最近よくつまずく…それ、体からのサインかも
ふくらはぎが将来の健康を左右する?「第二の心臓」が弱ると起きること
ふくらはぎが将来の健康を左右する?「第二の心臓」が弱ると起きること
公開日:2026年01月10日
教えてくれたのは、歌島大輔(うたしま・だいすけ)さん
日本整形外科学会・日本専門医機構認定整形外科専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。1981年生まれ。山形大学医学部卒業。現在はフリーランスの整形外科医として複数の病院で診療・手術を行っている。また、情報発信ドクターとしてSNSでも活動。現在、YouTubeチャンネル「日本一の整形外科医 YouTube Ch. 歌島大輔」はチャンネル登録者数22万人。著書に『長生きふくらはぎ』(高橋書店刊)。
なぜ、ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるの?

ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)は「第二の心臓」と呼ばれています。
心臓の役割は、血液を全身に送り出すポンプ。
このポンプのように動く心臓の本体は「心筋」という筋肉です。そして、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎも筋肉。ここに大きな共通点があります。
このふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋、特にヒラメ筋)は、収縮と弛緩によって、下半身の血液を心臓に押し戻すポンプの役割を果たします。

この筋ポンプは全身の血液循環を助け、健康にさまざまな良い影響を及ぼします。
ふくらはぎが血流と心臓の負担に与える影響
ふくらはぎの筋肉が「第二の心臓」と呼ばれるのは、歩いたりしてふくらはぎを動かすと血液循環が促進されるからです。
心臓が全身に血液を送り出すのに対し、ふくらはぎの筋ポンプは下半身から心臓へ血液を送り返す働きを担っています。
人が立った姿勢をとると、重力で下半身に血液がたまりがちですが、ふくらはぎの筋肉が収縮すると静脈の弁(血液の逆流を防ぐ弁)が開いて血液を上向きに押し出し、弛緩すると弁が閉じて血液の逆流を防ぎます。
この作用によって、心臓へ血液が戻りやすくなります。
血液がしっかり戻ると、心臓は無理なく血液を送り出せます。逆に戻りが悪いと、何度も強く拍動しなければならず、心臓に負担がかかります。
これが心不全につながります。ですから、心臓にちゃんと血液が戻ってくることがとても大切なのです。その大切な役割をふくらはぎが担っていると考えてください。
ふくらはぎの衰えが、体の不調につながることも
2020年の論文では、心臓の働きが低下していて、さらに、ふくらはぎの筋ポンプ作用が悪い人は、5年後、10年後、15年後の死亡率が高いと報告されています。
また、定期的な運動によって、ふくらはぎの筋ポンプ機能と脚の血流が向上することも報告されています。
さらに、ふくらはぎの筋ポンプが弱い人は、立ちくらみ(起立性低血圧)が起きやすいこともわかっています。筋ポンプが不活発だと急に立ち上がった際に、脳への血流が不足し、めまいや失神を起こすことがあります。
逆に、足踏みやつま先立ち運動で筋ポンプを作動させると、急な血圧低下を防ぎ、脳への血流を保つ効果があります(これは脳貧血予防の体操としても推奨されています)
血管のしなやかさを守る、ふくらはぎの働き
定期的な運動によるふくらはぎの筋ポンプ刺激は、血管の良い状態を保ちます。ここでいう良い状態とは、弾力がある柔らかい血管です。
逆に悪い状態は「動脈硬化」という言葉のとおり、硬い血管ですね。硬い血管はどんどん狭くなって、最後には詰まってしまいます。
ふくらはぎの筋ポンプの働きが良くなり、血流が増すと血管に刺激が加わります。
ふくらはぎの筋ポンプを含む血管への継続的な運動刺激は、血管拡張機能を高め、動脈硬化のリスクを下げたり血圧を安定させたりする効果が期待できます。
「何もないところでつまづく」が増え始めたら
毎日の生活でとても大切な「歩くこと」。特に安全に歩くためには、ふくらはぎと深く関係している「足首の動き」が重要なポイントになります。
みなさんは、何もないほぼ平らな場所でつまずいて、ヒヤッとした経験はありませんか。
年を重ねると、歩くときに自分ではつま先をしっかり上げているつもりでも、思ったほど上がっていないことがあります。
そのため、ちょっとした段差でもつまずきやすくなるのです。
このつまずきを防ぎ、安定した歩行を支えるのに不可欠なのが「足首」、とりわけその「背屈」と呼ばれる、つま先を上に引き上げる動きです。
足首は、歩いたりバランスをとったりするうえで、とても精密なコントロールをしています。しかし、年とともに、このコントロール能力が少しずつ衰えてしまうことがあります。
その結果、転倒リスクを高める要因になることが指摘されています。
安全に歩くには、単に足首が動く範囲(可動域)だけでなく、その動きをいかに正確に、安定して行えるかという「動きの質」も非常に大切なのです。
転ばない体を支える、ふくらはぎの筋力と柔軟性
また、高齢者の歩行特性として、かかとが地面につく際に、つま先があまり上がっていない傾向があります。
これにより、歩行中のわずかな段差や障害物をうまく避けられず、つまずいてしまうのです。
つま先を上げるのと反対の動きをする筋肉であるふくらはぎの筋肉が硬く、柔軟性が低下していると、つま先を十分に上げにくくなってしまうのです。
ふくらはぎは、立っているときの体の微妙な揺れを制御したり、歩くときに地面をけり出したり、さらにはつまずきそうなときに咄嗟に体勢を立て直したりと、静的なバランスと動的なバランスの両方に関わっています。
まずは、「足ブランコ」を実践して、少しずつ「良いふくらはぎ」をつくっていきましょう。
次回は「足ブランコ」のメリットと基本のやり方を解説します。>>
※この記事は『長生きふくらはぎ』(高橋書店)より一部抜粋して編集しています。
詳しくは『長生きふくらはぎ』をチェック!

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