更年期以降に気を付けたい病気・2

更年期の帯状疱疹は早期受診を!後遺症も【医師監修】

横倉恒雄さん(横倉クリニック)
監修者
横倉クリニック
横倉恒雄

公開日:2018.07.02

更新日:2023.11.30

50歳から気を付けたい病気「帯状疱疹」。更年期になり、ストレスや疲労で免疫力が低下すると発症します。チクチク、ピリピリするのは帯状疱疹のサインかもしれません。発疹があらわれたら、すぐに皮膚科を受診することをおすすめします。

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん(横倉クリニック)

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

チクチク・ピリピリ!痛みが続くときは要注意

背中やおなか、顔に痛みが続くときは要注意

更年期になり女性ホルモンが減少すると、全身の免疫力が低下します。その影響で更年期には帯状疱疹を発症する人が増加します。抵抗力が衰えているところに、更年期障害による体調不調や過労、睡眠不足などが重なることで免疫が持ちこたえきれず、発症してしまうのです。

帯状疱疹は、子どもの頃に水ぼうそうにかかった人や、水ぼうそうのウイルスに感染した人に起こります。水ぼうそうのウイルスに一度感染すると、水ぼうそうが治ってもウイルスは神経の奥深くに潜伏して残っているのです。そして、免疫力が弱まったときに皮膚に移動して発疹をつくり、今度は帯状疱疹としてあらわれます。

帯状疱疹の症状は皮膚に発疹ができる前から、はじまっています。前駆痛といって、神経内をウイルスが移動するために炎症が起こり、チクチク、ピリピリするような痛みが続くのです。その後に小さな赤い発疹が多数あらわれ、その頃には痛みもさらに強くなっています。

発疹があらわれたら、すぐに皮膚科を受診する

発疹が現れたらすぐに皮膚科を受診する

発疹があらわれるまでは痛みや違和感があるものの、何が原因なのかわからないことがほとんどです。多くの場合、発疹が出て、強い痛みが起こることで、ようやく異変に気づきます。重要なのは、このときできるだけ早く皮膚科やかかりつけの婦人科を受診して治療を開始することです。

なお、50歳以上の方は帯状疱疹予防ワクチンを接種することができます。

もしかかってしまった場合の治療には、抗ウイルス薬や痛みに対する痛み止めが用いられます。できる限り早めに服薬を始めたほうが、皮膚の症状が軽くて済みます。     

皮膚の発疹は、最初は赤く、次第に水ぶくれになり、やがて膿をもち、それが破れて潰瘍になります。その後、かさぶたになり、徐々に治っていきます。

帯状疱疹の治療で最も大切なのは、痛みのコントロールです。発症からしばらくの間、神経痛が続きますが、痛み止めの薬を使ってできるだけ痛みを抑えることが大切です。

帯状疱疹は治った後も、神経の損傷などによる痛みが続き、後遺症になってしまうことがとても多くあります。そのため、痛みがスッキリとれるまでは、医師の指示を守って痛み止めをきちんと服用しましょう。

また、免疫力を高めるために、栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活を心がけます。特に、治療中はストレスや過労が大敵です。睡眠をしっかりとって、疲れを残さないようにしましょう。

痛みのコントロールには漢方薬もおすすめ

痛みのコントロールには漢方薬もおすすめ

漢方薬は医療の現場で痛みの治療にも用いられています。漢方薬は自然由来の生薬成分が穏やかに働くので、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされているのもメリットといえるでしょう。

漢方薬は心とからだのバランスを整え、さまざまな不調を根本的な解決へと導くものです。

漢方薬による痛みのコントロールは、帯状疱疹の経過に合わせて分けて考えます。
(1) 帯状疱疹痛(急性期)
(2) 帯状疱疹後神経痛(慢性期)

(1) 帯状疱疹痛(急性期)

水分代謝を整え、熱を冷ますような漢方薬を使用していきます。

・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
熱感や発赤の強い湿疹や皮膚炎などの皮膚疾患にも使われます。帯状疱疹初期から抗ウイルス薬と併用して用いられることもあります。
・五苓散(ごれいさん)
体力に関わらず用いられます。体内の水分代謝を調節します。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体力のある人向けで熱を冷まし炎症を抑えます。。

(2) 帯状疱疹後神経痛(慢性期)

帯状疱疹後神経痛は、皮疹の消失後も続く自律神経の乱れや炎症などのストレス、からだにこもった熱が原因と考えて漢方薬を選びます。

・麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
冷えがある場合の痛みに用いられます。体力がない方も使用が可能です。
・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
神経痛や関節痛、冷えによる痛みなどによく用いられます。体力がない方も使用が可能です。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
気を補い胃腸の働きを整えます。疲れにより悪化する方に用いられます。

漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。

どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

漢方に詳しい薬剤師が一人ひとりに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅まで郵送してくれますよ。

再発をくり返すときは全身の検査を

帯状疱疹は一度かかると二度目はほとんどないのですが、近年では高齢になってから再発する人も増えています。加齢によって免疫力が著しく低下し、再発しているケースもあります。

比較的短い期間で再発をくり返すときは、特に要注意です。この場合は、全身の精密検査やがん検診を受けることがすすめられます。

帯状疱疹をくり返すため、その部位を詳しく検査をしたところ、がんが見つかったという例もあります。他にも、糖尿病や膠原病など、免疫力の低下を引き起こす病気が潜んでいることがあるので、念のために検査を受けましょう。

なお、帯状疱疹は水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染する危険があります。まだ水ぼうそうにかかったことがない人にはうつしてしまうので、発症している間は孫の世話などで小さな子どもに接触しないように注意が必要です。

※この記事は2018年7月の記事を再編集して掲載しています。



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ハルメク365編集部

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