家庭内別居

更新日:2024年11月29日 公開日:2020年07月15日

同じ家で別々に暮らし一人のよさも味わう

家庭内別居を選んだ夫婦!妻が感じる「一人の良さ」

家庭内別居を選んだ夫婦!妻が感じる「一人の良さ」

家庭内別居の体験談を紹介します。金銭問題で離婚できなかった夫婦の、家庭内別居での暮らし方とは?

夫婦としてとっくに終わっている関係

もともとは離婚するつもりだったのだが、家賃問題があって家を出ていくことができず、そのまま家庭内別居に踏み切った女性がいる。夫とはほとんど顔を合わせない。夫は「妻の反乱」と受け止めているようだが、彼女自身はもっと深刻に捉えているようだ。

「家庭内別居を始めて2年。夫は妻がストレスをためて反乱を起こしているだけだと受け止めているようですが、私としては『夫婦関係は終わっている』と思っています」

厳しい口調でそう言うのは、北関東に住むキヨコさん(54歳)だ。4歳年上の夫とは結婚26年になる。一人娘は8年前に関西の大学へ行き、そのまま就職した。

その頃から夫婦としては終わっている、もっといえば娘が小さい頃から、いや、結婚当初から情が通い合わなかったのかもしれないと、キヨコさんの記憶はどんどんさかのぼっていく。

 

失恋後の「できちゃった結婚」。夫と居ると息苦しい

夫と居ると息苦しい

「私がいけないんですけどね。当時、大失恋をしまして、それを慰めてくれたのが当時、友だちづきあいをしていた夫だった。そのまま関係をもって妊娠。だからできちゃった婚なんですよ。娘には言えなかったから恋愛していて、あなたができたから婚姻届を出したとずっと言ってきましたが」

最初からしっくりいかなかった。夫もまた、そんな妻の気持ちを察していたのかもしれない。最低限の生活費は入れたが、若いころは家庭を顧みずに仕事と遊びに明け暮れていたようだ。

「私もすぐに仕事復帰しました。子どものめんどうは夫の母が見てくれて。今も同じ敷地の別棟に義母がいます。この義母がいるから私は離婚できなかったとも言えますね」

義母は現在83歳。別棟に一人で暮らし、趣味でカラオケをしたり家庭菜園に夢中になったり。息子の妻には愚痴一つ、意見一つ言ったことがないという。

「夫はどこか他人の気持ちに興味がないわかろうとしない人なんです。家では無口なんですが、外ではけっこう明るいみたいですね。昔、夫の会社の人に会って夫が宴会部長だと聞き、ひっくり返りそうになったことがあります」
娘がいなければ会話は成り立たない。その娘が大学入学で家を出ていってから、夫とどれだけ言葉を交わしたか、ろくに記憶もないとキヨコさんは言う。

「夫といるとなんだか息苦しさを覚えて。大きな家ではありませんが、2階もあるから私は2階で寝るようになりました。そのうち、なんだかこんなふうに暮らしているのは時間のムダではないかと思えてきたんです」

離婚したい。家庭という束縛、妻という立場、何かもから解放されたい。キヨコさんはだんだんそう願うようになっていった。

 

離婚には理解を示さない夫と「家庭内別居」へ

家庭内別居

思い切って夫に「離婚したい」と言ってみた。夫は「えっ!?」と言ったきり、黙り込んだ。理由も尋ねない。あるとき、義母にちらりとそんな話をしてみた。

「すると義母が、『あなたね、あの家は私の名義よ。だからあなたが出て行く必要なんてないの。住んでちょうだい。家庭内別居すればいいじゃない』って。面白い人でしょう。頭脳明晰で、私の気持ちをよくわかってくれるんです。家庭内別居がダメなら私に言って、息子を追い出してもいいからとまで言ってくれて」

キヨコさんは、義母の言葉をそのまま夫に伝えた。いつか娘と二世帯で住んでも人に貸してもいいようにと2階にも小さなキッチンとバスルームがある。玄関からすぐ2階への階段があるので顔を合わせなくてもすむのだ。

「私が外へ出てもいいんですが、やっぱり世間の目もあるし、家賃を払うのも高くてもったいないですしね。夫は不機嫌そうに『オレのメシはどうなるんだ』と言いました。

家庭内別居ということは、完全に別の生活をすることです、私はあなたのめんどうはみませんと宣言しました。そうでなければ離婚します、と」

義母が何か言ってくれたのか数日後、夫は自分が2階で生活するとぽつりと言った。それからは完全に別々の生活。夫は自分で洗濯もしているようだが、ほぼ顔を合わせることはない。

 

義母も私も娘も「一人のよさ」を知っている

「一人のよさ」を知っている

「連絡を取り合うこともあまりないんですよね。夫が本心ではどう思っているのかまったくわかりません。ただ、私はすべての役割を降りてラクになった。家庭内別居をするようになって、週に1度、義母と夕食をとる習慣ができました。お互いに作ったものを持ち寄って、義母のところで食べるんです」
最近、こんな本を読んだと貸してくれたり、政治の話にも詳しい義母はキヨコさんの「女性としての生き方のお手本」なのだという。

