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医師が解説!動画で学ぶ腰痛体操・3
「美ポジ」ストレッチ&ウォーキングで腰痛を予防
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター
松平浩
公開日:2020.05.11
更新日:2020.09.25
この連載では、東京大学医学部附属病院22世紀医療センター・松平浩先生が、腰痛の予防に役立つ体操・ストレッチを動画で紹介します。今回のテーマは、腰痛借金をためない姿勢「美ポジ」。美ポジ体操とウォーキングで腰痛を予防しましょう!
腰痛予防には腰に負担をかけない姿勢が大切!
これまで紹介してきた通り、腰痛を予防するためには、腰の負担「腰痛借金」が貯まらない、美しい姿勢を維持することが大切です。
「猫背や前かがみの姿勢は、腰に負担をかける不良姿勢。背中の筋肉が必要以上に収縮して、腰の負担が大きくなることがわかっています。腰痛予防には、インナーマッスル(体幹の筋肉)を程よく使って、アウターマッスル(背筋など表面の筋肉)は使わない姿勢が理想」と松平先生。
では、腰に負担をかけない適切な姿勢とは、どのようなものなのでしょう?
「作業しているときの姿勢、立っているときの姿勢、座っているときの姿勢……と、ひと言で姿勢と言っても、状況によって適切な姿勢は異なります。前回ご紹介した『ハリ胸プリけつ』は、荷物を持つときに腰に負担がかからない姿勢でした。そして、今回ご紹介するのは、立っているときや歩くときに腰に負担をかけない『美ポジ(美ポジション)』です」
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腰痛借金を貯めない、美ポジ姿勢!「気を付け」はNG
「美ポジとは、心身の健康増進につながる理想的な美しい姿勢のことです。美ポジのポイントは、背骨が緩やかなS字カーブを描いていることと、骨盤がほんの少し前に傾いていること。あばらから上を引き上げ、おへそから5cmほど下にある『丹田(たんでん)』を意識します。頭のてっぺんを上から糸で吊られたイメージを持ちましょう」
立つときの正しい姿勢というと、背筋をピンと伸ばして胸を張る「気を付け」の姿勢をイメージする人も多いと思いますが、腰痛予防の点からいうとこれは間違い。骨盤が前に倒れた「反り腰」の姿勢になり、背骨のS字カーブが失われて、衝撃を吸収できなくなってしまうそう。
「腰痛予防には、ムダな筋肉の収縮を減らすことが大切です。肩の力を抜いて、軽く胸を張り、背すじは自然に伸ばすように心掛けましょう」
自然に美しい姿勢になる!美ポジストレッチ
美ポジが意識しづらいときは、ストレッチで背すじを伸ばしてから、脱力するのがおすすめとのこと。五十肩や肩こりの予防にもなる、簡単なストレッチを教えてもらいました。
1.腕を交差し、手のひらを合わせて、最大限に背筋から指先まで上へ伸ばします。
2.両手を押し合うように力を入れた状態から、フワッと力を抜きながら、手を真横からやや前に広げていきます。
3.目線は斜め45度下を見ます。背中や肩の力が抜けたのを感じたら、そのまま下に腕を下ろします。
美ポジウォーキングが腰痛予防におすすめ!
腰痛予防のためには、腰に負担のかからない美ポジを身につけるとともに、軽い運動をすることも大切です。適度に体を動かすことで、背骨周辺の筋肉の柔軟性が増し、背中や腰の血行も改善するためです。
松平先生いわく、屋外運動では美ポジを意識しながら歩く「美ポジウォーキング」が良いとのこと。
「適切な姿勢と運動を両立できる『美ポジウォーキング』が腰痛予防におすすめです。美しい姿勢でさっそうと歩くことは、ストレス症状を改善させたり、がんのリスクを低減したりと、さまざまなメリットがあることが、医学的に証明されています」
「速歩き」は健康寿命を延ばすことにもつながる
「美しい姿勢でさっそうと歩くことは、健康寿命を延ばす一番の薬だと確信しています。病気を予防するには、1日8000歩程度歩くこと、そしてそのうち20分は中強度運動(速歩き、もしくは階段昇降)をすることが有益だといわれています。1日15分こういった身体活動をすると、死亡リスクが14%低下するという研究データもあります」と松平先生。
今は新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が呼び掛けられていますが、ソーシャルディスタンスを保った上で、体力維持のために散歩やウォーキングなど、適度な屋外運動をすることは推奨されています。
