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- 熟年結婚体験談!50代で結婚したきっかけと現実
「熟年結婚」とは、主に50代以降で結婚する大人同士の結婚のこと。「オトナ婚」と言われ注目が高まっているが、実際のところはどうなのか?熟年結婚した女性の体験談を2件紹介していこう。
芸能人にも多い「オトナ婚」とは?
以前、女優の桃井かおりさん(当時63歳)や歌手の夏木マリさん(当時59歳)などの熟年結婚が「オトナ婚」と呼ばれて話題になった。実際、50歳を越えてから結婚する人も少しずつ増えてきている印象がある。なぜ今さら結婚するのかと問われることもあるようだが、「今がベストタイミングだった」と言う女性が多い。
お互いに仕事優先で生きてきた結果、結婚が後回しになった
都内在住の会社員・ハルコさん(59歳)が結婚したのは、昨年春。相手は30代の頃から付き合っている2歳年下のヨウスケさんだ。二人はもともと大学の先輩後輩の間柄で、ハルコさんが30代に入った頃に再会、友達付き合いが復活した。
「ヨウスケは貿易関係の会社に勤めていて、再会したときは海外赴任が決まっていたんです。一時帰国したときにみんなで会ったり、たまに電話がかかってきたり。3年たって彼が帰ってきたときから、ごく自然に恋人関係になりました」
ところが今度はハルコさんが関西に転勤、ヨウスケさんも多忙を極めていたため、3か月に1回、会えればいいような状況だった。
「季節に1度しか会えない私たち、と二人でよく笑っていました。40歳になって東京に戻ってきて、ヨウスケの自宅の近くにマンションを借りたんです。そこから比較的、落ち着いて付き合えるようになったんですよね。あ、でもその後、またヨウスケが仕事でスペインに行っている時期がありましたね。そのときは私も珍しく3週間ほど休みを取り、彼もバカンスが取れたので一緒にあちこち回って……。あんなに長く一緒にいたのは初めてでしたが、まったく違和感なく時間が過ぎていった。そのとき確か、彼にプロポーズされたんですよ」
ハルコさんの答えは、「いつかね」だった。まだ仕事を優先したかったし、彼自身もそうしたいと思っていると感じたからだ。彼は「いいの?」と聞いた。女なら誰もが結婚を望んでいるわけではないとハルコさんが自分の気持ちを説明すると、彼はホッとしたように見えた。
「彼自身、男は家庭を持って一人前とか、女性は結婚したがるものだとか思い込んでいたみたいですね。私たちは私たちならではの関係を作っていければそれでいい。私はそう考えていると言ったら、自分も本音はそうだって。本音を打ち明けるまでに何年もかかりましたけど、そうやって少しずつ関係を作ってきたんだなと思います」
母の死をきっかけに二人の関係を再考することに
二人とも数回引っ越したが、常に徒歩5分以内の所に住んでいた。昨年、ふいに婚姻届を出そうと思ったのは、ハルコさんの母が亡くなったからだ。
「母も近くで元気に一人暮らしをしていたんですが、昨年初めに体調を崩し、入院して検査をしているうちにあっけなく逝ってしまいました。どこも悪いところがなく、100歳まで生きると言われていたのに。85歳でした。私、想像以上にがっくりきて。人はいつ死ぬかわからないって理屈ではわかっていたけど、昨日まで元気だった人が本当に簡単にいなくなるんだ、と」
一気に気力が衰え、仕事にも身が入らなくなった。夜はいつもヨウスケさんがいてくれた。そしてふいにハルコさんの口から出たのは、「結婚しない?」だった。いいよ、とヨウスケさんは軽く言ったという。
「それで婚姻届を出しました。でも今のところは相変わらず別居です(笑)。婚姻届は私のお守りみたいなものかな。定年退職しても仕事は続けるつもりなので、おそらく同居するのは65歳を過ぎてから。彼がそれでいいと言ってくれているので」
婚姻届は、二人の愛情になんら変化をもたらさない。だが、なぜかしらハルコさんには安心感があるという。
長い同棲生活が続いた結果
一方、ずっと同居していて、つい最近、婚姻届を出したのはミエさん(55歳)だ。
「同い年の彼と出会ったのは20代の初め。新卒で入った会社の同期だったんです。その後、私が転職したり留学したり、結婚したり離婚したりといろいろあったんですが(笑)、ずっと友達関係は続いていました」
彼もまた、音楽をやりたいという夢が諦めきれず、学校へ通い直したりスタジオミュージシャンになったりとさまざまな経験を積んできた。
「一緒に住むようになったのはここ15年くらいでしょうか。私が起業したときです。その頃は経済的にも不安だったので、彼の家で同居を始めたんです。お互いに好きなことをしていたので、同棲を始めたというよりは同居人みたいな感じでしたけど。その後、小さいながらも会社が安定していきました」
彼は変わらず音楽関係の仕事をしているが、フリーランスのため収入は安定しない。相手のスケジュールは知らないまま、顔を合わせると「今度、一緒にご飯食べようよ」「いつにする?」という感じの自由な暮らしだ。
「自分のことは自分でしますから、どちらも困ってないんです」
コロナ禍で気付いた!結婚の意味とお互いの本音
それが一転したのは、このコロナ禍があったから。ミエさんはいち早く3月初めから社員の在宅勤務に踏み切った。彼女自身は週に2回ほど出社したが、以前からさまざまな仕事をオンライン化しておいたのでできたことだった。
「オンライン化は彼がほとんどやってくれたんですよ。そういうことにやたら詳しいので助かりました。彼の方は、コロナで仕事がほとんどなくなってしまって……。とある音楽関係のスクールの講師もしていたんですが、それはオンラインでやってましたね。やりづらそうでしたけど。あとは家で作曲したりもしていましたが、仲間に会えないのもつらそうだった」
一緒に住むようになって初めて、二人で長い時間を過ごした。こんな状態だから焦っても何もできない、これからに希望を持ってがんばっていこう、ネガティブなことは言わずにおこうと約束したという。
「お互いのことを初めてゆっくり話しました。相手のことを知らなかったなあと思うことばかりで新鮮でしたね。毎日、話をして映画を見て、ときどき仕事してという状態でしたけど、二人にとっては素晴らしい時間になったと思います」
その話し合いの結果、婚姻届を書くことに決めたのだ。今月初め、二人それぞれの親友がきて証人となってくれた。
「こんなときに来てくれる友人がいるのはありがたいことですよね。密を避けるために、うちの近所のオープンなイタリアンカフェに行って、簡単なランチを食べて、それが結婚式となりました。落ち着いたらパーティーをするつもりですが、いつになったらできることか。でもこういう結婚もいいかなと思いましたね」
今の年齢だから、この先のお互いの人生に各自で責任を持つ、そして相手の人生にも寄り添っていく。それが二人の結婚の目的だという。みんながするから結婚しなくてはと思わないですむ年齢になってからの寄り添い婚、これからもこうした結婚は増えていくのではないだろうか。
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