【55歳ユミの場合】子育ては一段落したのに

【5】セカンドパートナーの沼!既婚者アプリを知る

公開日:2024.11.16

55歳ユミの恋愛ルポ第4話。最近耳にすることが増えた「セカンドパートナー」という関係。不倫とは違うと言いつつ…ハマってしまう人も多い。パート仲間に夫の愚痴を伝えたところ「既婚者用マッチングアプリ」をオススメされ…気になってしまう。

前回までのあらすじ

前回の話はコチラから。ユミ(55歳)の恋愛談を紹介しよう。姉にコンプレックスを抱きながら育ったせいで、自己肯定感が低い性格となってしまったユミ。

バブル崩壊後に会社で出会った夫と結婚したものの……妊娠中に浮気され、心を閉ざしながらも母親業にいそしむ日々が続いていた。

子どもが大きくなり夫との関係は悪化。それをパート仲間・ハルカに愚痴ったところ……意外な秘密を知ることとなる。

既婚者用マッチングアプリなんてあるの⁉

その後、含みのある笑いを見せたハルカさんが、ユミさんを手招きし、「ねえ、男友達っている?」と意味深な雰囲気で尋ねてきた。

ユミさんが首をブンブン横に振ると、「最近、既婚者用のマッチングアプリが流行っているんだって! 知ってる?」と聞いてきたという。

「マッチングアプリって、若い独身の人がやるものだと思っていました。娘の友達がやっているのを聞いたことがあります。また、『出会い系サイト』のイメージもあって、犯罪も多そうだし、危ない感じがするじゃないですか? でも、既婚者専用のアプリがあると聞いて、そんなニーズがあるんだと驚きました。

トラブルに巻き込まれそうで面倒だし、私の生活には関係ないものだと思う、と言うと、ハルカさんは『全然そういう変な出会い系サイトとは別物! ただの友達作りの一環よ、女友達と男友達は視点も考え方も違うから、相談できる友達はたくさんいた方がいいでしょ、物は試しにやってみたら?』とすすめるのです。

言われてみればそうだけど、私は男性関係が苦手だし、知らない人とメールしたり、ましてや会ったりするなんて絶対に無理だから、と答えるしかありませんでした」

既婚者アプリを始めてから毎日が楽しい!

すると、ハルカさんは「結婚して子ども二人も育てた人が、何を箱入り娘みたいなこと言ってるのよ!」と笑い飛ばした。

そして、「もうね、半世紀も生きてきたんだから、これからは好きなように生きたほうがいいわよ。いつ死ぬかわからないし」と続け、「アプリを始めてから、私は毎日がとっても楽しくなったのよ」と妙に説得力のある口調で言い放った。

「確かに私の友人も、50歳で突然亡くなったんです。そのとき、もう無理がきかない年齢に差し掛かったんだなということや、ある程度の年数を生きたら、突然命が途絶えることもあるんだと実感したばかりだったんです」

夫しか男性を知らないまま…人生を終わらせていいの?

男友達かぁ。ユミさんは、ハルカさんの言葉が耳から離れなくなった。

人生の後半に差し掛かり、誰か心許せる友達が欲しい。年老いて衰退していく人生の中で、毎日を彩る新しい出会いが欲しい。

思えば、今まで自分は夫に心を許したことがなかったかもしれない。いつも見下されている感じがした。

本当は、誰かに心の内をわかってほしい。できれば素敵な男性に、「それでいいんだよ」と言ってほしい。そんな欲求が自分の中にあることを自覚した。

そして何より、「夫しか男性を知らないままで人生を終わらせていいんだろうか?」 人生の後半を意識し始めたからこそ気付いた焦燥感とも言えた。

 

 

亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

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