「ウォーキングの際は、ストレッチで姿勢を整えて、美ポジを意識しながら速歩きするように心掛けてください」
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【動画】全身をストレッチできる「美ポジ体操」のやり方
続いて、屋内での腰痛予防におすすめの「美ポジ体操」をご紹介します。
「美ポジ体操は、心地よいオリジナル曲にのせて、短時間で全身のストレッチができます。9つのストレッチが1度にできて、腰痛予防に効果的な『これだけ体操』や先ほど紹介した美ポジストレッチも入っています。ダンス的な要素もあるので、外出自粛で落ち込みがちな日々でも、気分爽快になること請け合いです!」
前奏パート(動画内 0:25~0:35頃)
1.オフィス肘(テニス肘)予防:肘ストレッチ
親指を下にして肘を伸ばし、反対の手で手の甲を押さえ、手首を外側へ曲げます。
2.手指第二関節のリフレッシュ:指ストレッチ
手のひらを上にして肘を伸ばし、反対の手で指を押さえ、手首をゆっくり反り返しましょう。
メロディーパート(動画内 0:36~1:10頃)
3.肩こり予防:肩甲骨回し、ポール・ド・ブラ
肩こり予防と姿勢保持に大切な肩甲骨を回す動きの後、ゆっくり腕を下ろします。
その際、逆の手は肩関節をストレッチします。
※「ポール・ド・ブラ」はバレエ用語で美しく腕を下ろす動きのこと
4.ストレートネック予防:頚椎(けいつい)のストレッチ
指4本で頭の後ろのカーブのあたりを押さえ、目線を上に向け頭を水平に保ったまま、あごをしっかり引きます(後頭部に置いた指にしっかり圧力がかかるくらい)。最後に耳の下あたり(頭蓋骨と頚椎のつなぎ目)を支点にフワッと脱力させます。
中盤(動画内 1:11~1:35頃)
5.ひざ痛・むくみ予防:カーフパンピング
イスの座面あるいは背もたれの下の方を両手で持って、背筋は伸ばし胸を開いた姿勢(ハリ胸)でひざ裏をしっかり伸ばし、大腿四頭筋を収縮させます(ひざ痛予防)。軽快なメロディーに合わせ、足首を上下に動かします(血栓・むくみ予防)。
6.腰痛・ひざ痛・肩こり予防:ハムストストレッチ、肩甲帯の筋膜リリース
かかとをつけて、ひざ裏とハムストリング(ハムスト)のストレッチを行う(ひざ痛、腰痛予防)と同時に、肩甲帯の筋膜リリースを意識して、手首を持って上肢をしっかりとけん引します(肩こり予防)。
終盤(動画内 1:40~2:10頃)
7.腰痛予防:ちょこっとこれだけ体操
バレエの1番ポジション(かかとを合わせ、つま先を90度以上に開いて立つ)で「これだけ体操」。手の甲で胸を開きながら骨盤を押す。
8.美ポジ・腰痛予防:体幹ストレッチ
つま先の方向はそのままで、片足を斜め45度前に、足の大きさ1つ分ほど出す(バレエの4番ポジションのイメージ)。残した軸足のかかとを浮かせつつ(バレエのルルヴェのイメージ)背筋を伸ばしながら、仙骨に置いた手の甲で骨盤を軽く前へ押し込みます。目線は下半身と逆方向の斜め45度下へ向けましょう。
9.美ポジ・腰痛予防:ブラッソ・アリーバ
「8」と足のポジション、体の向きは基本的に同じですが、腕を交差し手のひらを合わせて最大限に背筋から指先まで上へ伸ばします。
※「ブラッソ・アリーバ」は、スペイン語で「腕を高く、高く!」という意味。
その後「3」 で片腕で行った腕の動きを両腕で行います(ポール・ド・ブラ)。下半身は斜め45度方向を保ちますが、上体は正面を向きます。ダンサーになったつもりで指先を意識して、美しく!
腕をゆっくり下ろし、呼吸を整えながら、イスに戻ります。
外出自粛で運動不足が気になりますが、美ポジウォーキングや美ポジ体操を生活に取り入れて、元気に過ごしたいものですね。
次回は、座るときに腰に負担をかけない姿勢と、椅子を使った腰痛体操をご紹介します。お楽しみに!
監修者プロフィール:松平浩さん
まつだいら・こう 東京大学附属病院22世紀医療センター「運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座」特任教授。NHK番組出演を含め、腰痛の正しい知識や対策に関する啓蒙啓発活動を精力的に行っている。主な著書は『腰痛は「動かして」治しなさい』(講談社+α新書)など。「美ポジラボ」やYoutubeチャンネルにて「Stay Home」の今、家でできる体操動画コンテンツを配信中。
取材・文=竹下沙弥香(ハルメクWEB)
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