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特集「腸を整える食べ方絶対ルール」の第5回。腸内環境を整えるためには「水溶性食物繊維」を多く含む食材をとり入れることが大切!と言う消化器外科の川本徹さん。特に腸が弱い人におすすめの食材について、詳しく伺います。
教えてくれたのは:川本徹(かわもと・とおる)さん
1987年、筑波大学医学専門学群卒業。専門は消化器外科。元筑波大学消化器外科講師。2010年にみなと芝クリニック院長に就任。日本テレビ「ザ・仰天ニュース」、テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」などメディア出演多数。『結局、腸が9割』(アスコム刊)など著書多数。
ぜん動運動が弱い人には不水溶性食物繊維が逆効果?
善玉菌の正しい育て方の回で、「食品で摂取した乳酸菌は9割が大腸に届かない!」という話をしました。そのなかで腸内環境を整えるための食事で「胃酸で溶けない水溶性食物繊維」をおすすめしました。
「食物繊維が便の材料の一つになるので、便秘がちな人は食物繊維をとりましょう」とあちこちで言われていることもありますし、既に心掛けている方も多いと思います。でも、あまり深く考えずに実行してしまうと、思わぬトラブルを招く場合があるので要注意です。
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。たしかに、どちらの食物繊維も便秘解消に効果を発揮してくれます。
しかし、この2種類の違いがあまり理解されておらず、「とにかく便秘には食物繊維をたくさんとればいい」と覚えている人が多くいます。これがちょっと危険なのです。
不溶性食物繊維は、便の量、カサを増やしてくれます。その刺激によって、ぜん動運動が促され、便が移動していくことにもつながります。
ところが、元々ぜん動運動が弱い人は、腸の壁が薄い傾向があります。そういう人が不溶性食物繊維をとり過ぎると、大きくなった便に合わせて腸の壁が膨らんでいき、ぜん動運動をするために必要なくぼみがなくなってしまうのです。
腸を構成している筋肉は、腸の中を広げる力は強いのですが、ふくらんだ状態をもとに戻す力はあまり強くありません。
そうなると、元々ぜん動運動が弱いわけですからさらにその動きが弱くなり、大きくなった便が押し出されないまま、どんどん次の食べ物がやってくるので、腸内はパンパンに。ひどい場合は、腸閉塞のような状態になることもあります。
便秘に悩んでいる人が食物繊維をとる場合には、まずは水に溶ける方の水溶性食物繊維を意識してとることをおすすめします。
水溶性食物繊維が豊富なネバネバがいい!
特に、不溶性食物繊維が多く含まれている豆類をとる場合には、一度に大量に食べたりしないで、定食についている小鉢の量くらいにするといいでしょう。
水溶性食物繊維の多い食べ物として覚えておくと便利なのが、ネバネバしている食べ物です。大和芋、長芋、オクラ、とろろ昆布など、ネバネバ系の食材を意識すれば、水溶性食物繊維を多く摂れます。
あのネバネバは、糖タンパクで出来ている粘液状の物質です。水分の保持力が高く、多くの水分を吸着した状態で大腸の中に入っていくため、便を軟らかくしてくれるのです。
また、それをエサにして善玉菌が増えるということが、実験でも確認されています。さらに免疫力を高めたり、がんの予防に役立つという話もあります。
ですから、ネバネバ食材は腸はもちろん、体全体の健康にとってもかなり重要で、積極的にとりたい成分です。
快腸のための必須食材!水溶性食物繊維
それ以外にも、水溶性食物繊維を多く含む食べ物があります。水溶性食物繊維が大切な理由は、善玉菌のエサになり、短鎖脂肪酸を作るもとになってくれるから。
特に善玉菌の中でも、酪酸菌(らくさんきん)が増えることが重要です。なぜなら、酪酸菌が作ってくれる酪酸が、腸の内側の粘膜の細胞を修復したり、炎症を起こすような物質を除去してくれるからです。
また、酪酸が腸クロム親和性細胞に働きかけると、幸せホルモンとも呼ばれているセロトニン分泌が始まるとも言われています。
酪酸菌を多く含む食材があればいいのですが、残念ながらそのような食材は多くありません。ただし、食物繊維の中でも特に、水溶性食物繊維が酪酸菌のエサになると言われています。酪酸菌を増やすためにも、水溶性食物繊維を積極的にとりましょう。
次回は、70歳を超える今でも現役の医師として活躍する鎌田實さんが実践している、腸内環境を整える食べ方について鎌田さんに伺います。
※本記事は、『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム/1595円・税込)より一部抜粋して構成しています。
イラストレーション=平井さくら
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- 鎌田實の腸・血管・脳を若くする生活習慣【食べ方編】
- 鎌田實の腸・血管・脳を若くする生活習慣【運動編】
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結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法
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