老いや病を受け入れて楽しく生きる術

【俳優・加賀まりこX 医師・和田秀樹】70歳、80歳の壁の乗り越え方

【俳優・加賀まりこX 医師・和田秀樹】70歳、80歳の壁の乗り越え方

更新日:2026年01月01日

公開日:2025年12月25日

【俳優・加賀まりこX 医師・和田秀樹】70歳、80歳の壁の乗り越え方

80代を迎え、いろいろな不調を感じ始めたという加賀まりこさん。書籍『女80歳の壁』が話題の和田秀樹さんと、老いや病を受け入れて楽しく生きる術を語り合います。先輩たちの、人生後半の生き方ヒントとは?

加賀まりこさんのプロフィール

かが・まりこ。1943(昭和18)年東京都生まれ。62年に女優デビューし、映画、テレビ、舞台などで幅広く活躍。81年「泥の河」「陽炎座」でキネマ旬報助演女優賞受賞。近年の出演作にドラマ「やすらぎの郷」、主演映画「梅切らぬバカ」など。

和田秀樹さんのプロフィール

わだ・ひでき。1960(昭和35)年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。高齢者専門の精神科医として35年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。『80歳の壁』『70歳の正解』(ともに幻冬舎新書)など著書多数。

歳を取るのはみな初体験!好き勝手に生きることが健康のカギ!

歳を取るのはみな初体験!好き勝手に生きることが健康のカギ!

加賀まりこ(以下、加賀)最近、朝、体が強張るのね。こんなの生まれて初めて。首が痛いわ、腰は痛いわ、目が痛いわ。聞こえにくいから、耳に補聴器つけてる。80歳の壁は手ごわい。
和田秀樹(以下、和田)感覚器の老化は昔と今と変わっていないんですよ。

加賀 今、外見は若いのにね。

和田 老眼は40代から始まる人が多く、耳が遠くなるのは50代から。老眼鏡は嫌だ、補聴器は年寄りくさいとか抵抗している人が多いんですよ。

加賀 聞こえたふりして過ごすよりも、ちゃんと聞こえた方がいいし、私、補聴器がみ
っともないと全然思わない。

和田 80歳の人でも85歳のことはわかりません。みんな歳を取るって初体験です。

加賀 そう。私は何かが起きるたびに、「おおー、これがきたか。よし、負けないよ」って。未知との遭遇を面白がればいいと思ってる。

和田 それは素晴らしい!

加賀 先生の本でお母さんのことを書いた話を読んだけど、世間体なんか気にしないところは私の母に似ています。

和田 私はたまたま勉強ができたけど、子どもの頃、性格が悪かったから、どこへ行ってもいじめられっ子だった。それで母親に「どうせ嫌われるんやから免状でも取れ」と言われて医者になりました。

加賀 面白い! 私も母が世間の目を気にしない、固定観念を持たない考えだったから自由に生きてきました。昔も今も全然ストレスはない。だから病気にならないと思う。

和田 そうです。ストレスがないと免疫力が上がります。

加賀 精神も肉体も免疫力ですよね、絶対。

AIロボットと自宅で暮らせば生き上手!?

AIロボットと自宅で暮らせば生き上手!?

和田 母は94歳で、去年老人ホームに入ったんだけど、けっこうお金を取るのに、刻み食しか出してもらえない 。のどに詰まらせて死んだところで文句は言わないから、好きなものを食わせてやってくれと何回言ってもダメ。

加賀 兄は92歳で逝ってしまったけど、タバコを吸いたい、酒飲みたいって言っても、当然ダメだった。

和田 だからAIロボットに介護してもらう方がいい。 

加賀 和田先生の本で一番感動したのがAIロボット。教育して覚えさせて、自宅で生活を手伝ってもらうって朗報だと思った。最高。

和田 しゃべったら何でもやってくれますよ。食器洗いも部屋の掃除も。

加賀 会話が成立するの?

和田 話しかけると普通の国語力で返すんです。しかもAIは人を傷つけることは言いません。話もうまいんです。

加賀 そこまできてるのなら、早く売ってほしいね。傷ついたとか、ゆがんだ人間の情愛とか、そういうのがなくて気持ちいいよね。
和田 そう。声も顔も姿も好みにできますからね(笑)

元気になるために減ったホルモンは補う!

元気になるために減ったホルモンは補う!

加賀 高齢になるとホルモンも減るでしょ。元気になるためには男性ホルモンと女性ホルモンと、どっちが必要? 

和田 両方とも必要です。肌艶もよくなるし、骨粗鬆症にもなりにくい。男性ホルモンは意欲が出て頭も冴える。

加賀 ドラマの撮影で、膨大な台詞を覚えるのが大変。

和田 男性ホルモンは記憶力がよくなります。

加賀 そうなの! 

和田 男性は注射で、女性には注射は多過ぎるので飲み薬。ホルモンは自分の体の中にあるものだから、足してもいいと思います。副作用は本来ないはずだけど、効き過ぎはある。攻撃的になるとか。

加賀 私、もともと攻撃的なのに(笑)

血圧やコレステロール値も、少し高い方が元気です

血圧やコレステロール値も、少し高い方が元気です

加賀 私の主治医は血圧が高くても降圧剤をやたらに処方しないの。夫は真面目に薬を飲むけど、私はもう薬やめて平気って思ったらやめます。

和田 大事なのは自分がどうかで。血圧が高いからと薬を飲んで下げたとき、頭がぼんやりする人が多いんです。

加賀 わかる。薬を飲んでる女優さんと芝居していると台詞が出てこなくて。

和田 人間って血の巡りがいい方が頭が冴えますから。血圧が高いと病気の可能性は増えるけど、高いからいいこともある。コレステロール値も少し高い方が元気です。

加賀 私、コレステロール値は気にしてない。死ぬまで何食、食べられるかわかんないから、とんかつ、お寿司、ラーメンとか好きなもの食べてる。

和田 いいですね。食べている間は元気です。栄養はとても大事。日本の医学で一番足りないのが栄養学。大学で教えていない。

加賀 本当!? いろいろな種類の野菜も食べてますよ。

和田 理想的です。高齢者は好きなことをすればいい。

加賀 みんな、品よく抑えちゃってる。私は厚かましく生きたい。

『女80歳の壁』

『女80歳の壁』
幻冬舎新書/990円(税込み)

分厚く立ちはだかる「女80歳の壁」を乗り越え、高齢期を楽しみ尽くすための生活習慣を詳細に解説。人生を最後まで充実させたい女性必読の一冊。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、小西恵美子、撮影=日高奈々子、ヘアメイク=野村博史(加賀さん)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年5月号を再編集しています。

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HALMEK up編集部
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