50代婚活奮闘記22・バリキャリ編集者B美の場合

【22】これが噂の「婚活ウツ」なの!?

【22】これが噂の「婚活ウツ」なの!?

公開日:2025年06月25日

【22】これが噂の「婚活ウツ」なの!?

恋愛・婚活ジャーナリストの清葉アキコが出会った婚活女子の第22話。同業男性との仮交際を終了させたバリキャリ雑誌編集長B美。新たな出会いを!と意気込むも、お見合いが一向に決まらない……。自分にはもう結婚は無理なのか?と悩み始める。

お見合いが決まらない日々にモヤモヤ

結婚相手に求める3つの条件に当てはまっていた同業男性と仮交際デートを重ねていたものの、結婚に向けた真剣交際へ進む決断がつかず終了という決断をしたB美。

新たな出会いを求めてお見合いを申し込み始めたが、なかなかお見合いが決まらない日々が続いた。自分が会いたいと思って申し込んだ相手からはことごとく断られる。「このままでは誰とも出会うことができない!」と不安に駆られ、申し込みされた男性の中から選ぼうと考えたが、自分が重要視している3つの条件と合わない人ばかり。

「顔や身長などの外見的な好みも共通の趣味の有無もこだわっていないのよ。それでもお見合いすることさえできないの!」。久々に会ったB美は、イラ立ちを隠せずにいた。いつもは困難にぶち当たっても落ち着いてクールに対応しているB美なのに……。

「せめて会ってから判断してみてもいいと思わない?」。B美は、私に問いかけてきた。私もそう思う。しかし、結婚相談所によってはひと月にお見合いできる人数が限られていたり、今進展中の相手と真剣交際間近であったり……といったタイミングの問題で断らざるを得ない場合もあるだろう。もちろん、写真やプロフィール文、スペックなどを含む条件などで選別している可能性もある。まぁ、それはお互いさまだ。

「会ってももらえないって……私の何がいけないのかしら?」。そのつぶやきは、いつもの凛としたB美の声に聞こえなかった。

想いと現実のギャップに涙…

お見合いを申し込んでも断られ続け、休日にお見合いもデートもスケジューリングされない。B美の生活は、婚活前のように残業に休日出勤にと仕事に明け暮れる日々に戻ってしまった。しかし、以前と違うのは、仕事に完全集中できなくなってしまったこと。いつも心のどこかにモヤモヤがあり、邪魔をする。

「婚活は会わなくちゃ始まらないのに誰とも会えない――。自分には何が足りないのだろうか?自分は何がダメなのだろうか?もう一生、誰とも出会えず一人で生きていくのだろうか?」モヤモヤはB美の中で日に日に色濃くなっていった。

深夜に帰宅して湯船に浸かると、仕事からプライベートモードに切り替わる。気が付けば、いつもこのタイミングで涙が静かに頬を伝っている。仕事で体も脳もとても疲れているのに、布団に入り暗く静かな空間で横になると、例のモヤモヤは脳まで支配をし始め眠れなくなる。そしてまた、自然と涙があふれ、こぼれ落ちる……。

この頃から、B美の仕事の歯車も狂い始めた。いつものB美なら持ち前のバイタリティでどんな壁も乗り越えていたが、そんな気力も失いかけていたのだろう。毎日、朝起きた瞬間から世界がグレーがかって見えていたという。

これが婚活ウツか!?

婚活では誰にも会えない。仕事もうまくいかない。自分はもうこの世の中では必要とされていないのかもしれない――。B美は時折、そんな思いに押しつぶされそうになっていた。無意識で流す涙の正体は、おそらくこれだ。

しばらくお見合いができていないB美を心配した結婚相談所の婚活アドバイザーMさんから、おすすめの男性を何人か紹介されたが、どうしても気持ちが乗らない。「こんな時こそ会わなくちゃ!」と思うのに、以前のようなわくわく感はまったくと言っていいほど湧いてこない。

これが婚活ウツか!?

「どうせ私なんて……」「多分またうまくいかないだろう」と思いながらのお見合いなんて、うまくいくわけがない。低いテンションのままお見合いに行って会話をしても、以前とは違う自分にB美は気付いていた。結果は薄々わかってはいても、自宅に帰ると届いている「お断りの連絡」を見ると、また涙が止まらなくなるのだった。

「誰からも好きになってもらえない・必要とされていない私……」「私と一緒に生きていきたいと思う男性は、この世の中に一人も存在しないのか?」「私のこれまでの人生って、なんだったのか?」
B美の中のモヤモヤはより色濃くなり、厚みを増し、B美の凛とした表情も華やかなオーラも曇らせていった。

こんな思いをしてまで結婚はしなくてはいけないのだろうか?

「婚活って、こんなにもつらいものなの?」。スマホに送られてきたB美からのメッセージに気付いたのは朝だった。送られたのはド深夜の2時すぎ。今もまだ、深いモヤモヤの闇の中に迷い込んで眠れない日々が続いているようだった。

いつも自信にみなぎってクールでカッコいいB美とは思えないメッセージに、私の心は痛みを感じた。私自身も、婚活アプリでいい相手になかなか巡り合えない日々が続いた頃、お見合いを申し込んでもぜんぜん成立せず誰とも会えない月が続き、自己否定と孤独感に涙を流していた経験がある。

世の中には、すんなりと結婚している人がたくさんいるのに、なぜこんなにまでつらい思いをしても、結婚できないのだろうか?私はそんなにもダメな人間なのか?一生誰からも愛されず孤独に生きていく将来しかないんだ……。気付くとそんな考えが脳内をぐるぐると駆け巡り、涙が次から次へとあふれてくる。

なんとかB美をこの闇から救い出さなくては!そして、素敵なB美に戻ってもらわなくては!!

婚活初心者専門コンサルタント・三島光世さん

三島さんからのひと言

『婚活が思うようにいかない時期が続くと、婚活自体に疲れてしまったり、疑問を抱いてしまったりすることがあります。これが婚活ウツ。出会いはタイミング。自分自身を責めなくていいんです。思い悩むより、どうやったら会えるか前向きな方法を考えて!』

婚活業界歴19年。20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と50歳以上の結婚相談所「とわ婚」(https://towakon.net/)を展開する株式会社ヒカルヨの代表をつとめる。メディア出演多数。著書に『「普通」の結婚がなぜできないの?』(WAVE出版)、『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』(秀和システム)がある。

清葉アキコ
清葉アキコ

雑誌編集部に在職していた20年間、「恋愛」「婚活」など女性の生き方に関する企画を多く担当。編集者として25年以上、年間1000人以上の声を聞いてきた取材・分析力や多くの専門家への取材で得た人脈や知識を活かし、恋愛・婚活ジャーナリスト/コラムニストとして独立。女性たちのインサイトに訴えかける恋愛関連記事の制作・アドバイスや、自身の「婚活」経験をもとにした婚活コラムの執筆などを行っている。