子宮の不調とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

子宮の不調とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年09月26日

子宮の不調とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
Jo Panuwat D / PIXTA

子宮まわりの痛みや不正出血など、女性ならではの不調でお悩みの50代以上の女性のみなさんへ。この記事では、沢岻美奈子女性医療クリニック・押切佳代医師の監修のもと、つらい子宮の不調とその治療法について分かりやすくお伝えいたします。

押切佳代
監修者
押切佳代
監修者 押切佳代 沢岻美奈子女性医療クリニック

この記事3行まとめ
✓子宮の不調には、子宮筋腫や子宮内膜症などがあり、主な症状は不正出血や痛みです。
✓50代を過ぎるとホルモンバランスの変化で不調が起こりやすく、がんのリスクも増えます。
✓気になる症状があれば早めに婦人科を受診し、定期的な検診で病気の早期発見を。

子宮の不調とは?

トワトワ / PIXTA

子宮は、女性の骨盤内にある西洋梨を逆さにしたような形をした臓器です。妊娠したときに赤ちゃんを育む大切な役割を担っています。しかし、年齢とともにさまざまな不調が現れやすくなる場所でもあります。

50代以上の女性にとって、子宮の不調は決してめずらしいことではありません。閉経前後のホルモンバランスの大きな変化は、子宮筋腫や子宮内膜症といった良性の病気から、子宮体がんなどの悪性の病気まで、さまざまな不調を引き起こすきっかけとなります。これまで大きな婦人科系のトラブルがなかった方でも、年齢を重ねることで新たな問題に直面することがあるのです。

よく見られる身体的症状

子宮の不調がもたらすサインは、実にさまざまです。以下のような症状に気づいたら、それは子宮からのメッセージかもしれません。

  • 不正出血:生理でもないのに出血がある、閉経したはずなのに出血があった、など。少量でも見過ごさないことが大切です。
  • 月経の変化:経血の量が極端に増えたり、レバーのような塊が混じるようになったり(過多月経)、生理痛がひどくなったり(月経困難症)します。
  • 下腹部の痛みや圧迫感:お腹が張る感じ、何かが中にあるような違和感、腰痛なども含まれます。
  • 頻尿や便秘:子宮が大きくなることで、近くにある膀胱や腸を圧迫して起こることがあります。
  • 下腹部から何かが出てくる感じ(子宮脱):立ち仕事や重いものを持った時などに、股の間に何か挟まっているような違和感や、ピンポン玉のようなものが触れることがあります。これは「骨盤臓器脱」の一種で、子宮を支える骨盤底筋という筋肉が緩むことで起こります。出産経験の多い方や、加齢、肥満、慢性的は咳などがリスクとなります。

これらの症状は、更年期によくある症状と似ているため、「年のせい」と自己判断してしまいがちですが、背後に病気が隠れている可能性も考えて、注意深くご自身の体と向き合うことが重要です。

心理的な変化

身体的な不調は、私たちの心にも影響を及ぼします。いつ終わるともない痛みや不快な症状は、気分を落ち込ませ、不安な気持ちにさせます。特に、予期せぬ出血は「何か悪い病気なのでは?」という恐怖心につながりやすいものです。

また、痛みや不快感で思うように活動できなくなると、これまで楽しめていた趣味や友人との交流が億劫になり、社会的な孤立感を感じる方もいらっしゃいます。イライラしやすくなったり、集中力が続かなくなったりと、日常生活の質そのものを下げてしまうことも少なくありません。

厚生労働省の患者調査(2023年)によると、子宮筋腫や子宮内膜症といった子宮に関連する疾患で医療機関を受診する人の数は、30代後半から増え始め、40代から50代にかけてピークを迎えます。

また、国立がん研究センターの統計(2023年)によれば、子宮体がんは50代から60代にかけて発症率がもっとも高くなります。これは、閉経後のホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。一方で、子宮頸がんは20代から40代の若い世代に多いがんでしたが、近年では検診受診率の低下などから、50代以上の女性にも注意が呼びかけられています。これらのデータは、50代以上の女性にとって、子宮の健康管理がいかに重要であるかを示しています。

子宮の不調の原因とメカニズム

koti / PIXTA

主な原因

子宮の不調を引き起こす原因は、一つだけではありません。複数の要因が複雑に絡み合って発症することがほとんどです。

1. 生理学的要因

もっとも大きな原因は、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のバランスの変化です。特に50代前後は、閉経に向けてホルモン分泌が大きくゆらぎ、減少していく時期です。この変化が、子宮筋腫を大きくさせたり、子宮内膜を異常に増殖させたりする引き金になります。また、加齢による子宮そのものの組織の変化も、不調の一因と考えられています。さらに、出産や加齢によって、子宮や膀胱などをハンモックのように支えている「骨盤底筋」という筋肉や靭帯が緩むことも、子宮が本来の位置から下がってしまう「子宮脱(骨盤臓器脱)」の大きな原因となります。

