更年期障害の症状と対処法・9

更年期の月経不順(生理不順)と不正出血の違いは?

浜中聡子さん(クレアージュ エイジングケアクリニック総院長)
監修者
クレアージュ エイジングケアクリニック総院長
浜中聡子

公開日:2018.07.02

更新日:2022.11.09

「これって更年期障害?」という人のために、更年期障害の気になる症状・対処法を医師が解説する連載企画。今回のテーマは更年期の月経不順(生理不順)。年齢的に子宮筋腫や子宮体がんなど、婦人科系の病気による不正出血にも注意しましょう。

閉経までの期間とパターンは人それぞれ

月経(生理)は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンによってコントロールされています。

脳からの指令でエストロゲンの分泌を催促するホルモンが分泌されると、卵巣内の卵胞が1つ成熟しはじめます。その過程でエストロゲンが分泌されると、排卵を促すLH(黄体化ホルモン)も分泌されて排卵が起こります。

排卵後の卵胞は黄体となり、プロゲステロンが分泌されるようになります。その作用で子宮内膜が厚くなり、受精卵の着床の準備を始めます。妊娠しなかった場合はこの子宮内膜が剥がれ落ち、排出されます。

女性ホルモンと更年期の月経不順の関係性

これが月経で、だいたい25〜38日周期で起こります。

40代を迎える頃になると徐々に卵巣の機能が衰え、女性ホルモンの分泌が減少しはじめます。その変化は月経に顕著に現れます。周期が不規則になったり、月経の量が増えたり減ったりと変調が見られるようになるのです。

やがてまったく月経が起こらなくなって、1年以上経過すると「閉経」となります。

個人差が大きい更年期障害!プレ更年期に悩む人も

更年期とは、閉経をはさんだ前後10年間のことですが、閉経に至るまでの期間は個人差が大きく、月経の状態もさまざまです。ある日突然、月経が止まる人もいれば、徐々に間隔が長くなり、いつの間にか終わっていたという人もいます。

最近では、更年期よりもやや早い年齢で更年期障害の症状に悩む人も増えています。これを「プレ更年期」といい、30代後半から40代前半を指します。

これまでとは違う月経の起こり方に戸惑い、不安になることも多いもの。どんな点に注意しながら対処すべきなのか、知っておくと安心です。

更年期の月経不順(生理不順)は不正出血との見極めが大切

更年期の月経不順は不正出血との見極めが大切

閉経が近くなると月経周期が乱れたり、月経の量に変化が現れたりして月経不順になります。周期が24日以下で起こる場合は「頻発月経」、逆に39日以上間隔があく場合は「稀発月経」といいます。

更年期になり女性ホルモンが減少すると、排卵のない「無排卵月経」が起こることも多くなります。

月経の量が極端に増えたり減ったりしやすく、何日もだらだらと出血が続いたりすることも。中には大量出血が続き、短時間でナプキンを交換しなければならない人もいます。

こうした月経に伴う不規則な出血は「機能性出血」といい、閉経に至るまでの期間には誰にでも見られる症状です。

しかし、このとき注意しなければならないのは、何らかの病気が原因で起こる「不正出血」が紛れている可能性があること。

更年期の女性は、子宮体がんや卵巣がん、子宮内膜症や子宮頸管ポリープなどの婦人科系の病気が増える時期でもあります。これらの病気の症状に不正出血があるのですが、月経不順が続く更年期はその見極めがとても難しいものです。

こうした病気を見逃さないためにも、かかりつけの婦人科で定期的に検査を受けることが大切です。

閉経後は太りやすい!更年期太り・中年太りにも注意を

月経が1年以上なくなると、閉経したと判断されます。しかし「閉経=更年期の終わり」ではありません。

むしろ女性ホルモンの急激な減少で、閉経前後からよりいっそう心と体にはさまざまな症状が現れ、更年期障害が本格的に始まる人が増えます。

閉経した頃から太りやすくなる女性も多いようです。女性ホルモンのエストロゲンには、体脂肪の代謝を助ける働きがありますが、閉経後は男性と同じようにお腹周りに内臓脂肪がたまりやすくなるのです。

更年期太りに注意

ぽっこりお腹は見た目の悪さだけでなく、内臓脂肪により血栓ができやすくなったり、高血圧や糖尿病にかかりやすくなったりと、生活習慣病のリスクも高まります。閉経後は特に体の変化に注意が必要な時期と言えます。

監修者プロフィール:浜中聡子さん

浜中聡子さん(クレアージュ東京 エイジングケアクリニック院長)

クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長。女性の頭髪に関する悩みから更年期・女性ホルモンといった悩みが専門分野。14年にわたり女性の髪の悩みに携わってきた女性専門・頭髪治療の第一人者として、心身ともに健康で充実した毎日を過ごすことができるよう、医療面からのサポートを行っている。

撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき モデル=菊池洋華(トップ画像)、その他のイメージ画像=PIXTA

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