最近の注目作に共通するポイントとは?

秋ドラは「姉ちゃんの恋人」「七人の秘書」が面白い!

公開日:2020/11/14

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50代コラムニストの矢部万紀子さんによる、月2回のカルチャー連載です。「朝ドラ」に関する本も上梓するドラマウォッチャーの矢部さん。2020年秋ドラマの必見作品をご紹介。最近、シスターフッドが熱いんです。

秋ドラ「姉ちゃんの恋人」

「姉ちゃんの恋人」は令和版「ひよっこ」

フジテレビホームページより引用
フジテレビホームページより引用

この秋のおすすめドラマ2本を紹介します。「姉ちゃんの恋人」(フジテレビ系・火曜21時)と「七人の秘書」(テレビ朝日系・木曜21時)。タイプは全然違うのですが、どちらもすごく面白いです。

「姉ちゃんの恋人」は、脚本が岡田惠和さんで主演が有村架純さん。朝ドラ「ひよっこ」のコンビですから、それだけでもうワクワクします。「ひよっこ」が昭和、「姉ちゃんの恋人」は令和と時代は違いますが、ヒロインはどちらも高校を卒業して、都内の店で働いています。大ベテラン、ヒットメーカーの岡田さんですが、普通の人の暮らしを書かせたら天下一品です。

テレビ朝日ホームページより引用
テレビ朝日ホームページより引用

「七人の秘書」は、さまざまな職場で秘書をしている女性6人と男性1人がビッグな悪と闘う話です。エクゼクティブプロデューサーが内山聖子さん、脚本家の1人が中園ミホさん。「ドクターX」を作った2人ですから、こちらもすごいコンビです。

メインの話だけでなく、細かいところも良いのです。3話の冒頭では、人にぶつかっても平気で歩いていく男性を懲らしめました。実は私も同じような体験をしたことがあるので、土下座する男性の姿に溜飲を下げました。

そして気付いたのは、この二つ、共通点が多いのです。以下、説明していきます。

共通点その1 今が反映されている

ぶつかっておいて「チッ」と言う男性もそうですが、生きにくい世の中だなあ、と思います。コロナはもちろんですが、それより以前からです。「勝ち組」「負け組」という言葉が当たり前になった頃から、社会が人を追い詰めているような気がしてなりません。

「姉ちゃんの恋人」で、ヒロイン桃子と幼なじみのおしゃべりするシーンがありました。「最近、どう?」と尋ねる桃子に、「最悪。政府からもらえる何チャラ言う10万円、親が私の分を取ろうとして」と答えます。1人一律10万円の「特別定額給付金」ですね。世帯ごとに給付されるため、家族の事情によっては問題が起こると指摘されていました。桃子は「それダメだよ、最悪だ」と言います。その言葉に幼なじみが救われた顔になります。少し安心すると同時に、人を追い詰める社会の中で、彼女の親も何か事情を抱えているのかもしれない。そんなふうに思うのです。

共通点その2 女性同士が助け合っている

「七人の秘書」の懲らしめる相手は、「パワハラ」でいばり散らす男女です。3話の被害者は大学病院勤務の女性内科医。実力があるため、病院長とその息子(=合コンばかりしている内科医)に悪事をしたように仕立てられるのです。それをつぶさに見ているのが7人の中の1人、病院長秘書です。

秘書は医師を志していました。父は日本人、母は韓国人、父のことは知らない。貧しい環境で育ち、医学部進学を諦めた。そんな過去を持つようです。彼女は優秀な女性医師を尊敬しています。そして働かず、患者に関心のない病院長親子を憎みます。

女の敵は女。そんな言葉があります。ですが、「そんなことはなーい!」と強く言いたいです。怒りのあまり息子を階段から突き落とそうとする秘書を、すんでのところで止めるのも7人の1人、女性でした。

「姉ちゃんの恋人」の桃子は、ホームセンターに勤めています。入社のときから知っている職場の先輩を小池栄子さんが演じます。彼女は会社横断プロジェクトのリーダーを桃子に任せ、「私に頼っちゃダメ」と言いながら、応援してくれます。気の合う二人は4話で、それぞれの相手を連れてダブルデートをします。

最近注目されている「シスターフッド」が両方に共通しています。まあ、その言葉はさておいて、女性同士って普通に接してるし、助け合うのも結構「あるある」だよねー。そう思えるあなたなら、どちらのドラマも楽しく見られること請け合いです。

共通点その3 まだ明かされてない謎がある

そもそもなぜ7人が集まり、「七人の秘書」となったのかわかっていません。中心には江口洋介さん演じるラーメン店の店主がいて、残り6人は彼から借金をしているようです。初回から不気味に登場しているのが、岸部一徳さんが演じる財務大臣。店主とこの大臣も何やら因縁がありそうで、謎がいっぱい、伏線がいっぱい。ワクワクします。

そして「姉ちゃんの恋人」はタイトル通り、姉ちゃん(=桃子)と恋人の話です。林遣都さん演じる同じ会社の配送部員。彼が恋人になるんだなーということは、初回からわかります。同時に、彼には犯罪歴があることも初回から描かれるのです。桃子は彼を、「なんか、幸せになることを諦めているような」人、と幼なじみに言います。彼は過去に何をしたのか。二人の恋に、どんな影響を与えるのか。気になるというか、心配です。

見ていない方も、まだ間に合うと思います。この2本、おすすめなので、ぜひぜひ。


矢部万紀子
1961年生まれ。83年朝日新聞社に入社。「アエラ」、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、書籍編集部長、11年から「いきいき(現ハルメク)」編集長をつとめ、17年からフリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)、『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』(幻冬舎新書)
 

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矢部 万紀子

1961年生まれ。83年朝日新聞社に入社。「アエラ」、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、書籍編集部長、11年から「いきいき(現ハルメク)」編集長をつとめ、17年からフリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)、『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』(幻冬舎新書)

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