2. 環境的要因

食生活の欧米化(高脂肪・高カロリーな食事)や、運動不足、肥満、喫煙、過度なアルコール摂取といった生活習慣は、ホルモンバランスを乱し、子宮の病気のリスクを高めることが知られています。また、ストレスの多い生活も、自律神経やホルモンの分泌に影響を与え、子宮の健康を損なう一因となります。

3. 心理社会的要因

50代からは、子どもの独立、親の介護、仕事上の立場の変化、自身の体力の低下など、人生の大きな転機が重なる時期です。こうしたライフイベントに伴うストレスや、将来への不安、喪失感などが、心身のバランスを崩し、婦人科系の不調として現れることがあります。一人で悩みを抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。

発症メカニズム

例えば、代表的な疾患である「子宮筋腫」は、子宮の筋肉にできる良性のこぶですが、女性ホルモンのエストロゲンによって成長することがわかっています。そのため、エストロゲンの分泌が盛んな成熟期の女性に多く見られ、閉経後は自然と小さくなる傾向があります。

一方、「子宮体がん」は、エストロゲンの刺激が長期間続くことで、子宮内膜が異常に増殖し、がん化すると考えられています。肥満や出産経験がないことなどがリスク要因とされるのは、生涯でエストロゲンの影響を受ける期間が長くなるためです。

リスク要因

子宮の不調につながる可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。ご自身の生活を見直すきっかけにしてみてください。

  • 肥満:脂肪組織からエストロゲンが作られるため、リスクが高まります。
  • 出産経験がない、または少ない:妊娠・授乳期間中はエストロゲンの分泌が抑えられるためです。
  • 初経が早い、または閉経が遅い:生涯でエストロゲンにさらされる期間が長くなります。
  • 糖尿病、高血圧:生活習慣病は、がんのリスクを高めることが知られています。
  • 家族歴:血縁者に子宮や卵巣、乳がんなどの病気にかかった人がいる場合。
  • 不規則な食生活や運動不足

診断方法と受診について

takeuchi masato / PIXTA

次に、受診する場合の流れについて説明します。

いつ受診すべきか

以下のような症状が見られる場合は、「そのうち治まるかも」と様子を見ずに、早めに婦人科や産婦人科を受診しましょう。

  • 閉経したはずなのに、出血があった(量や期間にかかわらず)
  • 生理の経血量が急に増え、昼でも夜用のナプキンが必要になった
  • 生理痛がだんだんひどくなり、市販の鎮痛剤が効かなくなってきた
  • 下腹部にしこりのようなものがある、またはお腹がぽっこり出てきた
  • 性交時に出血や痛みがある

診断の流れ

婦人科での診断は、主に問診、内診、そして超音波(エコー)検査という流れで進みます。不安に思うことはありません。リラックスして受診してくださいね。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。最終月経はいつか、月経周期、妊娠・出産の経験、既往歴、家族歴、現在服用中の薬など、できるだけ正確に答えられるよう、事前にメモしておくと安心です。

  • どのような症状が、いつからありますか?
  • 最終月経はいつですか? 周期や期間、経血量に変化はありますか?
  • 閉経はいつ頃でしたか?
  • 妊娠・出産の経験はありますか?
  • これまでにかかった病気や、受けた手術はありますか?
  • 血縁のあるご家族に、がん(特に婦人科がんや乳がん)になった方はいますか?

問診は、あなたの状態を正確に把握するための第一歩です。次に、内診で子宮や卵巣の状態を直接確認します。

2. 身体検査

内診台に上がり、医師が膣に指を入れ、もう片方の手でお腹の上から子宮や卵巣を挟むようにして触診(内診)し、大きさや硬さ、痛みの有無などを確認します。少し緊張するかもしれませんが、体の力を抜くとスムーズに進みます。医師や看護師が優しく声をかけてくれるので、心配いりません。この内診に続いて、多くの場合、経膣超音波検査が行われます。

