教えてくれたのは、医師・和田秀樹（わだ・ひでき）さん

1960（昭和35）年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。高齢者専門の精神科医として35年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。『80歳の壁』『70歳の正解』（ともに幻冬舎新書）など著書多数。

「当たり前」が間違い!?免疫力を上げるには…？

高齢者専門の精神科医として、これまで延べ6000人の患者を診てきた和田秀樹さん。「日本の健康常識は時代遅れで、特に高齢者の免疫力や活力を損なうものが多い」といいます。その中から見直した方がいい健康常識を取り上げ、どう考えるべきかを聞きました。前編と併せて、健康知識をアップデートしていきましょう。

間違い健康常識4：病気予防のために薬を飲む

【正】調子が悪くなるなら飲まなくても大丈夫

加齢とともに何かしら薬を飲んでいる人が多いはず。「日本では血圧や血糖値が高いと、それ自体は病気ではないのに、数値を下げるために薬が処方されている」と和田さん。

高齢になると副作用が生じやすく、薬によって不調になる人が少なくないため、「飲んで調子が悪いなら『飲みたくない』『減らしたい』と医師に申し出ましょう」

間違い健康常識5：健康診断は定期的に受ける

【正】厳しい管理が健康を損ねることも

2023年の日本人の平均寿命は、女性87.14歳、男性81.09歳。

「今80代後半の女性の多くは健康診断を受けてきませんでした。もし健診に延命効果があるなら受診率の高い男性の方が長生きするはずですが、現実には逆です」と和田さん。

健診と長寿には相関性がなく、「むしろ厳しい健康管理はストレスとなり健康を損ねるおそれがあります」

間違い健康常識6：年相応に無理をしない

【正】やりたいことをやって免疫力を上げる

日本人の死因第1位は「がん」です。「長年がんで死ぬ人は減っておらず、日本人の免疫力の低下は大問題」と和田さん。

免疫力を高めるには「まずは、痩せているほど健康で美しいというデマに惑わされず、ちゃんと栄養をとること。そして、いい年だからと自制せずにやりたいことをして、『いい思い』を重ねていくことが大事です」

取材・文＝五十嵐香奈（ハルメク編集部）、撮影（和田さん）＝日高奈々子、イラストレーション＝カトウミナエ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年5月号を再編集しています。

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