特に気を付けたい手指の疾患3つ!進行を防ぐ正しい対処法&受診の目安
特に気を付けたい手指の疾患3つ!進行を防ぐ正しい対処法&受診の目安
公開日:2025年12月10日
教えてくれた人:大井宏之(おおい・ひろゆき)さん
聖隷浜松病院 手外科 マイクロサージャリーセンター センター長
1987(昭和62)年、富山医科薬科大学(現・富山大学)卒業。2007年より現職。日本手外科学会手外科専門医。手の疾患の治療・手術のスペシャリストとして、NHK「きょうの健康」などにも出演。主著に『図解手指の痛み・しびれ解消事典』(学研プラス刊)がある。
手の変形性関節症状で最も患者数が多い「ヘバーデン結節」
手の指の第一関節に痛みや腫れ、変形が見られる疾患。複数の指で同時に起きる場合や、ブシャール結節と併発するケースもあります。「痛み自体は、数か月から数年で治まることがほとんど。症状のある関節の動きを制限することが、痛みや変形の進行を抑える手立てです」と話すのは、手外科のスペシャリストである大井宏之さんです。
気になる症状があったら…
まずは痛みの程度を確認する

- 作業ができないほどの痛み
↓
整形外科を受診
- 生活に支障がない軽い痛み
↓
関節を固定するなどして様子を見る

痛みが軽度なら、手軽なばんそうこう固定がおすすめ。爪の根元にばんそうこうの上端を合わせて、痛む第一関節を覆います。2枚重ねて貼ると、よりしっかりと関節を固定できます。きつく貼り過ぎないよう注意!
悪化すると物がつまめなくなることも「手根管症候群」
手根管は、手首の内側にあるトンネル状の空間を指します。その中を通る正中神経は、親指・人さし指・中指・薬指の先まで延び、各指の感覚と、親指の付け根にある筋肉の動きに関わっています。そのため、手根管が炎症を起こして正中神経が圧迫されると、親指から薬指の半分に痛みやしびれが起き、感覚が鈍くなります。これが手根管症候群です。
「進行すると親指の筋肉が痩せ、物をつまむ、ボタンをかけるなどの動作が難しくなり、日常生活に大きな支障をきたします」(大井さん)
気になる症状があったら…
すぐに整形外科を受診する
軽症のうちの対処が重要。前回の記事で紹介した症状 があれば早めに受診しましょう。薬物療法の他、特に夜間にサポーターやギプスなどの装具で手首を固定する治療が一般的です。

再発を繰り返しやすい「ばね指」
手を使い過ぎると、筋肉と骨をつなぐ「腱」と、それが通るトンネル状の組織「腱鞘」がこすれ合って炎症が起きます(腱鞘炎)。これが指の屈筋腱で起こる疾患がばね指です。「更年期以降の女性に特に多く、再発しやすいため、手にかかる負担を減らす習慣(後述)も心掛けましょう」(大井さん)
気になる症状があったら…
まずは安静に。炎症が起きている指を固定する
まずは安静にして、炎症が引くのを待ちます。指の腫れが気になるなら、ひもなどで関節を固定する方法も有効です(下イラスト参照)。安静にしても痛みが続くなら受診しましょう。

麻や綿など伸縮性のない太さ2~3mmほどのひもを用意。腫れのある手を心臓より上に保ったまま、指にひもを巻いていきます。

【注意】5分たったら必ず外しましょう
指先から根元に向かってすき間なくひもを巻きます。余ったひもは自然にたらしておいてOK。きつく締め過ぎないように注意を。

安静にしていても症状が改善しない場合は、整形外科を受診しましょう。
手指に過度な負担をかけない使い方のコツ
ほとんどの手指の痛みや不調には、指の「使い過ぎ、負担のかけ過ぎ」が大きく関わっています。普段の生活から手指をいたわって、不調を予防・軽減しましょう!
スマホは「両手で持って両手で操作」が鉄則

スマホを片手で持ち、特に小指をかけて支えながら操作をすると、細い小指に大きな負担がかかります。スマホは両手で持って、タッチ操作もやさしく。
ペンや杖など握るものは太めを選ぶ
細いものを持とうとすると、握る力が強くかかりやすくなります。特に、すでに手指に不調がある人は、ペンや杖の持ち手などは太めのものを選んで。
手を使うときは指よりも手のひらの力を使う

ふたは手のひらで覆うようにして開ける。布巾でテーブルを拭くときは、指ではなく手のひら全体を使って拭くなど、指に負担が集中しない動作を。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
次回は、手指のトラブルを予防し、ヘバーデン結節などの“今ある痛み”の改善にもおすすめの「指関節ほぐし」を紹介 します!
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、イラストレーション=ツキシロクミ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年5月号を再編集しています