3. 代表的な検査例

より詳しく調べるために、以下のような検査を行うことがあります。どの検査を行うかは、症状や診察の結果によって医師が判断します。

  • 経膣超音波(エコー)検査:プローブという細い器具を膣内に挿入し、子宮や卵巣の内部をモニターに映し出して観察します。子宮筋腫の大きさや数、子宮内膜の厚さなどを正確に測ることができます。
  • 子宮頸がん検診(細胞診):子宮の入り口(頸部)を専用のブラシなどでこすり、細胞を採取して異常がないか調べます。
  • 子宮体がん検診(組織診):子宮の奥(体部)から組織を少量採取し、がん細胞がないか調べます。不正出血がある場合などに行われ、少し痛みを伴うことがあります。
  • MRI検査:磁気を使って体の断面を撮影する検査です。超音波検査だけでは分かりにくい筋腫の位置や数、卵巣の状態などをより詳しく調べることができます。

受診時の準備

いざ受診するとなると、何を準備すればよいか迷いますよね。服装は、着脱しやすいスカートなどが便利です。そして、医師に伝えたい症状や質問したいことをメモにまとめておくと、診察室で慌てずに済みます。「いつから、どんな症状があるか」「月経の様子」「過去の病気」などを記録した基礎体温表や月経日記があれば、診断の大きな助けになります。

受診すべき診療科

子宮に関する症状があれば、まずは「婦人科」または「産婦人科」を受診しましょう。かかりつけの婦人科医を持つことが理想ですが、もし見つからない場合は、お住まいの自治体の保健所や医師会のウェブサイトで医療機関を検索することができます。信頼できると感じる医師を見つけ、長くお付き合いしていくことが、健康管理の鍵となります。

子宮の不調の治療法

Jo Panuwat D / PIXTA

治療方針の決定

検査で診断が確定したら、次はいよいよ治療です。治療法は、病気の種類や進行度、症状の強さ、そしてご自身の年齢やライフプラン(妊娠の希望の有無など)を総合的に考慮して、医師と相談しながら決めていきます。分からないことや不安なことは遠慮なく質問し、ご自身が納得できる治療法を選択することが何よりも大切です。

薬物療法

手術以外の治療法として、薬物療法があります。症状を和らげたり、病気の進行を抑えたりすることを目的とします。

  • ホルモン療法:偽閉経療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト)や黄体ホルモン療法などがあり、女性ホルモンの分泌を調整することで、子宮筋腫を小さくしたり、子宮内膜症の進行を抑えたりします。ほてりや気分の落ち込みといった更年期のような副作用が出ることがあります。
  • 鎮痛剤:月経痛などの痛みに対して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが用いられます。
  • 止血剤:過多月経による出血を抑えるために使われます。

注意: 薬物療法は、効果や副作用に個人差があります。自己判断で服用したり中断したりせず、必ず医師の指示に従ってください。

非薬物療法

薬を使わない治療法や、手術にも様々な選択肢があります。

  • 子宮全摘術:子宮をすべて取り除く手術で、病気の根治が期待できます。
  • 筋腫核出術:子宮筋腫のみを取り除き、子宮本体は温存する手術です。

これらの手術には、お腹を大きく切る「開腹手術」の他に、お腹に数カ所の小さな穴を開けてカメラや器具を挿入して行う「腹腔鏡下手術」、さらに精密な操作が可能な「ロボット支援下手術」、膣から器具を挿入して子宮内側の筋腫などを切除する「子宮鏡下手術」などがあります。腹腔鏡やロボット支援下の手術は、開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが少なく、回復が早いといった大きなメリットがあり、患者さんの体への負担を大きく軽減できます。

  • 子宮動脈塞栓術(UAE):子宮筋腫に栄養を送っている血管を塞いで、筋腫を小さくする方法です。
  • 集束超音波治療(FUS):MRIで筋腫の位置を確認しながら、体の外から強力な超音波を当てて筋腫を焼灼する治療法です。

注意: これらの治療法にもメリット・デメリットがあります。どの治療が最適かは、専門医とよく相談することが不可欠です。

生活習慣による管理

治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことも、症状の改善や再発予防につながります。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理などを心がけ、体全体の免疫力や自然治癒力を高めていきましょう。特に、体を温めることは、骨盤内の血流を促し、痛みの緩和に効果的です。

漢方薬や代替医療との付き合い方

西洋医学的な治療と合わせて、漢方薬が用いられることもあります。漢方は、一人ひとりの体質(証)に合わせて処方され、体全体のバランスを整えることで、冷え、痛み、疲労感、気分の落ち込みといった、さまざまな不調の改善を目指すものです。例えば、血行を促し体を温める「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や、ホルモンバランスの乱れや精神的な症状に使われる「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などが代表的です。

