のテーマが「ジェネレーションギャップ」。Jさんの話を聞いていた女性たちからもさまざまな声が出てきました。
ーーそれってジェネレーションギャップなのかしら。ジェネレーションギャップというよりも、その人個人の問題、性格の問題じゃないかな。
ーーJさんがやさしいから、って側面もあるよね、その後輩に『変わってほしい』って期待してるから、イライラしちゃうのよ、きっと。諦めていれば腹も立たないから。
ーー私たちの頃と違って、今の時代、少しでも強く言ったらパワハラになるから、みんな“なんとなく”やり過ごしてるところがある。でも結果的には、そのせいで成長の機会を奪うことにもなるよね。
ーー誰もがそういうわけではなくて、ちゃんとフィードバック(=指摘)してもらいたい若者も、実はけっこういる。今の時代は、叱ってほしい、成長したい、と思う若者たちだけが成長できる。
私には、どれもとても納得でした。今の若い世代は、私たちの時代よりも自分を守る意識が強いように思えます。
だって今の若い人たちは物心ついたときからパソコンやスマホは一人一台が当たり前。他人との境界線がはっきりしている。情報は自分好みにカスタマイズされるし、イヤなものは自然にシャットアウトされていく――。
「個」が守られているとも言えるし、「個」で何事も解決せねばと無意識に考えているのかもしれません。
イヤでもやるしかなかった昭和世代とのギャップ
私たち定年女子世代をふりかえってみると、家の電話はどこの家も家族で1台。男の子からかかってくる電話に父親が出て怒鳴られるという関所を乗り越えないと、ボーイフレンドにはなれませんでした(苦笑)
会社の電話も複数人の共有で、話す声は周りに丸聞こえ。新人の頃には応答の仕方で注意されたものです。いつも周りに誰かいる、周りの人が見ているから、無意識のうちに「空気を読む」ことや「周りに合わせる」ことも求められてきたのかもしれません。
「叱られて育つ」世代だったから、たとえ理不尽でも、泣きたい気持ちでも、とにかく踏ん張って、乗り越えてきた人も多いのではないかしら。
もちろん、それがすべて良いとは思いませんが、そうやって育ってきたから、私たちが戸惑いと切なさを感じてしまうのは、仕方がないことかと思います。
もしかしたら、互いに違いを理解し合えて認められる関係であれば、変わるのかしら。たとえジェネレーションギャップを感じていたにしても、本来、世代を越えてわかり合うには、ある程度の「関係の深さ」が必要なのかもしれません。
だけど、リモートワークや明確な分業制などで仕事が成り立ってしまう今の時代。みんなでがんばろう!なんてないし 、表面的なやりとりだけで進んでしまうから、関係性を深める機会自体が少なくなっているのですね。
伝えようとしても、届かなくてつらいときは 自分を守っていい
Jさんの場合、若い彼女への働きかけに対して、大きなため息や投げつけるような言葉で返される行為は、Jさんを傷つけ、自己否定へとつながり消耗させていきました。仕事を拒否されながらもなんとか心を開こうと努力したJさんは、どんなにかつらかったことでしょう。
これまでずっと働き続けてきた定年女子たち。同じ時代を生きてきた者同士のせいか、同じ会社でもないのに「私たち、これまでよくがんばってきたよね」とねぎらい合う会話をすることがあります(笑)
だからこそ、これからは今まで以上に自分を大事にしましょうよ、と私は思うんです。私たち定年女子は、もう無理を重ねてまで自分をすり減らさなくたっていいんじゃないかな。
働いていればいろいろある。いろんな人間と関わるのも当然のこと。
ジェネレーションギャップのせいなのか、個人の問題なのか、それはわからないけれど、がんばってきて努力して、それで自分の方が傷つくようなら、そこは離れてもいい。その人から離れるのもよし、会社から離れるのもよし。これから大事なのは自分を守ること。
特に定年女子はこれまでがんばることを是としてやってきた世代なだけに、我慢してしまいがち。その「自分を守る選択」こそが、今の時代をしなやかに生き抜く力だと信じたいです。
人生100年時代なんて言われて久しいけれど、私たちの人生は、定年後もまだまだずっと続くんです。これまでがんばってきた定年女子ですもの、これからの人生を大事にしなくっちゃ。ここで心を壊してしまっては大変!
これからの人生を今まで以上にごきげんに生きていくために、どうぞみなさま、「ご自愛」くださいませ。