「義父は私たちが結婚する前に亡くなっているので、義母は一人暮らしが長いんです。同じ敷地内とはいえ、昔から息子である夫とは距離を置いていたみたい。『私は一人がいちばん好きなのよ、実は。これ以上の気楽はないもの』と笑う義母にいつも励まされています」

とはいえ義母に会うのも週に一度だけ。べったりした関係を嫌う義母の様子を見ていると、今まで夫婦関係も他の人間関係も無理してきたとキヨコさんは省みる。

「義母と私は同じタイプの人間なんでしょうね、きっと。だけど私は『他人とはもっときちんと付き合わなければいけない、夫婦は夫婦らしくしなければいけない』とがんばりすぎた。これからは気楽にいきます」

家庭内別居したと娘に伝えると、電話越しに笑っていたという。娘もまた、「一人がいいわ、私も」と言っているのだそう。

「夫はわからないけど、うちの3人の女たちは、みんな一人の自由さを重視しているみたいです(笑)」

夫が急病になったり、入院したりするようなことがあったらキヨコさんはどうするのだろう。彼女はしばらく考えて、「そのときの気持ちに従います。かわいそうだから何とかしてあげたいと思うか、手を差し伸べることさえイヤだと思うか。直感で動くと思います」とさらりと答えた。

※記事初出2020年9月25日
 

■もっと知りたい■
【特集】50代女性の夫婦関係&セックス事情

【特集】熟年離婚、するしない?熟年夫婦特集

  1. 50代女性のセックス事情!半数以上はセックスレス?
  2. 気付けばセックスレス…更年期で性欲再燃
  3. 50代女性が10年のセックスレスを解消した方法は?
  4. 医師に聞く!更年期の女性ホルモン&セックスの関係性
  5. 医師に聞く!更年期セックスレスの解決策&対処法
  6. 50代女性セックスレスを打破して男女に戻るには?
  7. 更年期の性交痛!男女のセックス観を見直すきっかけに
  8. コロナ禍で離婚の意思が高まった50代夫婦の関係性
  9. コロナ禍の50代夫婦!以前の関係性にはもう戻れない
  10. 卒婚とは?50代で見直した新しい夫婦の形
  11. 介護別居からの卒婚!距離感が心地いい夫婦の形とは?
亀山早苗
亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

驚きの軽さ&使いやすさ!

1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール
1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール

【PR】「英語の学び直し」は私にぴったりの新習慣!

50代から「英語の学び直し」♪

「英会話ができるようになりたい」と、50代から英語を学び直す方が増えています!スキマ時間で簡単に英語学習ができるおすすめの方法は?

2025.03.14
【PR】ぽっこりおなかもラクにきれいなパンツとは?

ラクなのにきれいシルエット♥

ワコールが開発したぽっこりお腹もスッキリ隠れるストレッチ抜群の「パンツ」!ただいま、返品送料が無料になる「ご試着キャンペーン」実施中♪

2025.03.13
毎日5分で英語力アップ

毎日5分で英語力アップ!

忙しい人・飽き性なひとも大丈夫!毎日5分、英語学習を習慣化させる簡単な方法をご紹介♪

2025.03.03
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
【PR】「朝まで熟睡」できない人、実はふくらはぎに問題あり?

夜中にトイレ…眠れない

就寝中、トイレに起きてしまう「夜間頻尿」。年齢を重ねるにつれて回数が増えていませんか?実は、夜間頻尿対策のカギは「ふくらはぎ」にあるのです!

2025.03.10
【PR】飽き症でも、ゼロから英語が話せるようになったワケ

ゼロから英語が話せる!

飽き症さんでもOK!たった60日で英語が苦手な人でも英会話ができるようになると話題の「インド式英会話」をご存知ですか?無料体験セミナー実施中です!

2025.02.05
【PR】部分入れ歯のウソホント!?正しいケアって?

部分入れ歯のウソ・ホント!?

部分入れ歯が不安定・外れそうで怖い…そんなお悩みは「ケアの仕方」に原因が!?間違えている人が意外に多い、部分入れ歯の「正しい使い方」を専門家が紹介します!

2025.03.12
子どもに残すべきはお金?不動産?どちらがお得?

子に遺すべき資産は?

「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは

2024.12.12
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10
【PR】ブラトップでシルエット美人に!

ブラトップでシルエット美人に!

下着メーカーが本気でつくったブラトップ ♥ブラに比べ、しめつけ感の少ないブラトップはラクちんで大人気です!

2025.03.04
【PR】頼れる家族がいない……入院・入居どうする?

おひとり様の備えはOK?

この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生!

2024.07.22
【PR】50代からの願いを叶える新しい資金調達術

50代~お金の増やし方

将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか?

2024.11.20

ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話