ただし、漢方薬も副作用のリスクはゼロではありません。必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談の上で服用しましょう。また、サプリメントや健康食品などを試す場合も、主治医に必ず伝えることが大切です。西洋医学的な治療を自己判断で中断することのないよう、上手に付き合っていくことが重要です。

治療期間と予後

治療期間は、病気の種類や治療法によって大きく異なります。薬物療法の場合は数ヶ月から年単位で、手術の場合は入院と術後の回復期間が必要になります。予後(治療後の経過)も様々ですが、多くの良性疾患は、適切な治療によって症状が改善し、快適な生活を取り戻すことが可能です。がんの場合でも、早期に発見し治療を開始できれば、良好な予後が期待できます。

予防法と日常生活での注意点

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一次予防(発症予防)

病気にならないための体づくり、それが一次予防です。子宮の健康を守るために、今日から始められることがあります。

  • バランスの取れた食事:大豆製品(イソフラボン)、青魚(オメガ3脂肪酸)、緑黄色野菜などを積極的に摂り、脂肪分の多い食事は控えめに。
  • 適度な運動:ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動で血行を促進し、適正体重を維持しましょう。
  • 体を冷やさない:腹巻きやカイロ、温かい飲み物などで、下腹部を温める習慣を。
  • ストレスを溜めない:趣味の時間やリラックスできる時間を作り、心穏やかに過ごす工夫を。
  • 骨盤底筋トレーニングを習慣に:子宮脱の予防・改善に効果的です。仰向けに寝て膝を立て、息を吐きながらゆっくりと膣や肛門を締める、緩める、という動作を繰り返します。最初は難しく感じるかもしれませんが、毎日続けることで効果が期待できます。

二次予防(早期発見・早期治療)

もし病気になってしまっても、早く見つけて早く治療を始めることができれば、体への負担も少なく済みます。そのために最も重要なのが「定期的な婦人科検診」です。特に症状がなくても、年に一度は検診を受ける習慣をつけましょう。子宮頸がん検診は自治体の助成がある場合が多いですし、同時に超音波検査などで子宮や卵巣の状態もチェックしてもらうと、より安心です。

日常生活の工夫

痛みや不快な症状と上手に付き合っていくためには、いくつかの工夫があります。

  • 記録をつける:いつ、どんな症状があったか、月経の状態などを手帳やアプリに記録しておくと、体調の変化に気づきやすく、受診時にも役立ちます。
  • 体を締め付けない服装:ゆったりとした服装で、血行を妨げないようにしましょう。
  • アロマやハーブティー:リラックス効果のある香りは、心と体の緊張を和らげてくれます。

家族・周囲のサポート

ご自身の不調について、ご家族や親しい友人に話しておくことも大切です。「お腹が痛い」「気分がすぐれない」といったことを伝えておくだけで、いざという時に理解や協力を得やすくなります。一人で抱え込まず、周りの人に頼ることも、治療の一環です。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 子宮筋腫があると、がんになりますか?

A: 子宮筋腫は良性の腫瘍であり、それ自体ががん化することは極めてまれです。ただし、まれに「子宮肉腫」という悪性の腫瘍が、筋腫と区別がつきにくいことがあります。急に大きくなる、閉経後なのに大きくなるなどの場合は注意が必要です。定期的な検診で経過を観察することが大切ですので、ご安心のためにも医師の指示に従ってくださいね。

Q2: 閉経したら、もう婦人科検診は受けなくてもよいのでしょうか?

A: いいえ、閉経後も婦人科検診はぜひ続けてください。閉経後は、子宮体がんや卵巣がんのリスクが高まる年代です。また、骨盤臓器脱(子宮脱など)や萎縮性腟炎といった、加齢に伴うトラブルも増えてきます。症状がなくても、年に一度はかかりつけの婦人科で相談されることを強くおすすめします。

Q3: 不正出血がありましたが、すぐに止まりました。様子を見ても大丈夫ですか?

A: 少量ですぐに止まったとしても、不正出血は体からの重要なサインです。特に閉経後の出血は、子宮体がんの可能性も考えて、必ず一度は婦人科を受診してください。更年期によくあるホルモンバランスの乱れが原因のことも多いのですが、自己判断は禁物です。検査をして「異常なし」と分かれば、それだけで安心できますよ。

Q4: 手術で子宮を取ると、女性でなくなってしまうような気がして不安です…

A: そのように感じられるお気持ち、とてもよく分かります。多くの方が同じような不安を抱えていらっしゃいます。しかし、子宮を摘出しても、女性ホルモンを分泌する卵巣が残っていれば、ホルモンバランスが急激に変化することはありません。また、性交渉も、術後の回復が順調であれば、以前と同じように可能です。手術はあくまで病気を治すための手段です。失うものばかりでなく、痛みや出血の悩みから解放されるという大きなメリットもあります。主治医やパートナーとよく話し合い、ご自身の気持ちを大切にしながら考えていきましょう。

Q5: 治療にかかる費用はどのくらいですか?

