【55歳ユミの場合】妊娠中セックスレスが原因?

【2】セカンドパートナーの沼!妊娠中の夫の裏切り

公開日:2024.10.26

更新日:2024.11.02

55歳ユミの恋愛ルポ第2話。最近耳にすることが増えた「セカンドパートナー」という関係。不倫とは違うと言いつつ…ハマってしまう人も多い。中途入社で出会った夫と結婚。即・妊娠が判明したのもつかの間、その裏で夫の裏切りも発覚し心を閉ざしてしまう。

前回までのあらすじ

ユミ(55歳)の恋愛談を紹介しよう。姉にコンプレックスを抱きながら育ったせいで、自己肯定感が低い性格となってしまったユミ。やっと大学生活で家族と距離を置くことに成功。バブル崩壊後に社会人となり、そこで運命の出会いが待ち受けていた。第一話はコチラから

激動の1995年!中途入社で出会った運命の人

カワグチツトム / PIXTA

27歳の頃出会ったのが、4歳年上の夫。彼は中途採用で入社し、ユミさんのいる部署にやってきたのだ。

1995年は、年明けに阪神淡路大震災が、3月には地下鉄サリン事件が起こった。

「この年は年明けから心折れました。神戸の被害にへこんでいたら地下鉄サリン事件でしょう。私も被害に遭った地下鉄を使っていたので、少し時間がずれたら巻き込まれていたかもしれません。

ちょうどその春、中途入社してきた夫に、最初に私が社内のことを教えたんです」

彼は寡黙だったが、業務に関することになると急に熱心になり、矢継ぎ早に質問してきた。

「仕事には妥協しない真面目な人。すぐにそんなイメージが出来上がりましたね」

恋愛も仕事も中途半端な、つまらない人生

 hirophoto / PIXTA

ユミさんは、実はそれまであまり男性と深い付き合いをしたことがなかった。デートをしても長続きしないのだ。

「私なんかと付き合っても、多分つまらないだろうなと思って」

彼女はよくいえば謙虚、悪くいえば自己肯定感が低い。それはおそらく育った環境からきているのだろう。

恋愛が長続きしないからといって、仕事でキャリアアップしたいとも思っていなかった。目標が定まらない人生だったと彼女は振り返る。

私と一緒にいて、楽しいと思ってくれる人がいるなんて……

 Ran&Ran / PIXTA

彼とは帰る時間がたまたま一緒になって食事をすることが続き、週末にデートに誘われた。

「何度か週末デートをしたとき、彼が『結婚を前提に付き合わない?』って。私と一緒にいて楽しいと思ってくれる人がいるなんて、と私は驚きました。やっと居場所を見つけたような感じがしました」

それから1年ほど付き合って結婚した。一緒に仕事をしていた期間で、彼女は彼の人間性をわかったつもりでいた。

特別優しいわけでもないが、仕事熱心だから悪い人ではないだろう。だから結婚したのだと彼女は力をこめた。

新婚旅行でロストバージン。そして即・妊娠

 JP / PIXTA

新婚旅行で、実は彼女は初めてセックスを体験した。彼女自身は、性というものにどこか不安と罪悪感を抱えていたから、付き合った相手はいてもバージンを捨てきれずにいたのだ。

妻がバージンだったことに、夫はうれしいと思ったのかどうかはわからない。

「もちろんセックスを最後まですることに興味はありました。でも結果、ちっともいいものだと思えなかった。動物的で生々しくて、どうしてこんなこと夢中になれるのかわからなかった。

夫も遠慮がちだった気がするんですが、ひょっとしたら処女を相手にして、やりづらいと思っていたのかもしれませんね、今思えば」

なんと、新婚後ほどなく彼女は妊娠した。悪阻が重かったこともあり、それを機に退職した。

妊娠がわかって以来、夫は「なんだか怖い」と彼女の体に一切触れてこなくなった。

「私はてっきり、妊娠中にセックスをしないことは夫の思いやりなのかと思ってました。

でも、あの頃から夫と私はすれ違っていたんですね。妊娠中から夫には女性の影もあったのかもしれないけど、心を開いて本音で話し合ったこともなかったんです」

難産の後に判明した……夫の裏切り行為

 tkhr* / PIXTA

「最初の子は男の子でした。難産でなかなか生まれてくれなくて、病院で何十時間苦しんだか……。ようやく生まれたときには涙があふれました」

だが、その出産現場に夫の姿はなかった。あとから知ったのだが、そのとき出張だと偽って不倫旅行をしていたようだ。夫は否定したが、連絡は一切つかず状況証拠は揃っていた。

「せっかく息子が産まれてうれしかったけど、夫の行動でつらくなった。だから私は自分の中で、不倫をなかったことにしてしまったんです。もっとちゃんと話し合えばよかったのかもしれないけど、私は初めての子育てでまったく余裕がなかったから、スルーするほうが楽だった。でも絶対に一生許すことはありません」

日常生活は滞りなく進んで行くのがいちばんいい。お互いに真剣に向き合った話を煮詰めていったら、多くの夫婦が破綻するだろう。子どもを育てて家庭を維持していくには、「適度な合意」さえあれば目をつむればいいのかもしれない。

息子が2歳になった頃、性生活もふくめ夫との生活は落ち着いてきたように見えていたのだが……。

亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

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