まさかの同居で味わった…嫁いびりの実態は?

【嫁姑バトル体験談】意地悪な姑に今は後悔の日々

公開日:2020.09.06

更新日:2023.07.30

姑との確執を克服した50代女性の体験記を紹介しよう。同居時の姑への怒りを経て、今は後悔しているという心境の変化はどのように起こったのだろうか?

嫁姑バトル体験談
嫁姑バトル体験談

嫁姑問題は見解の違いから起きるものなのかもしれない

「姑にいじめられた」というのは嫁の見解。姑にはいじめているという自覚はなかったのだろう。今になると少し姑の気持ちがわかってくると話す50代女性も少なくない。年を重ねたからこそわかることもあるのだ。

 

結婚は「家同士でする」感覚が強かった時代

嫁姑問題

戦後の民法において、結婚はあくまでも当事者同士の合意に基づくものだ。だがいまだに「家同士」の感は拭えない。

「私が結婚した頃はまだまだ家同士の感覚が強かった。相手の親と同居するのは気が進まなかったので、付き合い始めた彼が三男だと聞いたとたん結婚への意欲が高まりました(笑)」

そう言うのはルミさん(56歳)だ。3歳年上の男性と結婚して30年、28歳の長男、25歳の長女と大人ばかりの4人家族だ。

「もう子どもたちは家ではめったに夕飯をとらないし、家にいても自分で作っていますね。家族という形はこうやって変わっていくんだなというのが実感です」

 

夫は三男なのに、同居するはめに……

嫁姑問題

結婚当初は二人きりで生活を始めた。その後、子どもたちが生まれ、結婚して8年で舅が逝去、そして結婚10年目にはなぜか姑を引き取ることになった。

「その頃うちの父親が具合が悪くて入退院を繰り返していたんです。私はひとりっ子なので、親が心配でたまらなかった。それなのに長男夫婦と折り合いが悪く、なおかつ次男が海外に転勤ということで夫が『母親を引き取りたい』と言い出して。私だって自分の親の面倒を見たい。それなのにどうして他人の親をみなければならないのかと悔しくてたまりませんでした」

嫁だから夫の親の面倒を見て当然という風潮は確かにあった。今もあるのかもしれない。納得できなかったルミさんだが、夫の頼みをはねつけることもできなかった。

「姑はまだ元気でしたから、私は自分の実家に通って両親のケアをしながら家事育児をしていました。でも姑が嫌がるんですよね、私が実家に行くのを。『あなたはどこの家の人間かしら』って。長男の嫁をいびって追い出されたようなものなのに、まったく懲りてない。自分が悪いと思わない人なんです」

「うちに来てからも、子どもたちに独自の価値観を押しつけたりして、けっこう家の中をかき回されました。特に困ったのは娘に『女の子なんだから』とことあるごとに言うこと。私は女だから男だからという教育はしたくなかったのですが、姑は娘には家事をして当然、息子はしなくていいという感じだった」

ルミさんが掃除した後、細かなところへ顔を近づけてチェックされるのもストレスになった。好きな料理が出てこないときは「やっぱり私はここにいないほうがいいのね」と呟くこともあり、彼女のストレスは増大していった。

 

苦渋の選択で姑を施設へ

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7年前、ルミさんの母が亡くなった。残った父は一人では暮らせなかった。ルミさんが足繁く通ったが、姑が家の中で転倒して骨折したこともあって、両方の面倒はみきれなくなってしまった。

「結局、父を施設に預けるしかありませんでした。不公平ですよね、姑は他人の私が面倒をみなくてはいけなくて、実の父は施設だなんて。夫とは話し合いましたけど、『頼むよ』としか言わない。父はそれから間もなく亡くなりました」

姑は骨折後、急に認知が怪しくなっていった。ルミさんは24時間気が抜けなくなった。彼女自身、更年期症状も抱えて通院しており、心身ともにせっぱ詰まっていく。

「姑を殺して私も死のうかと思ったことさえあります。夫は全然、実の母親を見ようとしないし。3年前、とうとう私、過労で倒れてしまったんです。3日間入院したので、夫が有休をとって面倒みたらしいんですが、たった3日で音を上げていました。私が退院すると、『おふくろに施設にいってもらおう』って。やっとわかってもらえました」

だんだん記憶が混乱していく姑に対して、ルミさんは「人はこうなっていくんだ」ということを思い知らされていると感じるそうだ。意地悪されたことも嫌みを言われ続けたことも、もはや姑の中にはない。

「先日、施設側のはからいで夫とパソコンのオンラインシステムを使って姑に会ったんです。姑は夫のことはわかっていませんでしたが、私を見ると『ルミさん』って。夫はがっくりしていましたが、私は複雑な気持ちでしたね。彼女の執念が私を記憶させているのか、単に面倒をみたから覚えているのか、確かめる術もありませんし」

自分自身も姑にもっと優しくできなかったのか、と後悔の念もよぎった。だが、そういう後悔を抱いてしまうこともまた、なんとも悔しかった。実の両親に対してはもっと大きな後悔があったから。

つい先日、息子が恋人を連れてきた。婚姻届を出すかどうかはわからないが、これから一緒に住むという。息子が家を離れるときが来た。

「その彼女に対して、いい子なのに素直に見られない自分がいたんですよね。ああ、姑の気持ちってこういうもなのかと思い至って。自分が年を取らないとわからないことって多いですね。まあ、私はたとえ一人になっても絶対に同居しないし、息子の恋人と積極的に関わるつもりもありません。これからは一人で生きる覚悟も視野に入れていかないと、子どもたちに迷惑をかけることになると痛感しました」

子どもには子どもの人生がある。自分たちの世話をさせてはならない。今、50代の親世代はそれを痛感している最初の世代かもしれない。

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亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

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