A: 治療費は、検査内容、治療法(手術か薬か)、入院期間などによって大きく異なります。日本の医療保険制度には「高額療養費制度」があり、一個月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超えた分が払い戻されます。事前にご加入の健康保険組合や市町村の窓口で、ご自身の自己負担限度額を確認しておくと安心です。詳しくは病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)に尋ねてみるのもよいでしょう。

Q6: 子宮を温めると良いと聞きますが、本当ですか?

A: はい、体を温めることは、婦人科系の不調全般にとって良い効果が期待できます。体が温まると、骨盤内の血行が良くなり、うっ血が改善されることで、痛みが和らいだり、子宮や卵巣の働きをサポートしたりすると考えられています。腹巻きやカイロ、温かい飲み物、ゆっくり湯船に浸かるなど、日常生活の中で無理なく取り入れてみてください。ただし、温めることで病気が治るわけではありませんので、治療の基本は医師の診断に従うことが大前提です。

Q7: 親が子宮の病気でした。遺伝はしますか?

A: 子宮筋腫や子宮内膜症は、遺伝的な要因が関与すると言われており、血縁者にいる場合は、ご自身も体質を受け継いでいる可能性があります。また、一部の乳がんや卵巣がん、子宮体がんは、遺伝的要因が強いことが分かっています。ご家族の病歴は、ご自身の健康管理にとって重要な情報です。検診の際には、ぜひ医師に伝えてください。リスクを正しく知ることで、よりきめ細かい予防や早期発見につなげることができます。

Q8: 食生活で気をつけることはありますか?

A: バランスの良い食事を心がけることが基本です。特に、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン(豆腐、納豆など)、血行を促すビタミンE(ナッツ類、アボカドなど)、腸内環境を整える食物繊維(野菜、きのこ類、海藻類)を意識して摂ると良いでしょう。一方で、高脂肪・高カロリーな食事や、体を冷やす冷たい飲食物の摂りすぎは控えることをおすすめします。

Q9: どのくらいの頻度で婦人科に行けばよいですか?

A: 特に症状がなくても、年に1回は婦人科を受診し、検診を受けることを習慣にされるのが理想です。何か症状がある場合や、治療中の方は、もちろん医師の指示に従ってください。かかりつけの婦人科医を持つことは、信頼できる健康のパートナーを持つようなものです。些細なことでも気軽に相談できる関係を築いておくと、いざという時に心強いですよ。

Q10: これから先、ずっとこの不調と付き合っていくのでしょうか?

A: 今は痛みや不快感で、先が見えないように感じていらっしゃるかもしれませんね。でも、決してそんなことはありません。子宮の病気の多くは、適切な治療や生活習慣の改善によって、症状をコントロールしたり、根治させたりすることが可能です。特に、閉経を迎えると、女性ホルモンの影響を受ける病気(子宮筋腫や子宮内膜症など)は、自然と軽快することが多いのです。希望を持って、まずは専門医に相談することから始めてみましょう。

まとめ

shimi / PIXTA

大切なポイント

  • ​​​​子宮の不調のサイン(不正出血、月経の変化、痛み)を見逃さないこと。
  • 治療法は一つではない。医師とよく相談し、納得して選ぶこと。
  • 生活習慣を見直し、体を温め、ストレスを溜めない工夫をすること。
  • 症状がなくても、年に一度の婦人科検診を続けることが最大の予防策。

私たちの体は、これまで本当にたくさんの役割を、文句も言わずに果たしてきてくれました。子育て、仕事、介護……、自分のことは後回しにして、夢中で走り続けてきた方も多いのではないでしょうか。今、体に現れている不調は、そんな頑張ってきたあなたへの「少し休んで、自分を大切にしてね」というメッセージなのかもしれません。子宮の不調と向き合うことは、これからの人生を、より健やかに、あなたらしく輝いて生きるための大切なステップです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、ご自身の体を慈しむ時間を持ってくださいね。私たちは、いつでもあなたの味方です。

健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

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監修者プロフィール:押切 佳代さん

押切 佳代さん

沢岻美奈子女性医療クリニック(兵庫県神戸市)院長。日本内科学会認定医。日本糖尿病学会専門医。ダイエット外来担当医。

HALMEK up編集部
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